福島県の山あいに、海水ではなく温泉水から塩を作る集落があります。裏磐梯の大塩裏磐梯温泉で汲み上げた源泉を薪釜でじっくり煮詰め、100リットルの温泉水からわずか800g〜1kgしか採れない——それが会津山塩です。この希少な塩を惜しみなくラーメンのスープに使った「会津山塩ラーメン」は、現在およそ20〜30店舗の承認店で提供されていますが、どの店を選べばいいのかは意外と情報が少ないのが現状です。
この記事では、会津山塩ラーメンの歴史と塩そのものの秘密を紐解いたうえで、裏磐梯・喜多方・会津若松の3エリアから厳選した8店舗をランキング形式で紹介します。元祖の一杯から駅ナカの気軽な一杯まで、あなたの旅の目的にぴったりの山塩ラーメンがきっと見つかるはずです。
・会津山塩が温泉水から作られる製法と、海塩との決定的な違い
・弘法大師の時代から続く山塩の歴史と2007年の復活劇
・裏磐梯・喜多方・会津若松エリア別おすすめ8店舗の価格・営業時間・アクセス
・初訪問で後悔しないエリア別モデルコースと定休日の注意点
会津山塩ラーメンの正体|温泉水100リットルからわずか1kgの「奇跡の塩」

大塩裏磐梯温泉から生まれる山塩の製法は「煮詰め」にある
会津山塩の原料は、福島県北塩原村にある大塩裏磐梯温泉の源泉水です。この温泉水には天然の塩分が溶け込んでおり、地元の会津山塩企業組合がその源泉を汲み上げ、薪釜で長時間かけて煮詰めることで結晶化させます。海水から精製される一般的な食塩とは異なり、温泉水に含まれるミネラル分がそのまま塩に凝縮されるのが特徴です。100リットルの温泉水から採れる山塩はわずか800g〜1kg。大量生産はできず、手作業に頼る昔ながらの製法が今も受け継がれています。この希少性こそが、ラーメン1杯に使うだけでも贅沢と言われるゆえんです。
弘法大師の伝説から途絶、そして2007年の復活劇
大塩裏磐梯温泉で塩が作られていた歴史は古く、弘法大師が弘仁年間(810〜824年)にこの地を訪れた際に塩泉を発見したという伝説が残ります。江戸時代には会津藩への献上塩として珍重され、地域の重要な産業でした。しかし、明治以降に安価な海塩が流通するようになると採算が取れなくなり、山塩づくりは途絶えてしまいます。長い空白期間を経て2007年に地元有志が会津山塩企業組合を設立し、伝統の製法を現代に復活させました。ここからが、会津山塩ラーメンの歴史の始まりです。
- 810〜824年:弘法大師が大塩裏磐梯温泉の塩泉を発見したと伝わる
- 江戸時代:会津藩への献上塩として地域経済を支える
- 明治以降:海塩の流通拡大により山塩づくりが途絶
- 2007年:会津山塩企業組合が設立され、伝統製法が復活
- 2008年頃:喜多方「喜一」店主が約1年かけて会津山塩ラーメンを完成
- 現在:承認店は20〜30店舗に拡大、福島を代表するご当地ラーメンへ
海塩とは別物?塩化ナトリウム含有率77%が意味すること
「塩なんてどれも同じ」と思われがちですが、実は会津山塩の塩化ナトリウム含有率は約77%です。一般的な海塩が90%以上であることを考えると、13ポイント以上も低い計算になります。その分だけカルシウム・マグネシウム・カリウムなどのミネラルが豊富に含まれており、舌の上で感じる味わいは「しょっぱさ」よりも「まろやかさ」が先に立ちます。ラーメンのスープに使った場合、塩味のカドが取れてダシの旨みがストレートに伝わるのが山塩の真骨頂です。塩分を気にする方にとっても、同じ量の塩でナトリウム摂取量が下がるというメリットがあります。
| 項目 | 会津山塩 | 一般的な海塩 |
|---|---|---|
| 塩化ナトリウム含有率 | 約77% | 90%以上 |
| カルシウム | 多い | 少ない |
| マグネシウム | 多い | 中程度 |
| 味の印象 | まろやか・甘み | シャープ・キレ |
| スープへの影響 | ダシの旨みが前面に | 塩味が主張する |

喜多方「喜一」の店主が約1年かけて完成させたラーメン開発史
会津山塩をラーメンに使うことを初めて形にしたのが、喜多方市の「喜一」店主・吉田満です。2007年に山塩が復活した直後から、吉田氏はこの塩の特性をラーメンスープに活かす方法を模索し始めました。通常の塩ラーメンのレシピでは山塩のまろやかさが活きず、スープの骨格から見直す必要があったといいます。約1年の試行錯誤を経て2008年前後に完成した一杯は、当初「毎週火曜限定」の幻のメニューとして提供されていました。口コミで評判が広まるにつれ、吉田氏のもとには他の店舗からも「山塩ラーメンを出したい」という相談が寄せられるようになり、元喜塾と呼ばれる技術指導の場が生まれます。ここから会津山塩ラーメンの輪が福島県全域に広がっていきました。
喜一(きいち)|県民ラーメン総選挙2年連続1位、朝9時開店の幻の一杯
750円の透きとおるスープに詰まった哲学
喜一の会津山塩ラーメンは750円。器に注がれたスープは、底が見えるほどの透明度を持っています。鶏ガラと野菜を丁寧に炊いた清湯スープに、会津山塩を合わせることで実現するこの澄んだ色合いは、一口すするだけでわかるほど雑味がありません。山塩のまろやかなミネラル感がダシの旨みと一体化し、口に含んだ瞬間に広がるのは「しょっぱさ」ではなく「甘み」に近い余韻です。麺は喜多方ラーメンの伝統を受け継ぐ平打ち縮れ麺で、スープの持ち上げが抜群に良いのも特徴です。チャーシューも丁寧に仕込まれた薄切りタイプで、スープの世界観を壊さない繊細な味わいに仕上がっています。
喜一は食べログ「百名店 EAST 2025」にも選出されており、福島県民ラーメン総選挙では2年連続で第1位を獲得しています。座席はカウンター9席とテーブル3卓の計27席のみ。現金払い限定で、予約も不可というスタイルです。
平日朝9時開店・売切終了・土日休みという潔さ
喜一の営業時間は月曜から金曜の朝9時〜14時。しかも「売切れ次第終了」のため、実際には昼前に閉まってしまうことも珍しくありません。さらに土曜・日曜は定休日という潔さで、観光客にとっては訪問のハードルが高い店でもあります。「平日の朝に喜多方まで行ける人」だけが味わえるという希少性が、かえってファンの熱量を高めている面もあるでしょう。地元の常連客は開店前から並ぶのが日常で、開店と同時に席が埋まることも多いといいます。旅行の日程に喜一を組み込むなら、最低でも平日に1日確保することを強くおすすめします。
「元喜塾」から巣立った弟子たちが広げる山塩ラーメンの系譜
吉田氏は自ら完成させた山塩ラーメンの技術を独占せず、「元喜塾」という場で後進の育成に努めてきました。ここで学んだ料理人たちが各地で山塩ラーメンの店を開き、今日の「承認店」のネットワークが形成されています。同じ「会津山塩」を使っていても、スープのベースや麺の選択は店ごとに異なるため、巡れば巡るほど山塩の多様な表情に出会えるのが面白いところです。喜一はその系譜の「根っこ」にあたる存在であり、他のどの店を訪問した後でも、原点である喜一の一杯に戻ると「ここから始まったのか」と感じる説得力があります。いわば会津山塩ラーメン巡りの聖地です。
| 住所 | 福島県喜多方市関柴町上高額境田635-7 |
| 電話番号 | 0241-24-2480 |
| 営業時間 | 月〜金 9:00〜14:00(売切終了) |
| 定休日 | 土曜・日曜 |
奥裏磐梯らぁめんや|明治の検断屋敷と桧原湖の絶景が調味料になる一杯

明治時代の検断屋敷を移築した唯一無二の空間で食べるラーメン
奥裏磐梯らぁめんや(旧店名:Sio-YA)は、北塩原村の桧原湖畔に建つラーメン店です。店舗の建物は明治時代の検断屋敷(地域の庄屋に相当する役職の屋敷)を移築復元したもので、太い梁や柱が当時の面影を色濃く残しています。窓からは桧原湖の絶景が広がり、四季折々の裏磐梯の自然を眺めながらラーメンをすすることができます。ラーメン店としては異例のロケーションで、この「場所の力」も一杯の味わいに深みを加えていると言えるでしょう。山塩の故郷である北塩原村で、その山塩を使ったラーメンを食べるという体験自体が一種のストーリーになります。
山塩ラーメン900円・チャーシューメン1,200円のメニュー構成
メニューの柱は会津山塩ラーメン900円と会津山塩チャーシューメン1,200円の2本立てです。山塩ラーメンは、鶏ガラベースの清湯スープに北塩原村産の山塩を合わせた王道の一杯。透明感のあるスープから立ちのぼる香りは、磯の匂いとは無縁のやわらかな塩気が特徴です。チャーシューメンは贅沢に盛られた自家製チャーシューが主役で、脂身の甘さと山塩スープのまろやかさが見事に調和します。醤油や味噌といった他の味のラーメンも提供していますが、ここに来たなら迷わず山塩を選ぶのが正解です。「スープなくなり次第終了」なので、午前中の早い時間帯に訪問することをおすすめします。
奥裏磐梯らぁめんやは裏磐梯の観光名所(桧原湖・五色沼・磐梯山)に囲まれた好立地。開店直後の10時台に入店し、食後に五色沼自然探勝路を散策するのが地元観光協会もすすめるゴールデンルートです。紅葉シーズン(10月中旬〜11月上旬)は特に混雑するため、平日訪問が確実です。
裏磐梯ドライブの拠点としてのアクセスと駐車事情
車でのアクセスが基本となるエリアで、磐越自動車道猪苗代磐梯高原ICから国道459号を経由して約30分です。駐車場は店舗前に用意されており、桧原湖畔の観光駐車場も近くにあります。ドライブの途中で立ち寄る形が自然で、五色沼や桧原湖でのカヌー体験、冬季のスキーなど裏磐梯の観光とセットで計画するのがおすすめです。公共交通機関でのアクセスは現実的ではないため、レンタカーの手配を忘れずに。定休日は火曜日で、営業時間は10:00〜15:00(スープなくなり次第終了)です。観光シーズンは早めに売り切れることが多い点も覚えておきましょう。
| 住所 | 〒966-0400 福島県耶麻郡北塩原村大字桧原字苧畑沢1034-19 |
| 電話番号 | 0241-34-2200 |
| 営業時間 | 10:00〜15:00(スープなくなり次第終了) |
| 定休日 | 火曜日 |
五色沼の入口で出会う2つの個性|麺処零番と早稲澤屋しお〇
麺処零番 — 2023年開店、物産館で味わう新世代の山塩ラーメン
麺処零番は2023年4月に開店した、会津山塩ラーメンの承認店の中では比較的新しい存在です。場所は五色沼の西側入口にあたる裏磐梯物産館の中。観光客が五色沼散策の前後に立ち寄れる好立地で、70台収容の無料駐車場も完備しています。スープは先人たちのレシピをリスペクトしつつも、独自の工夫が感じられる仕上がりで、山塩のまろやかさをしっかり活かした透明感のある一杯です。価格は950円程度。営業時間は11:00〜15:00で、新しい店ならではの清潔感のある店内で落ち着いて食事ができます。五色沼の自然を楽しんだ後に、温かい山塩ラーメンで体を休めるという流れは、裏磐梯観光の新定番になりつつあります。
| 住所 | 福島県耶麻郡北塩原村大字桧原湯平山1171-9 裏磐梯物産館内 |
| 電話番号 | 070-8460-2142 |
| 営業時間 | 11:00〜15:00 |
「とうみぎ」は福島の方言でトウモロコシのこと。早稲澤屋しお〇の名物「会津山塩とうみぎラーメン」は、この地元産トウモロコシの甘みを山塩スープに溶け込ませた一杯で、山塩の優しい塩味とトウモロコシの自然な甘さが驚くほど合います。
早稲澤屋しお〇(しおまる) — 元民宿から生まれた「とうみぎラーメン」の衝撃
早稲澤屋しお〇は、かつて民宿だった建物を改装して営業しているラーメン店です。看板メニューの会津山塩ラーメン(900円程度)に加えて、この店の名を広めたのが会津山塩とうみぎラーメン(1,050円程度)です。「とうみぎ」とは福島の方言でトウモロコシのことで、地元・北塩原村産のトウモロコシをスープに使用しています。トウモロコシの自然な甘みと山塩のまろやかさが合わさった一杯は、他のどの山塩ラーメン店にもない唯一無二の味です。営業時間は10:00〜16:00(スープなくなり次第終了)で、定休日は水曜日。夏のトウモロコシのシーズンに訪れると、素材の甘みがひときわ際立つとされています。元民宿の建物にはどこか懐かしいたたずまいがあり、ラーメンを待つ時間も穏やかな気持ちで過ごせます。
| 住所 | 〒966-0501 福島県耶麻郡北塩原村大字桧原字中原1047-28 |
| 電話番号 | 0241-34-2100 |
| 営業時間 | 10:00〜16:00(スープなくなり次第終了) |
| 定休日 | 水曜日 |
2店をハシゴする裏磐梯観光の黄金ルート
麺処零番と早稲澤屋しお〇は、どちらも裏磐梯エリアに位置しており、車で移動すれば15〜20分ほどの距離です。午前中に一方で山塩ラーメンを食べ、五色沼自然探勝路(全長約3.6km、所要約90分)を散策した後、もう一方で別の味を楽しむという「山塩ラーメンハシゴ」が可能です。例えば、10時に奥裏磐梯らぁめんやか麺処零番で1杯目を食べ、五色沼を歩いてから早稲澤屋しお〇でとうみぎラーメンを味わう——という流れなら、半日で裏磐梯の自然と山塩の個性を同時に楽しめます。同じ山塩を使いながらも、店ごとにスープの組み立てや具材の工夫がまったく異なるのが巡りの楽しさです。

会津若松市内の2強|麺や大一と会津山塩食堂は対照的な魅力で迎え撃つ
麺や大一 — 元ワシントンホテル料理長が730円で出す本気の山塩
麺や大一(たいいち)は、元会津若松ワシントンホテルの料理長・薄井周一が腕を振るうラーメン店です。ホテルの厨房で培った技術をラーメンに注ぎ込み、看板メニューの会津山塩らーめんは730円。今回紹介する8店舗の中で最も手頃な価格帯です。元料理長が作るスープは、山塩のミネラル感を最大限に引き出しながらも上品な仕上がりで、一口目の透明感に驚く人が多いといいます。会津山塩たんめん(800円)も人気で、野菜の甘みが山塩スープと絶妙に絡みます。営業は11:00〜14:30(スープなくなり次第終了)、定休日は火曜日。地鶏醤油・山椒・味噌野菜・麻婆らーめんなど、山塩以外のメニューの幅広さも料理人としての引き出しの深さを感じさせます。
麺や大一の山塩らーめん730円は、今回紹介する8店舗の中で最安値。元ホテル料理長の技術がこの価格で味わえるのは、地元客にとっても嬉しい存在です。スープは早い日だと13時台に切れることもあるため、開店直後の11時台が確実です。
| 住所 | 〒965-0022 福島県会津若松市滝沢町6-22 |
| 電話番号 | 090-2880-6628 |
| 営業時間 | 11:00〜14:30(スープなくなり次第終了) |
| 定休日 | 火曜日 |
会津山塩食堂 — JR会津若松駅構内で旅の帰りに味わえる駅ナカの一杯
会津山塩食堂は、JR会津若松駅の1階に直結した食堂です。電車の待ち時間や観光の最後に、改札を出てすぐ山塩ラーメンが食べられるという利便性は他店にない大きな強みです。会津山塩ラーメン850円は駅ナカとしては本格的な仕上がりで、観光帰りの疲れた体にまろやかなスープが染み渡ります。会津山塩レモンラーメン(950円)というアレンジメニューもあり、レモンの酸味と山塩の甘みが意外なほど相性が良いと評判です。さらに会津山塩チャーシュー麺(1,100円)や、ソースカツ丼とのセットメニュー(1,300円)など、会津名物を一度に楽しめる構成も嬉しいポイント。営業時間は11:00〜18:00(LO 17:30)で、他の山塩ラーメン店が軒並み15時前後に閉まることを考えると、夕方まで営業しているのは旅行者にとって心強い存在です。
| 住所 | 福島県会津若松市駅前町1-1 JR会津若松駅1F |
| 電話番号 | 0242-22-1414 |
| 営業時間 | 11:00〜18:00(LO 17:30) |
会津若松市内で山塩ラーメンを楽しむなら知っておきたい動線
会津若松市内の山塩ラーメン店を効率よく巡るなら、まず麺や大一に開店直後の11時に入り、昼食として一杯目を味わうのが定石です。その後、鶴ヶ城(徒歩圏内)や七日町通りの散策を楽しみ、夕方に会津山塩食堂で締めの一杯を食べてから電車に乗る——という流れがスムーズです。2店の距離は車で10分ほど。会津山塩食堂が18時まで営業しているため、他の観光スポットを回る時間的余裕も十分に確保できます。なお、麺や大一は火曜定休ですが、会津山塩食堂は基本的に年中営業なので、曜日を気にせず立ち寄れるのもありがたい存在です。
うえんでと麺や・山の駅食堂|老舗の貫禄と高原の変化球が見せる山塩の可能性
うえんで山鹿店 — 「普通麺」と「手打麺」を選べる会津の老舗
会津若松で長年愛されてきたラーメンの老舗うえんで。その山鹿店では、「中華そば」に加えて会津山塩ラーメンをメニューに据えています。この店の面白さは、同じ山塩ラーメンでも「普通麺」(850円)と「手打麺」(950円)の2種類から麺を選べること。普通麺はしなやかで喉越しが良く、スープをすっきりと味わいたい方向け。一方、手打麺は不揃いな太さと強いコシが持ち味で、噛むたびに小麦の風味が広がります。同じスープなのに麺を変えるだけでまったく違う体験になるのは、実際に食べ比べてみないとわからない発見です。本店は大戸町にあり、他に喜多方店・郡山安積店と計4店舗を展開していますが、山鹿店は会津若松市街からのアクセスが良好で観光客にもおすすめです。
| 住所 | 〒965-0877 福島県会津若松市西栄町2-17 |
| 電話番号 | 0242-36-5078 |
| 営業時間 | 9:00〜15:00(LO 14:30) |
| 定休日 | 火曜日 |
麺や・山の駅食堂 — トマト×山塩のスープは裏切りか革命か
猪苗代町にある麺や・山の駅食堂は、会津山塩ラーメンの承認店の中でも一風変わった存在です。看板メニューの山塩とまとラーメン(1,250円程度)は、山塩スープにトマトの酸味と旨みを掛け合わせた意欲作。伝統的な山塩ラーメンとは明らかに方向性が異なりますが、トマトの酸味が山塩のまろやかさと反発するのではなく、むしろ引き立て合う関係にあるのが面白いところです。席数は28席で、ペット同伴可能なテント席も用意されているため、愛犬家にも嬉しい配慮がされています。営業時間は11:00〜18:30と山塩ラーメン店としては遅めの閉店で、定休日は木曜日。猪苗代湖や磐梯山の観光帰りに立ち寄りやすい場所にあります。
| 住所 | 福島県耶麻郡猪苗代町字山神原7082-1 |
| 電話番号 | 0241-32-3337 |
| 営業時間 | 11:00〜18:30 |
| 定休日 | 木曜日 |
麺の太さ・形状が山塩スープとどう絡むかを考える
会津山塩ラーメンの各店を食べ比べると、麺の選び方がスープの印象を大きく左右することに気づきます。うえんでの「普通麺」と「手打麺」の違いは顕著な例ですが、他の店舗でも細麺・太麺・縮れ麺とそれぞれ個性があります。一般的に、山塩スープのようなまろやかで繊細な味わいには細めのストレート麺が合いやすいとされていますが、手打ちの太麺で噛みしめると小麦の甘みが山塩のミネラル感と共鳴し、また違った美味しさが生まれます。「正解」は1つではなく、だからこそ何軒も巡りたくなるのが会津山塩ラーメンの魅力です。
| 項目 | 普通麺 | 手打麺 |
|---|---|---|
| 価格(山塩ラーメン) | 850円 | 950円 |
| 食感 | しなやか・滑らか | 強いコシ・不揃いな噛み応え |
| スープとの絡み | 均一に絡む | 不規則に絡んで変化が楽しい |
| おすすめタイプ | 初訪問・スープ重視派 | リピーター・麺の食感重視派 |
初訪問で後悔しない会津山塩ラーメンの巡り方|エリア別モデルコースと定休日の罠
裏磐梯エリアを半日で巡るモデルコース
裏磐梯エリアには奥裏磐梯らぁめんや・麺処零番・早稲澤屋しお〇の3店が集中しています。おすすめの巡り方は、まず朝10時に奥裏磐梯らぁめんやで1杯目。食後は桧原湖畔を散策し、車で五色沼の西側入口へ移動して五色沼自然探勝路を歩きます。全長約3.6km、所要約90分の散策を終えたら、ゴール地点にある裏磐梯物産館の麺処零番で2杯目——という流れが理想的です。まだ余力があれば、車で15分ほどの早稲澤屋しお〇でとうみぎラーメンを味わうことも可能ですが、3杯はさすがにお腹との相談になるでしょう。このコースなら半日で裏磐梯の自然と山塩ラーメン2〜3店を満喫できます。
喜多方〜会津若松を1日で味わうゴールデンルート
喜一を組み込む場合は平日限定のプランになりますが、その価値は十分にあります。朝9時の開店に合わせて喜一で朝ラーメンを食べ、そこから国道121号を南下して会津若松市内へ。11時すぎに麺や大一かうえんで山鹿店で2杯目を楽しみます。午後は鶴ヶ城や飯盛山を観光し、夕方に会津山塩食堂で3杯目を食べてJR会津若松駅から帰路へ——という流れです。喜多方と会津若松の距離は車で約40分。電車ならJR磐越西線で約30分と公共交通機関でも移動可能です。1日で山塩ラーメンの歴史(喜一)と現在(会津若松の店)を両方味わえる贅沢なルートです。
【半日・裏磐梯コース】奥裏磐梯らぁめんや(10時)→ 五色沼散策 → 麺処零番(12時半頃)
【1日・喜多方+会津若松コース】喜一(朝9時)→ 麺や大一 or うえんで(11時半)→ 観光 → 会津山塩食堂(夕方)
【変化球コース】麺や・山の駅食堂のトマト山塩 → 猪苗代湖 → 会津若松市内店舗
「火曜定休」が3店で重なる罠と冬季営業の注意点
会津山塩ラーメン巡りで意外と見落としがちなのが定休日の重なりです。今回紹介した8店舗のうち、奥裏磐梯らぁめんや・麺や大一・うえんで山鹿店の3店が火曜定休。さらに早稲澤屋しお〇は水曜、山の駅食堂は木曜が定休です。火曜に訪問すると一気に3店舗が選択肢から消えてしまうため、旅行の計画段階で曜日の確認は必須です。また、裏磐梯エリアの店舗は冬季(11月下旬〜4月上旬)に営業時間の短縮や臨時休業を行うことがあります。積雪量が多い地域のため、冬に訪問する場合はスタッドレスタイヤの装着と事前の電話確認を忘れないようにしましょう。
「火曜日に行ったら3店閉まっていた」は初訪問者が最も多くやる失敗です。火曜定休:奥裏磐梯らぁめんや・麺や大一・うえんで/水曜定休:早稲澤屋しお〇/木曜定休:山の駅食堂。喜一は土日休みのため、全店制覇を目指すなら月・水・金のいずれかが理想です。
他のご当地塩ラーメンとの決定的な違い
日本各地に「ご当地塩ラーメン」は数多く存在しますが、会津山塩ラーメンの最大の特徴は塩そのものが地域の風土から生まれた一次産品であることです。函館の塩ラーメンは海に面した港町の文化から発展し、佐野ラーメンは青竹打ちの麺が主役ですが、会津山塩ラーメンは「塩」が物語の中心にあります。温泉水から作られるという製法、弘法大師の時代から続く歴史、そして途絶と復活というドラマ——これらが一杯のスープに凝縮されているのです。だからこそ、現地で食べること自体が一種の「体験」になります。スーパーで買える塩では代替できない味わいが、わざわざ会津まで足を運ぶ理由になるのです。

まとめ|会津山塩ラーメンは一杯の旅になる
会津山塩ラーメンは、温泉水からわずかしか採れない希少な山塩を贅沢に使った、福島県ならではのご当地ラーメンです。弘法大師の時代から続く歴史を背負いつつ、2007年の復活を経て、現在は個性豊かな店舗がそれぞれの解釈で山塩の魅力を引き出しています。「同じ山塩なのに、店ごとにここまで違うのか」という驚きこそが、会津山塩ラーメン巡りの醍醐味です。
- 会津山塩は温泉水100Lからわずか800g〜1kgしか採れない希少な塩で、塩化ナトリウム含有率は約77%と海塩より低い
- 喜一が2008年前後に元祖・会津山塩ラーメンを完成。福島県民ラーメン総選挙2年連続1位、百名店選出の名店
- 裏磐梯エリアには奥裏磐梯らぁめんや・麺処零番・早稲澤屋しお〇が集中し、五色沼観光と合わせて半日で巡れる
- 会津若松市内では麺や大一(730円〜)・会津山塩食堂(駅ナカ)・うえんで山鹿店(手打麺選択可)の3店が好アクセス
- 麺や・山の駅食堂のトマト×山塩ラーメンは変化球ながら山塩の新たな可能性を感じさせる一杯
- 火曜日は3店が定休になるため、旅行計画では曜日の確認が必須
- 冬季は裏磐梯エリアの営業時間が短縮される場合があるため、事前の電話確認を忘れずに
まずは喜一で原点の一杯を味わい、そこから裏磐梯や会津若松の承認店へと足を伸ばしてみてください。温泉水から生まれた塩が紡ぐ透明なスープは、どの店で食べても「わざわざ来てよかった」と思わせてくれるはずです。会津山塩ラーメンは、食べるだけでなく、その背景にある歴史と風土を一緒に味わう「一杯の旅」です。

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