名古屋で生まれた濃厚つけ麺の名店が、とんこつの聖地・福岡に殴り込みをかけた——そう聞いたとき、「博多っ子が名古屋のつけ麺なんか食べるの?」と思った方も多いのではないでしょうか。ところが**フジヤマ55 福岡天神店**は、2021年4月のオープン以来、天神・今泉エリアで確かな存在感を放ち続けています。その秘密は、丸2日かけて仕込む濃厚魚介豚骨スープ、愛知県産ブランド小麦の自家製麺、そして食べ終わった後に待つ「チーズリゾット」という唯一無二のシメ文化。この記事では、フジヤマ55 福岡天神店のメニュー・製法・楽しみ方から、福岡ラーメン文化との意外な関係まで、ラーメン好きなら知っておきたい情報をたっぷりお届けします。
・フジヤマ55 福岡天神店の基本情報とアクセス、名古屋本店との違い
・看板メニュー「濃厚魚介つけ麺」のスープ・麺・具材の徹底解剖
・チーズリゾットの正しいシメ方と、知らないと損する裏ワザ
・とんこつ文化の福岡でつけ麺専門店が支持される理由
フジヤマ55 福岡天神店はなぜ”とんこつの街”に進出したのか?|名古屋つけ麺の野望
名古屋大須で2009年に始まった「つけ麺革命」
フジヤマ55の歴史は、**2009年**に名古屋・大須の地で産声を上げたところから始まります。当時の名古屋といえば、味噌煮込みうどんやきしめんといった小麦文化の街でありながら、つけ麺に関しては東京の後追い状態でした。創業者は「名古屋にも本物の濃厚つけ麺文化を根付かせたい」という信念のもと、東京の有名店で修業を積んだうえで独立。開業からわずか数年で名古屋駅周辺にも進出し、**株式会社55style**として法人化を果たしました。名古屋のラーメンシーンにおいて「つけ麺といえばフジヤマ55」という認知を確立した功績は、名古屋ラーメン史において見逃せないポイントです。現在では国内外に約**70店舗**を展開するまでに成長しており、名古屋発のラーメンチェーンとしては異例の拡大スピードを見せています。
福岡天神店オープンの背景にあった「とんこつ一極集中」への挑戦
フジヤマ55 福岡天神店が**2021年4月**にオープンした背景には、福岡のラーメン市場が持つ特殊な構造が関係しています。福岡は全国でも屈指のラーメン激戦区ですが、その中身は圧倒的に**とんこつ一極集中**。博多ラーメン・長浜ラーメン・久留米ラーメンといったとんこつ系が市場の大部分を占めており、つけ麺や魚介系のラーメンは「わざわざ食べに行くもの」ではなく「選択肢にすら入らない」という状態でした。しかし、2010年代後半から福岡でも二郎系や家系が徐々に浸透し始め、「とんこつ以外も食べてみたい」という層が確実に増加。フジヤマ55はこの潮流を捉え、福岡市中央区今泉という天神のど真ん中に出店を決めました。今泉エリアは若い感度の高い客層が集まる立地であり、新しい食文化を受け入れる土壌がありました。
店舗は今泉1丁目|天神駅から徒歩5分の好立地
フジヤマ55 福岡天神店の所在地は、**福岡市中央区今泉1-19-12の1階**。西鉄福岡(天神)駅から徒歩約5分、天神南駅からもアクセスしやすい立地です。営業時間は曜日によって異なり、火・水・金曜は**11:00〜14:50 / 17:30〜21:20**の二部制、木曜はランチのみ(**11:00〜14:50**)、土曜は**11:00〜21:20**の通し営業、日曜は**11:00〜20:20**で、月曜が定休日となっています。名古屋の本店と比べると席数はコンパクトですが、カウンター主体の設計でひとりでも入りやすい雰囲気。福岡のラーメン店に共通する「サクッと食べてサッと出る」回転率の高さも踏襲しています。ランチ・ディナーともに予算は**1,000円以下**で収まる価格帯で、学生からサラリーマンまで幅広い層が訪れます。
フジヤマ55の「55」は「ゴーゴー」と読む。創業者が「勢いよく突き進む」という意味を込めて名付けたとされ、実際にその名の通り国内外70店舗への急拡大を実現した。海外はマレーシア・シンガポール・フィリピンなど東南アジアを中心に展開している。
フジヤマ55 福岡天神店の看板「濃厚魚介つけ麺」を徹底解剖する
スープの核心は「48時間の二段階炊き」にある
フジヤマ55 福岡天神店の看板メニューである**濃厚魚介つけ麺**の最大の特徴は、完成まで丸2日を要するスープにあります。1日目は**80kg以上の豚骨**を超強火で炊き上げ、骨の髄から旨味とコラーゲンを徹底的に抽出します。2日目には**丸鶏**を追加投入し、さらに強火で炊き続けることで、豚骨だけでは出せない鶏の甘みとコクを重ねていきます。仕上げの段階で**カツオ節・サバ節・アジ節**といった複数の魚介乾物を加え、動物系と魚介系の旨味が渾然一体となったダブルスープが完成。この工程を省略せずに毎日繰り返していることが、チェーン展開でありながら味のブレが少ない理由です。東京の大勝軒系つけ麺が清湯寄りのスープを使うのに対し、フジヤマ55は**超濃厚白湯**に魚介を合わせるスタイルで、そのドロッとした粘度はレンゲですくうとゆっくり落ちるほどです。
麺は愛知県産「きぬあかり」「ゆめあかり」の自家製麺
フジヤマ55のもうひとつの柱が**自家製麺**です。使用する小麦は愛知県産のブランド品種「**きぬあかり**」と「**ゆめあかり**」。きぬあかりはもちもちとした食感と滑らかなのど越しが特徴で、ゆめあかりは小麦の風味が強く、噛むほどに甘みが広がる品種です。この2つをブレンドすることで、濃厚スープに負けない力強い麺に仕上がっています。さらに注目すべきは、麺職人が**その日の気温と湿度**に応じて配合比率を微調整している点。防腐剤・保湿剤などの添加物を一切使用せず、毎朝打ちたての麺を提供するというこだわりは、大量生産の製麺所に頼る多くのチェーン店とは一線を画しています。福岡天神店でも本店と同じ製法が守られており、「名古屋と同じ味が福岡で食べられる」と言われる所以はここにあります。
具材のボリュームは「見た目で圧倒」がフジヤマ流
フジヤマ55 福岡天神店のつけ麺を初めて目にした人がまず驚くのは、その**ビジュアルのインパクト**でしょう。丼から盛り上がるように積まれた麺の上に、分厚くカットされた**チャーシュー**、半熟の**味玉**、**メンマ**、**海苔**がこれでもかと乗っています。チャーシューは低温調理でしっとりとした仕上がりのものと、表面を炙って香ばしさを加えたものの2種類が用意されることもあり、肉の旨味を多角的に楽しめます。特筆すべきは**無料トッピングの「野菜増し」**。もやしとキャベツを中心とした野菜が追加でき、二郎系に通じるボリューム感が出せます。この「盛りの良さ」は、博多ラーメンの替え玉文化に慣れた福岡の客層にも響いており、「量で満足できるつけ麺」としての評価を獲得しています。
| 項目 | フジヤマ55 濃厚魚介つけ麺 | 博多とんこつラーメン |
|---|---|---|
| スープ | 濃厚魚介豚骨(白湯系) | 豚骨白湯(魚介なし) |
| 麺 | 太麺・自家製・高加水 | 極細麺・低加水 |
| 食べ方 | つけて食べる+シメのリゾット | そのまま+替え玉 |
| 提供温度 | 麺は冷たく、スープは熱々 | 全体が熱々 |
| 価格帯 | 800〜1,000円前後 | 500〜800円前後 |
フジヤマ55 福岡天神店の「チーズリゾット」はなぜ中毒性があるのか?|シメ文化の真髄
つけ麺の残りスープで作る”卓上リゾット”の衝撃
フジヤマ55を語るうえで絶対に外せないのが、つけ麺を食べ終わった後に待っている**「チーズリゾット」**です。これはフジヤマ55の代名詞ともいえるシメの食べ方で、通常のつけ麺店で行われる「スープ割り」とはまったく異なるアプローチ。つけ麺のスープが残った器に、卓上に設置された**IHヒーター**でスープを温め直し、そこに**ご飯**と**とろけるチーズ**を投入して自分で仕上げるという、いわばDIYリゾットです。**2009年**の創業時からこのスタイルを採用しており、フジヤマ55がただのつけ麺店ではなく「食のエンターテインメント」として認知される大きな要因となりました。残りスープには麺から溶け出した小麦の旨味が加わっており、最初のスープとはまた違った深みのある味わいに変化しています。
チーズリゾットを最高に仕上げる3つのコツ
フジヤマ55 福岡天神店でチーズリゾットを楽しむなら、いくつかのポイントを押さえておくと満足度が格段に上がります。まず**1つ目はスープを残しすぎないこと**。つけ麺を食べている最中にスープをがぶ飲みしてしまうとリゾットに使えるスープが足りなくなりますが、逆に残しすぎるとリゾットがシャバシャバになってしまいます。理想はスープの**3分の2程度**を残す感覚です。**2つ目はIHの火加減**。強火で一気に沸騰させるのではなく、中火でじわじわと温めてからご飯を投入することで、スープとご飯が均一に馴染みます。**3つ目はチーズを入れるタイミング**。ご飯を入れてかき混ぜ、全体がふつふつと煮立ったところでチーズを投入し、すぐに火を止めるのがベスト。余熱でチーズがとろりと溶け、スープ・ご飯・チーズの三位一体が完成します。この手順を知らずに「とりあえず全部入れて加熱」すると、チーズが焦げ付いたり水分が飛びすぎたりするので要注意です。
「スープ割り」との根本的な違いを理解する
つけ麺のシメといえば、多くの店では**スープ割り**——残りのつけ汁に出汁や和風スープを足して薄めて飲む——が一般的です。東京の大勝軒や六厘舎をはじめ、つけ麺の名店の多くがスープ割りを提供しています。しかしフジヤマ55のチーズリゾットは、スープを「飲む」のではなく「食べる」に変換するという発想の転換がなされています。スープ割りが「つけ麺の余韻を楽しむ」行為だとすれば、チーズリゾットは「つけ麺の延長線上にもうひとつの料理を生み出す」行為です。この違いは大きく、実際にフジヤマ55の常連客の中には「リゾットを食べるためにつけ麺を注文する」という本末転倒な(しかし気持ちはよくわかる)人もいるほど。福岡天神店でも「初めて来たけどリゾットに衝撃を受けた」という口コミが目立ち、とんこつラーメンの替え玉文化とはまた異なる「シメの楽しみ」を福岡に持ち込んだ意義は大きいといえます。
「チーズリゾットは有料オプション」と思われがちですが、フジヤマ55ではつけ麺を注文すればご飯・チーズ・IHヒーターの利用はすべて無料で提供される。つまり、つけ麺の価格だけで「つけ麺+リゾット」の2度おいしい体験ができる。知らずにリゾットを頼まずに帰ってしまうのは非常にもったいない。
フジヤマ55 福岡天神店のスープ製法を深掘り|48時間の”二層炊き”を読み解く
1日目:80kgの豚骨を超強火で「壊す」工程
フジヤマ55のスープ作りは、まさに「体力勝負」から始まります。1日目に使用する豚骨の量は実に**80kg以上**。一般的なラーメン店が1日に使う豚骨の量が20〜30kg程度であることを考えると、そのスケールの大きさがわかるでしょう。この大量の豚骨を**超強火**で一気に炊き上げることで、骨の組織を「壊す」レベルまで煮出します。強火で炊くことの意味は、骨髄内のコラーゲンとゼラチン質を徹底的に溶出させることにあります。弱火でじっくり炊く清湯スープとは真逆のアプローチで、スープは白濁し、トロリとした粘度が生まれます。この工程だけで丸1日。スープの番をしながら火加減を調整し続ける作業は、想像以上に過酷な仕事です。
2日目:丸鶏追加で”厚み”を加える名古屋流
2日目に入ると、前日から炊き続けた豚骨スープに**丸鶏**を追加投入します。ここがフジヤマ55のスープ製法における最大のポイントです。豚骨だけのスープは力強いコクがある反面、どうしても「重さ」が出がちです。そこに鶏の旨味を重ねることで、後味にふわっとした甘みと軽やかさが加わり、濃厚なのにどこかすっきりとした味わいが生まれます。これは九州の久留米ラーメンが豚骨一本で勝負するのとは対照的なアプローチであり、名古屋発のフジヤマ55ならではの「中部地方的な折衷感覚」ともいえるかもしれません。仕上げには**カツオ節・サバ節・アジ節**の3種の魚介乾物を投入し、動物系の旨味と魚介の香りが融合した「ダブルスープ」が完成します。この魚介の風味こそ、博多とんこつには存在しない要素であり、福岡天神店で「初めて食べる味」と感動する人が多い理由です。
「濃厚」と「くどい」の分水嶺はどこにあるのか?
フジヤマ55のスープは見た目こそドロドロの超濃厚ですが、食べてみると意外なほど**後味がすっきり**しているという評価が多いのが特徴です。この「濃厚なのにくどくない」を実現しているのが、前述した丸鶏と魚介の存在です。豚骨だけで濃厚さを追求すると、動物性脂肪の重さが口に残り、食べ進めるほどに飽きが来やすくなります。しかし、鶏の甘みが脂肪感を和らげ、魚介の香りが口の中をリセットしてくれるため、最後のひとくちまで食べ飽きない設計になっています。これはラーメン二郎のスープが「乳化」の技術で濃厚かつ飲みやすい味を実現しているのと同じ原理で、**スープの設計思想として非常にロジカル**です。フジヤマ55 福岡天神店を初めて訪れる方は、見た目の濃厚さに怖気づかず、ぜひ一口飲んでみてください。その「裏切り」に驚くはずです。
- 2009年:名古屋・大須に1号店をオープン。名古屋に濃厚つけ麺ブームを巻き起こす
- 2010年代前半:名古屋駅周辺に複数店舗を展開、株式会社55styleとして法人化
- 2010年代後半:海外展開開始。マレーシア・シンガポール・フィリピンなど東南アジアに進出
- 2021年4月:福岡天神店(今泉1丁目)をオープン。九州初進出
- 2020年代中盤:国内外合わせて約70店舗体制に拡大
フジヤマ55 福岡天神店の自家製麺に隠された職人技|小麦と加水率の科学
「きぬあかり」と「ゆめあかり」——2つの愛知県産小麦をブレンドする意味
フジヤマ55 福岡天神店で提供される麺の原料は、愛知県産のブランド小麦**「きぬあかり」**と**「ゆめあかり」**です。この2品種は愛知県の農業試験場が開発した比較的新しい品種で、きぬあかりは**2012年**に品種登録されました。きぬあかりの特徴は、中力粉ながらタンパク含有量が適度にあり、もちもちとした弾力と滑らかなのど越しを両立できること。一方のゆめあかりは**2019年**に本格的な栽培が始まった新品種で、パン用にも使える強力粉に近い特性を持ち、小麦本来の風味が強いのが魅力です。この2つをブレンドすることで、「もちもち感」と「小麦の風味」という両方の長所を引き出しているわけです。北海道産小麦やオーストラリア産小麦が主流のラーメン業界において、地元愛知の小麦にこだわる姿勢は、フジヤマ55のアイデンティティそのものといえます。
毎朝の製麺で気温と湿度に対応する「生き物としての麺」
フジヤマ55の自家製麺は、**防腐剤・保湿剤などの添加物を一切使用していません**。これは言うほど簡単なことではなく、添加物なしの麺は環境変化に非常に敏感です。気温が高い日は生地がダレやすく、湿度が高い日は水分量の調整が必要になります。そこでフジヤマ55の麺職人は、**毎朝その日の気温と湿度を計測し、小麦と水の配合比率を微調整**してから製麺にとりかかります。この工程は「レシピ通りに作ればOK」という工業的なアプローチとは対極にあり、まさに職人の経験と勘が物を言う世界です。名古屋本店で培われたこの製麺技術は福岡天神店にも継承されており、「チェーン店なのに麺が毎日微妙に違う」と感じるリピーターもいます。それは品質のブレではなく、**その日のベストを追求した結果の違い**なのです。
つけ麺の太麺と博多の極細麺——加水率が生む決定的な違い
フジヤマ55の麺は**太麺・高加水**という仕様で、これは博多ラーメンの**極細麺・低加水**とはまったく対極に位置します。加水率とは小麦粉に対する水の比率のことで、博多ラーメンの麺は一般的に加水率**26〜28%**程度。水分が少ないため麺が硬く、パツパツとした歯切れの良い食感になります。一方、フジヤマ55のような濃厚つけ麺の麺は加水率**35〜40%**程度と推測され、水分が多い分だけモチモチとした弾力とツルツルの表面になります。この高加水の太麺は、濃厚なスープをしっかり持ち上げて口に運ぶ「器」の役割を果たしており、細麺では成立しない食体験です。福岡天神店に来る福岡県民の中には、博多の極細麺に慣れているがゆえに「こんなに太い麺のラーメンを食べるのは初めて」という方もいますが、一口食べれば太麺の魅力に開眼する人が続出しています。
| 項目 | フジヤマ55(つけ麺) | 博多ラーメン(一般的) |
|---|---|---|
| 太さ | 太麺(番手14〜16番相当) | 極細麺(番手26〜28番相当) |
| 加水率 | 約35〜40%(高加水) | 約26〜28%(低加水) |
| 食感 | モチモチ・ツルツル | パツパツ・歯切れ良い |
| 小麦 | 愛知県産きぬあかり・ゆめあかり | オーストラリア産ASW等が主流 |
| 製法 | 店舗内自家製麺・無添加 | 製麺所からの仕入れが多い |
フジヤマ55 福岡天神店のメニュー全容|つけ麺以外にも光る逸品がある
「台湾まぜそば」は名古屋が誇るもうひとつの名物
フジヤマ55 福岡天神店のメニューは、看板の濃厚魚介つけ麺だけではありません。もうひとつの柱が**「台湾まぜそば」**です。台湾まぜそばは**2008年**に名古屋の「**麺屋はなび**」が考案したとされるメニューで、台湾ミンチ(唐辛子とニンニクで炒めたピリ辛ひき肉)を太麺に乗せ、卵黄・ニラ・ネギ・魚粉・海苔などと一緒にかき混ぜて食べるスタイル。名古屋発祥の麺料理であるため、同じく名古屋発のフジヤマ55にとっては「ホームグラウンドの味」というわけです。フジヤマ55の台湾まぜそばは、自家製の太麺とピリ辛の台湾ミンチが力強く絡み合い、最後に追い飯(残ったタレにご飯を入れてかき混ぜる)で完食するのがお約束。福岡では台湾まぜそばの知名度がまだ高いとは言えず、「台湾ラーメンとは違うの?」と混同する方も少なくありませんが、両者はまったく別物です。
「台湾まぜそば」と「台湾ラーメン」は名前が似ているがまったく別の料理。台湾ラーメンは1970年代に名古屋の「味仙」が考案した辛いスープ麺で、台湾まぜそばは2008年に「麺屋はなび」が考案した汁なし麺。どちらも名古屋発祥で台湾には存在しない”名古屋めし”である点も共通の誤解ポイント。
「うま辛つけ麺」——辛さの中に旨味を設計する新機軸
フジヤマ55 福岡天神店で近年注目を集めているのが**「うま辛つけ麺」**です。ベースとなる濃厚魚介豚骨スープに、特製の辛味ダレを加えたバリエーションメニューで、辛さの中にしっかりと旨味が感じられる設計がなされています。単なる「辛いつけ麺」ではなく、カツオや昆布の出汁感が辛味と共存しているのが特徴で、名古屋では「これを目当てに来る」というファンも多い人気メニューです。辛さのレベルは調整可能で、辛いものが苦手な方でも「うま辛」の旨味側を楽しめます。九州は「辛いもの好き」の土地柄でもあり、福岡天神店でも博多っ子の口に合うメニューとして好評を得ています。シメのチーズリゾットとの相性も抜群で、辛味とチーズの組み合わせは洋食的な楽しさすらあります。
ラーメンメニューも侮れない|つけ麺店のラーメンという「裏の顔」
フジヤマ55はつけ麺と台湾まぜそばが二枚看板ですが、実は**通常のラーメンメニュー**も存在します。つけ麺のスープをベースにした濃厚ラーメンは、「つけ麺のスープを器の中で楽しむ」というコンセプト。寒い日や「今日はつけるのが面倒」という気分のときに選ぶ常連客も少なくありません。福岡天神店では冬場にラーメンの注文比率が上がる傾向があるとされ、博多ラーメンに慣れた層が「とりあえずラーメンで試してみよう」と注文するケースも多いようです。つけ麺との違いは、麺がスープに浸かっているため麺の表面温度が高く、小麦の香りが立ちやすい点。「つけ麺は冷たい麺が苦手」という方にとっては、むしろラーメンのほうがフジヤマ55の魅力を感じやすいかもしれません。
フジヤマ55 福岡天神店と福岡ラーメン文化の交差点|とんこつの街に新風は吹くか
福岡のラーメン地図は本当に「とんこつ一色」なのか?
フジヤマ55 福岡天神店の存在意義を語るうえで、まず福岡のラーメン事情を正確に理解する必要があります。「福岡=とんこつ」というイメージは全国的に定着していますが、実は近年の福岡ラーメンシーンは確実に多様化しています。**2010年代後半**から天神・博多エリアには二郎系の「**ラーメン天神下大喜**」をはじめ、家系、煮干し系、鶏白湯系など、従来の福岡にはなかったジャンルの店舗が続々とオープンしました。背景にあるのは、SNSの普及による食のトレンドの全国均一化と、福岡に流入する他県出身者の増加です。特に天神・今泉エリアはIT企業の集積地でもあり、東京や大阪から移住してきた「とんこつ以外も食べたい」層が一定数存在します。フジヤマ55 福岡天神店はこの流れの中で、名古屋のつけ麺文化を福岡に持ち込んだ先駆的存在といえるのです。
「替え玉」と「チーズリゾット」——シメ文化の東西比較
福岡ラーメン文化を語るうえで外せないのが**「替え玉」**です。替え玉は**1950年代**に博多の「**元祖長浜屋**」が始めたとされる福岡独自のシステムで、極細麺が伸びやすいという弱点を逆手に取り、「少量の麺を何度も追加する」という合理的な食べ方を生み出しました。一方、フジヤマ55のチーズリゾットは、「麺を食べ終わった後にまったく別の料理に変化させる」というアプローチ。どちらも「もっと食べたい」という欲求に応えるものですが、その方法論はまったく異なります。興味深いのは、福岡天神店に来た常連客の中に「替え玉感覚でリゾットを楽しめる」という評価があること。スープを最後まで味わい尽くすという点では共通しており、福岡の食文化との親和性は意外と高いのかもしれません。
実はつけ麺不毛の地だった福岡|その歴史的な理由
福岡でつけ麺が長らく定着しなかった理由は、単に「とんこつが強すぎるから」だけではありません。もっと根本的な要因として、**福岡のラーメン文化が「熱いスープ×極細麺×高速回転」という方程式で成立している**ことが挙げられます。博多ラーメンは注文から提供まで3分以内、食べる時間も5〜10分程度という超短時間での食事を前提に設計されたファストフード的な存在です。対してつけ麺は、麺をスープにつけて食べるという動作が入る分、必然的に食事時間が長くなります。さらにフジヤマ55のようにシメのリゾットまで楽しむとなると、30分近く滞在することも珍しくありません。この「食事のテンポ感」の違いが、福岡でつけ麺が浸透しにくかった構造的な理由です。しかし**2020年代**に入り、テレワークの普及でランチを急ぐ必要がなくなった層が増加したことも、つけ麺受容の追い風になっています。
実は名古屋と福岡のラーメンシーンには意外な共通点がある。どちらも「地元の味が強すぎて他ジャンルが浸透しにくい」という構造を持っていた。名古屋は味噌文化、福岡はとんこつ文化。フジヤマ55は名古屋でその壁を打ち破った実績があるからこそ、福岡でも同じ挑戦ができたのだろう。
フジヤマ55 福岡天神店を120%楽しむための実践ガイド|初訪問から通い方まで
初めてなら「濃厚魚介つけ麺」一択——迷わず王道を選べ
フジヤマ55 福岡天神店に初めて行くなら、注文すべきは迷わず**濃厚魚介つけ麺**です。台湾まぜそばやうま辛つけ麺も魅力的ですが、まずはフジヤマ55の真骨頂である「48時間炊きスープ×自家製太麺×チーズリゾット」のフルコースを体験すべきでしょう。麺の量は並盛・中盛・大盛から選べますが、チーズリゾットで〆ることを考慮すると、初回は**中盛**がバランスのいい選択。大盛にするとリゾットまでたどり着く前に満腹になってしまうリスクがあります。無料の野菜増しは「少なめ」からスタートするのが無難で、常連になってからボリュームを調整していけばいいでしょう。卓上には**酢・ラー油・一味唐辛子**が置いてあり、途中で味変を楽しめるのもポイントです。
通い始めたら試したい「台湾まぜそば+追い飯」の背徳ルート
濃厚魚介つけ麺を何度か食べてフジヤマ55の味に馴染んだら、次に試すべきは**台湾まぜそば**です。つけ麺がフジヤマ55の「表の顔」だとすれば、台湾まぜそばは「裏の顔」。ピリ辛の台湾ミンチ、卵黄のまろやかさ、ニンニクのパンチ、魚粉の風味——これらを自家製太麺と一気にかき混ぜたときの混沌とした旨味は、つけ麺とはまったく別の快楽です。食べ終わったら器の底に残ったタレに**追い飯**(ご飯)を投入し、最後までタレを味わい尽くすのがフジヤマ55流。つけ麺のチーズリゾット同様、「最後の一滴まで味わう」という思想が貫かれています。追い飯はつけ麺のリゾットと同じく追加料金なしで提供されます。名古屋ではこの追い飯だけでご飯一膳食べてしまう猛者もいるとか。
曜日と時間帯の選び方|木曜ランチと土曜通しの使い分け
フジヤマ55 福岡天神店を効率よく楽しむなら、**曜日選びが重要**です。前述の通り、木曜日はランチタイムのみ(11:00〜14:50)の営業で、夜の部はありません。逆に**土曜日は11:00〜21:20の通し営業**なので、14時台の「昼夜の狭間」を狙えば比較的空いている時間帯に入れる可能性が高いです。もっとも混雑するのは**金曜の夜**と**土曜の昼**。特に12時台はカウンター席がすべて埋まることも珍しくありません。日曜は20:20閉店と少し早めなので、ディナー利用の場合は18時台には入店したいところです。なお、**月曜は定休日**なので要注意。今泉エリアは月曜定休の飲食店が多い地域でもあり、「月曜に今泉でラーメン」と思ったら閉まっていた、という事態を避けるためにもスケジュール確認は忘れずに。
・住所:福岡市中央区今泉1-19-12 1F
・最寄駅:西鉄福岡(天神)駅 徒歩約5分
・営業時間:火水金 11:00〜14:50/17:30〜21:20、木 11:00〜14:50、土 11:00〜21:20、日 11:00〜20:20
・定休日:月曜日
・予算:〜1,000円(ランチ・ディナーとも)
まとめ|フジヤマ55 福岡天神店は”名古屋の本気”を福岡で味わえる唯一の場所
フジヤマ55 福岡天神店は、名古屋で2009年に生まれた濃厚つけ麺の文化を、とんこつの聖地・福岡に正面から持ち込んだ挑戦的な一店です。48時間かけて炊き上げるダブルスープ、愛知県産小麦の無添加自家製麺、そして食後のチーズリゾットという「三段構え」の食体験は、博多ラーメンとはまったく異なる軸の満足感を提供してくれます。とんこつ一色だった福岡のラーメン地図に新たなピンを立てた意義は、単なる一店舗の出店を超えています。
この記事のポイントを振り返りましょう。
- フジヤマ55は**2009年に名古屋・大須で創業**し、国内外約70店舗を展開する濃厚つけ麺の名店
- 福岡天神店は**2021年4月オープン**、今泉1丁目に立地し、天神駅から徒歩約5分
- スープは**豚骨80kg超+丸鶏+3種の魚介節**で丸2日かけて仕込むダブルスープ
- 麺は愛知県産「**きぬあかり**」「**ゆめあかり**」をブレンドした無添加自家製麺
- シメの**チーズリゾットは無料**。卓上IHでスープにご飯とチーズを入れて自分で仕上げる
- 台湾まぜそば・うま辛つけ麺・ラーメンなど、**つけ麺以外のメニューも充実**
- 営業は**火〜日(月曜定休)**、木曜はランチのみ、土曜は通し営業
もしあなたが「福岡でとんこつ以外のラーメンに出会いたい」と思っているなら、フジヤマ55 福岡天神店はまさにうってつけの一杯目です。まずは濃厚魚介つけ麺の中盛を注文し、チーズリゾットまで完走してみてください。名古屋が誇るつけ麺文化の本気を、天神のカウンター席で体感できるはずです。
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