券売機で食券を買い、カウンターに座って数分。目の前に湯気が立ちのぼった瞬間、店員さんが放つ一言があります。「ニンニク入れますか?」——この問いかけに対して「全マシで」と答えると、丼の中身が一気に別次元へと変貌します。実はこの三文字、ニンニクだけの話ではありません。4つの項目をまとめて増量する合言葉なのです。
ラーメン豚山は、町田商店を展開する株式会社ギフトホールディングスが手がける二郎系ブランドです。本家ラーメン二郎に比べて「初心者でも入りやすい」と言われますが、それでもこのコール文化だけは健在。そして「全マシ」と「全マシマシ」を取り違えて、丼の前で青ざめる人が後を絶ちません。
結論から言えば、全マシ=ニンニク・ヤサイ・アブラ・カラメを一段階ずつ引き上げること。追加料金は0円。ただしヤサイは300gから450gへ、実に1.5倍に膨らみます。この記事では、券売機に並ぶ前の準備からコールの発声タイミング、そして完食までの食べ進め方を、豚山の公式メニュー情報をもとに順を追って解説していきます。
・「全マシ」で何がどれだけ増えるのか、4項目のグラム数まで具体的に
・食券購入からコールまでの手順と、「麺かため」を伝える正しいタイミング
・全マシと全マシマシの決定的な違いと、初回にやってはいけないコール
・汁なし・つけ麺でコールの効き方がどう変わるか
豚山の「全マシ」は4つの呪文を1つに束ねた合言葉だった

全マシとは、ニンニク・ヤサイ・アブラ・カラメを同時に一段上げること
豚山でコールできる項目は4つあります。ニンニク(すりおろした生にんにく)、ヤサイ(茹でたもやしとキャベツ)、アブラ(背脂)、カラメ(醤油ダレ=カエシ)。この4つをそれぞれ「ニンニクで、ヤサイで、アブラで、カラメで」と読み上げるのは長い。だから一言にまとめたのが「全マシ」です。
この符丁が生まれた背景には、二郎系特有の高速オペレーションがあります。麺の茹で上がりに合わせて数杯を同時に仕上げていく厨房では、客の返答に3秒以上かかると全体のリズムが崩れる。だから「全部増やしてください」を1.5秒で伝えられる言葉が必要になった、というわけです。
注意したいのは、「マシ」は「マシマシ」ではないという点。豚山の各項目は複数段階に分かれており、「マシ」はその中間段階、「マシマシ」が最大段階を指します。ヤサイで言えば標準300gに対し、マシが450g、マシマシが600g。つまり全マシは「フルスロットル」ではなく「一段ギアを上げた状態」なのです。
よくある誤解として「全マシ=全部マシマシの略」と思い込んでいる人がいますが、これは別物。略語としては「全マシマシ」という別のコールがきちんと存在します。ここを混同すると、想定の1.3倍の丼が出てきて後悔することになります。
豚山のコールはすべて無料です。1,000円の小ラーメンに「全マシ」をつけても支払いは1,000円のまま。二郎系が「コスパの怪物」と呼ばれるのは、この無料増量の存在が大きいのです。有料なのは豚(1枚100円)やうずら(5個100円)といった券売機で買うトッピングだけ。
「マシ」という言葉はどこから来たのか|三田から広がった符丁の系譜
コール文化の源流は、1968年に東京・目黒で創業し、のちに三田へ移ったラーメン二郎にあります。当初は「ニンニク入れますか?」という純粋な確認だったものが、常連たちのやり取りの中で「野菜も多めに」「脂も」と要望が積み重なり、いつしか定型の符丁へと結晶していきました。
「マシ」は「増し」の音読み的な省略形で、増量を意味します。これが二重になった「マシマシ」は、単なる強調ではなく明確に別の量を指す独立した単位として機能するようになりました。日本語として珍しい進化を遂げた言葉と言えます。
豚山を含むインスパイア系(二郎に影響を受けた店)は、この符丁をほぼそのまま継承しました。ただし店ごとに微妙な差異があります。二郎の本店系では「ヤサイ」「ニンニク」「アブラ」「カラメ」の順で読み上げるのが暗黙の作法とされますが、豚山では順番の縛りが緩く、どの順で言っても問題なく通ります。この寛容さこそがチェーンとしての設計思想です。
もう一つ知っておきたいのが、豚山では「少なめ」方向のコールも同じ枠組みで受け付けること。「ヤサイ少なめ」「ニンニク抜き」と伝えれば標準以下に調整してもらえます。増やすためだけの制度ではない、という点は初心者にとって大きな安心材料になります。

ラーメン二郎の暖簾をくぐる直前、券売機の前で固まってしまった経験はありませんか。「ニンニク入れますか?」の一言に頭が真っ白になり、思わず「大丈夫です」と答えて後…
全マシで丼はどう変わる?ヤサイ450gが作る小さな山
実際に全マシをコールすると、丼の景色は劇的に変わります。標準300gのヤサイは丼のフチとほぼ同じ高さで収まりますが、450gになるとフチから明確に盛り上がり、もやしとキャベツが円錐状の小山を形成します。この状態を二郎系の愛好家は「小富士」と呼び習わしてきました。
ニンニクは大さじ半杯から大さじ1杯へ。白い塊がヤサイの頂上に乗り、湯気とともに強烈な香りが立ちのぼります。アブラは背脂の追加で、ヤサイの上から降りかかる白い粒がスープの表面に溶け出し、口当たりを重くします。カラメは醤油ダレの追加で、スープの色が一段深い褐色に変わります。
視覚的なインパクトだけでなく、味の設計も変わります。ヤサイが増えるとスープが野菜の水分で薄まるため、カラメを同時に増やす「全マシ」は味のバランスとしてはむしろ理にかなった組み合わせです。ヤサイだけ増やしてカラメを増やさないと、後半で味がぼやけると感じる人が少なくありません。
ただし背脂の増量は別の話。アブラは味を濃くするというより口当たりを甘く重くする役割で、増やすほどスープが胃に残りやすくなります。翌日の予定が詰まっている日は、アブラだけ標準に留める「ヤサイ・カラメ・ニンニクで」という部分コールが賢い選択です。
全マシに追加料金はかからない|1,000円で完結する仕組み
豚山の小ラーメン(麺250g・豚2枚)は1,000円。ここに全マシをつけても、支払いは1,000円のまま変わりません。ヤサイ150g分ともやし、背脂、にんにく、タレが上乗せされて追加0円というのは、原価構造を考えれば驚くべき設計です。
これが成立するのは、もやしとキャベツの仕入れ原価が極めて安いから。ラーメン店の原価計算では、豚肉と小麦粉が支出の大半を占め、野菜の増量は数十円のインパクトしかありません。一方で客の満足度は跳ね上がる。二郎系が長年守ってきた「野菜無料増量」は、経営的にも合理的な仕掛けなのです。
公式メニューによれば、豚山のサイズ展開はミニ(麺125g)950円、小(麺250g)1,000円、大(麺375g)1,100円の3段階。豚の枚数で「ぶた」(5枚)と「ぶたダブル」(8枚)が用意され、小ぶたは1,250円、小ぶたダブルは1,450円です。麺量とコールは独立しているので、「ミニラーメン+全マシ」という選択も当然できます。
むしろ初挑戦なら、この組み合わせが実用的です。麺125gなら一般的なラーメン1杯の半分強。そこにヤサイ450gを積んでも、総量としては小ラーメン標準と大差ありません。「全マシを体験したいが完食の自信がない」という人にとって、ミニは救いの選択肢になります。
券売機の前で固まらないための3分間|食券からコールまでの完全手順
まずタッチパネル券売機でサイズと豚の枚数を決める
豚山の券売機はタッチパネル式で、電子マネーにも対応しています。2025年12月には券売機がリニューアルされ、メニューごとに写真が表示されるようになりました。文字だけのボタンを解読する必要がなくなったので、初訪問のハードルは以前よりかなり下がっています。
決めるべきは2つ。麺量(ミニ・小・大)と豚の枚数(通常2枚・ぶた5枚・ぶたダブル8枚)です。豚山の「小」は公式サイトが「普通のラーメン屋さんの大盛ほどあります」と明言している通り、他店の基準とは別物。初回は迷わずミニか小を選ぶのが安全です。
有料トッピングもここで購入します。生玉子50円、味玉100円、うずら5個100円、白髪ネギ100円、辛ニラ100円、粉チーズ100円、肉あぶら150円、マヨネーズ50円、ぶっカリー100円。ライスは150円、大ライスは200円です。これらは券売機で買っておかないと後から追加できないので、全マシを狙うなら「食べきれなかったときの逃げ道」としてライスを1枚買っておく手もあります。
注意したいのは、混雑時に並ぶ前に食券を買うのか、席が空いてから買うのかが店舗によって異なる点。券売機が店外にある店舗もあれば、店内の入口脇にある店舗もあります。列の最後尾で先客の動きを1分観察すれば、その店の作法はすぐに読み取れます。
「麺かため」はコールではなく食券を渡す瞬間に伝える
ここが初心者が最もつまずくポイントです。麺のかたさは「ニンニク入れますか?」のコールでは受け付けられません。麺は茹で時間そのものを変える必要があるため、丼の仕上げ段階では手遅れなのです。
正しいのは、着席して食券をカウンターに置くタイミングで「麺かためで」と伝えること。豚山の極太麺は加水率が低めで小麦の風味が強く、標準の茹で加減でもかなりの歯応えがあります。かためを指定すると芯が残る「バキバキ」に近い状態になるため、二郎系初挑戦の人はまず標準で食べてみるのが無難です。
逆に「麺やわらかめ」も同じタイミングで伝えられます。極太麺を噛み切るのが苦手な人、顎への負担を減らしたい人には有効な選択肢です。二郎系というと「かためが正義」という空気がありますが、豚山の麺は柔らかめでもスープを吸って別の旨さを見せるので、好みで選んで問題ありません。
この「麺のかたさは食券を渡すとき、トッピングは着丼直前」という二段構えの仕組みは、厨房の作業順序をそのまま反映したもの。麺を茹で始める前に必要な情報と、丼に盛る直前に必要な情報が分かれている、と理解すれば覚えやすいはずです。
着丼直前の「ニンニク入れますか?」が全マシの発声タイミング
麺の湯切り音が聞こえ、店員さんがこちらを見る。この瞬間がコールのタイミングです。問いかけは「ニンニク入れますか?」ですが、これはニンニクだけを聞いているわけではなく「トッピングの希望をどうぞ」という意味の定型句だと理解してください。
ここで「全マシで」と答えれば完了。1.5秒で終わります。もし部分的に調整したいなら、「ニンニク少し、ヤサイマシ、カラメで」のように一息で一気に読み上げるのが豚山流です。項目ごとに区切って店員さんの返事を待つと、その分だけ厨房のリズムが遅れます。
何も要らない場合は「そのままで」または「大丈夫です」。この返答をすると、ニンニク抜き・ヤサイ標準300g・アブラ標準・カラメ標準で提供されます。豚山はデフォルトでニンニクが入らないので、翌日に人と会う予定があるなら黙って標準を選ぶのが正解です。
声が小さくて聞き返される、というのはよくある光景ですが、店員さんは慣れているので気にする必要はありません。むしろ聞き取れないまま推測で作られる方が困るので、はっきり言い直しましょう。緊張して噛んでも、二郎系の店員さんはそれで機嫌を損ねたりしません。
豚山の注文は「①券売機でサイズ決定 → ②食券を渡すときに麺のかたさ → ③着席して待つ → ④着丼直前にコール」の4ステップ。麺のかたさとトッピングでタイミングが違うことだけ覚えておけば、初訪問でも詰まりません。
食べ終わったあとの所作|どんぶりを上げ台へ、卓を拭く
二郎系の作法として、食後の片付けまでが一連の流れとされています。豚山でも同様で、食べ終わったらどんぶりをカウンター上の返却棚(上げ台)に置くのが基本。棚がない店舗ではカウンターの奥側に寄せるだけで構いません。
さらに、卓上に置かれた台拭きやペーパーで自分の使った場所を軽く拭く。極太麺を啜れば、どうしてもスープが飛びます。次の客がすぐに座れる状態にして席を立つ、というのが二郎系で共有されているマナーです。
この作法は精神論ではなく実務的な理由があります。二郎系は席数が少なく回転で成り立つ業態で、店員は厨房から離れられない。客が5秒使って卓を拭くことで、行列全体の待ち時間が縮まる仕組みになっているのです。
なお、豚山は本家二郎に比べて店内での滞在ルールが緩いのも特徴です。水はセルフサービスで、紙エプロンも自由に取れる。食後にスマートフォンを触っていても咎められることはまずありません。ただし満席で外に列ができているときは、食べ終わったら速やかに席を立つ配慮をしたいところです。
ニンニク・ヤサイ・アブラ・カラメは何がどれだけ増えるのか

ニンニクは大さじ半杯→1杯→2杯の三段ロケット
ニンニクは4段階で調整できます。「抜き」「少し(大さじ半杯)」「ニンニク(大さじ1杯)」「ニンニクマシマシ(大さじ2杯)」。全マシに含まれるのは「ニンニク」=大さじ1杯のレベルです。
大さじ1杯というのは、生のにんにくとしてはかなりの量です。一般的な料理で1人前に使うにんにくは1片(約5g)程度ですが、大さじ1杯は約12〜15gに相当し、にんにく2〜3片分。これがすりおろされた状態で丼に投入されるため、香りの立ち方は料理のそれとは次元が違います。
体への影響も無視できません。にんにくの臭気成分アリルメチルスルフィド(AMS)は血流に乗って肺から呼気として排出されるため、歯磨きやガムでは消えず、摂取量に比例して翌日まで残ります。大さじ2杯のマシマシとなれば、翌日の午後まで自覚できるレベルで臭いが続くと考えておくべきです。
逆に言えば、休日前の夜であればこれほど楽しい増量もありません。にんにくの辛味成分がスープの脂と結びつくと、独特の甘みを持った刺激に変わります。全マシの醍醐味の半分は、このニンニク大さじ1杯が作り出していると言っても過言ではないでしょう。
ヤサイは150g/300g/450g/600gの4段階
ヤサイは豚山のコールで最も見た目が変わる項目です。「少なめ150g」「標準300g」「ヤサイ450g」「マシマシ600g」の4段階。全マシに含まれるのは450gのレベルです。
厚生労働省が推奨する野菜の1日摂取目標量は350gですから、ヤサイ450gだけで1日分を超えます。もっとも、豚山のヤサイはもやし主体で茹でてあるため、栄養価という点ではビタミンCの多くが失われています。ただし食物繊維とカリウムは残るので、スープの塩分に対する緩衝材としては一定の意味があります。
物理的な問題として、450gのヤサイは丼のフチから明確に盛り上がります。この状態でレンゲを使うのは難しく、まずヤサイの山を崩さないと麺にたどり着けません。600gのマシマシに至っては、丼の上に20cm以上の高さでそびえ立つこともあり、着席したまま食べ始めるには技術が要ります。
初挑戦なら450gが上限だと考えるのが現実的です。もやしとキャベツは水分が多く、食べ進めるほど胃の中で膨らむわけではありませんが、噛む回数が単純に増えるため咀嚼の疲労で食べる速度が落ちる。これが完食を阻む最大の要因になります。
アブラは背脂、カラメは醤油ダレ|まったく別方向の増量
この2つを混同している人が驚くほど多いのですが、アブラとカラメは効き方が正反対です。アブラは背脂の追加で「標準/アブラ/アブラマシマシ」の3段階。カラメはカエシ(醤油ダレ)の追加で「標準/カラメ/カラカラ」の3段階です。
背脂は茹でて甘みを引き出した豚の脂身で、スープに溶けると口当たりがまろやかになります。塩気を強くする作用はほとんどなく、むしろ脂のコーティングで塩味を包み込むため、味そのものは丸くなる方向に動きます。「こってりさせたい」ならアブラです。
一方カラメは醤油ダレそのものの追加なので、塩分と醤油の香りが直接的に増します。スープの色が濃くなり、味の輪郭がはっきりする。ヤサイを増やすと野菜から出る水分でスープが薄まるので、それを補正する意味でカラメを併用するのが定石です。
失敗しやすいのは「濃い味が好きだからアブラマシマシ」と頼んでしまうケース。期待した塩気は増えず、脂だけが重くのしかかって後半で失速する——これが典型的なパターンです。濃さが欲しいならカラメ、コクが欲しいならアブラ。この区別さえ押さえれば、コールの精度は一気に上がります。

ラーメン二郎のカウンターで、店員さんから「ニンニク入れますか?」と聞かれる。この一言が、実はニンニクだけを聞いているわけではないことをご存じでしょうか。あの問い…
| 項目 | アブラ | カラメ |
|---|---|---|
| 正体 | 茹でた背脂 | 醤油ダレ(カエシ) |
| 段階 | 標準/アブラ/マシマシ | 標準/カラメ/カラカラ |
| 味への影響 | 甘み・コクが増す | 塩気・醤油感が増す |
| 胃への負担 | 大きい | 小さい(喉は渇く) |
| ヤサイ増量時の相性 | どちらでも可 | 併用推奨 |
【ラーメンもぎ調べ】コール段階別・丼の中身早見表
公式メニューが公表している麺量とヤサイのグラム数をもとに、コール段階ごとの丼の中身を整理してみました。小ラーメン(麺250g・豚2枚)を基準にしています。
| コール | ヤサイ | ニンニク | 難易度の目安 |
|---|---|---|---|
| そのまま(無コール) | 300g | なし | 初訪問向き |
| ヤサイ少なめ・ニンニク少し | 150g | 大さじ半杯 | 最も食べやすい |
| ニンニクのみ | 300g | 大さじ1杯 | 標準的 |
| 全マシ | 450g | 大さじ1杯 | 2〜3回目以降 |
| 全マシマシ | 600g | 大さじ2杯 | 熟練者向け |
この表で注目したいのは、全マシと全マシマシの差がヤサイ150g・ニンニク大さじ1杯分もあるという点です。数字だけ見ると小さく思えますが、茹でたもやし150gは生のもやし約1袋分。丼の上に袋1つ分のもやしが余計に載ると考えれば、その差の大きさが実感できるはずです。
また、麺量はコールでは変えられません。麺を増やしたい場合は券売機で「麺増し125g(100円)」を買うか、大ラーメン(麺375g・1,100円)を選びます。「全マシ」で麺まで増えると誤解している人がいますが、麺は食券で決まる領域です。
「全マシ」と「全マシマシ」を取り違えると本当に地獄を見る
全マシマシはヤサイ600g+ニンニク大さじ2杯の最終形態
全マシマシは、4項目すべてを最大値に設定するコールです。ヤサイ600g、ニンニク大さじ2杯、アブラマシマシ、カラカラ。この状態の丼は、もはやラーメンというより「野菜の山にスープが仕込まれた構造物」に近い姿になります。
ヤサイ600gが丼に積まれると、頂点はテーブル面から見て相当な高さになります。着席したまま箸を入れると崩落するため、まず頂上のヤサイを別皿(もらえる店舗もあります)か、レンゲに退避させながら食べ進める必要が出てきます。この作業だけで数分を要します。
味の面でも別物です。カラカラはカエシの最大投入で、スープを飲み干せば1日の塩分摂取目安を大きく超えます。厚生労働省の食事摂取基準では成人男性の食塩相当量の目標が1日7.5g未満とされていますが、二郎系のスープはこれを単独で超える塩分量を含むと言われています。スープを残す判断は健康管理としてまったく正しい選択です。
豚山の公式・非公式を問わず、多くの案内が「初めての方はヤサイマシマシをご遠慮ください」と呼びかけているのはこのためです。挑戦する権利は誰にでもありますが、それは自分の胃の容量を知ってからの話になります。
「全マシ」と言ったつもりが「全マシマシ」と聞こえてしまう——これが初回で最も多い事故です。緊張して早口になると「ぜんまし」が「ぜんましまし」に聞こえることがあり、店員さんも忙しい中で判断します。対策は、区切って「ぜん・マシで」とゆっくり言うこと。あるいは「ニンニク、ヤサイ、アブラ、カラメで」と項目を並べれば、マシマシと誤認されることはありません。
豚山はロット制ではない|残しても店は咎めない、しかし
本家二郎の一部店舗には「ロット」という概念があります。同時に茹でた数杯分を1組として提供するため、その中の1人が極端に遅いと次のロットが回らない——だから食べる速度も暗黙のマナーになる、という文化です。
豚山はこのロット制を採っていません。チェーンとしてオペレーションを標準化する過程で、客ごとに独立して提供する方式に整理されました。だから食べる速度を他人と合わせる必要はなく、ゆっくり食べても問題ありません。ここが「初心者でも入りやすい」と言われる最大の理由です。
食べ残しについても、豚山では特に咎められることはありません。無理をして体調を崩すより、残して帰る方が合理的だという考え方が浸透しています。ただし——これは店のルールではなく個人の姿勢の話ですが——残すとわかっている量を最初から頼むのは避けたいところです。
もやし1袋分を捨てることの意味を考えれば、答えは自ずと出ます。「食べられる量をコールする」のは我慢ではなく、二郎系という文化への敬意の示し方の一つです。そして実際、自分の適量でコールした一杯の方が、最後まで旨いまま食べ切れます。
実は、全マシは「上級者の証」ではない
意外と知られていないのですが、二郎系を長く食べている人ほど全マシを頼まなくなる傾向があります。理由は単純で、増量が必ずしも旨さの増加につながらないからです。
豚山のスープは、麺250gとヤサイ300gに対して最適化された塩分濃度と脂の量で設計されています。ここにヤサイを450g、600gと足していくと、野菜の水分でスープが希釈され、カラメで補正してもバランスは元に戻りません。標準こそが店の意図した完成形——これは二郎系に限らず、あらゆるラーメンに共通する原則です。
では全マシに意味がないのかというと、そうではありません。全マシの価値は「店の設計とは別の、自分好みの一杯を組み立てられること」にあります。にんにくの香りを主役にしたい日、野菜を腹一杯食べたい日、脂で満たされたい日——その日の欲求に丼を合わせられるのがコール文化の本質です。
だからこそ、「全マシ=強者」という図式で見るのは的外れです。むしろ「ヤサイ少なめ、ニンニク少し」と的確にコールできる人こそ自分を知っている。豚山のコールは度胸試しではなく、自分の胃と好みに合わせたチューニングの道具なのです。
豚山の全マシを気持ちよく完食するための頼み方と食べ進め方
前日から仕込む|胃の容量は当日の朝食で決まる
全マシの完食は、店に入る前から始まっています。よくある勘違いが「お腹を空かせて行けば入る」というもの。実際には逆で、極端な空腹状態は胃が収縮しているため、序盤で満腹信号が出やすくなります。
理想は、来店の4〜5時間前に軽い食事を摂っておくこと。胃がある程度動いている状態の方が、大量の食物を受け入れやすくなります。前日に暴飲暴食をして胃を疲れさせるのは論外ですが、極端な絶食もまた失敗の元です。
もう一つ効くのが水分のコントロール。来店直前に大量の水やお茶を飲むと、その分だけ胃の容量が埋まります。豚山は水がセルフサービスですが、食前にコップ1杯を飲み干すのは避け、食べながら少しずつ口を潤す程度に留めるのが賢明です。
そして意外に効くのが体を動かしておくこと。来店前に一駅分歩くだけでも代謝が上がり、食欲と消化能力が高まります。二郎系を食べ慣れた人が「歩いて店に向かう」ことを習慣にしているのは、儀式ではなく実利があるからです。
ヤサイの天地返しはしない|スープに沈めて崩すのが正解
ヤサイ450gの山を前にして最初にやるべきことは、麺を掘り出すこと——ではありません。多くの人が最初に試みる「天地返し」(丼の底の麺を上に、ヤサイを下に入れ替える動作)は、実は難易度が高くリスクも大きい方法です。
丼のフチギリギリまで具材が詰まった状態で麺を持ち上げれば、ヤサイがカウンターに落ちます。そもそも極太麺は重く、箸で持ち上げた瞬間に丼全体のバランスが崩れる。この失敗は豚山の店内で日常的に発生しています。
推奨されるのは、頂上のヤサイから食べて高さを下げ、少しずつスープに沈めていく方法です。ヤサイは沈めるとスープを吸って旨くなり、同時にスープの温度も適温に下がります。3分ほどかけて山を平らにしてから麺に手をつける——これが最も安定した手順です。
この段階でニンニクをどう扱うかも重要です。頂上に乗ったニンニクを最初に全部スープへ溶かすと、序盤から強烈な刺激で舌が慣れてしまいます。半分は溶かさずに残し、後半で溶かすと味の変化が生まれ、飽きずに食べ切れます。
「ヤサイから片付けて、麺は最後にゆっくり」——この順序で食べるとほぼ確実に麺が伸びます。豚山の極太麺は加水率が低く、スープを吸う速度が速いため、10分も経てば別物の食感になります。原因はヤサイを完食しようとすること、対策はヤサイと麺を交互に食べること。山を平らにしたら、すぐ麺に手をつけて交互に進めるのが鉄則です。
豚(チャーシュー)は序盤に食べるか、温存するか
豚山の「豚」は、本家二郎と同様に厚切りの煮豚です。通常の小ラーメンで2枚、「ぶた」なら5枚、「ぶたダブル」なら8枚が入ります。この豚をいつ食べるかで、後半の満足度が変わります。
結論としては、1枚目を序盤、残りを中盤以降に分散させるのが定石です。豚は脂身を多く含むため、序盤に一気に食べると胃が脂で満たされ、麺が入らなくなります。かといって最後まで温存すると、スープの熱で脂が抜けきってパサついてしまう。
ぶたダブル(8枚)を頼んだ場合、豚だけで相当な重量になります。麺250gの小ぶたダブルは1,450円ですが、この構成は「麺を食べに来た人」ではなく「豚を食べに来た人」向けの設計。ヤサイまで全マシにすると総重量が跳ね上がるので、豚を増やすならヤサイは標準に留めるのがバランスの取れた選択です。
券売機で買えるお持ち帰り豚200g(500円)という選択肢もあります。店内で食べきれない分を無理に押し込むより、家に持ち帰って翌日のご飯のおかずにする方が、豚に対しても誠実な扱いと言えるでしょう。
初回・2回目・3回目のおすすめコール設計
豚山を段階的に攻略するなら、コールも段階的に上げていくのが合理的です。初回はミニまたは小+「ニンニク少し」。この構成なら、二郎系特有の味と量を体験しつつ、確実に完食できます。翌日の予定があるなら「そのままで」でも構いません。
2回目は小+「ニンニク、カラメ」。ヤサイは標準のまま、味の濃さとにんにくの香りを引き上げます。この段階で「もっと野菜が欲しい」と感じたなら、次のステップに進む準備ができています。
3回目に小+「全マシ」。ヤサイ450g、ニンニク大さじ1杯、アブラ、カラメ。ここまで来れば丼の全体像が把握できているので、パニックにならずに食べ進められるはずです。ここでも余裕があるなら、大ラーメンや全マシマシという次の扉が待っています。
逆に、いきなり全マシに挑む場合はミニラーメン(麺125g・950円)を選ぶのが現実的な妥協点です。麺が半分なら、ヤサイ450gを積んでも総量は小ラーメン標準と同程度。「全マシを体験した」という事実は同じで、失敗リスクだけが下がります。
汁なし・つけ麺・冷やし中華ではコールの効き方が変わる
汁なしの全マシはカラメの意味が変わる
豚山には汁なしというメニューがあります。ミニ1,050円、小1,100円、大1,200円で、通常のラーメンより50〜100円高い設定です。スープの代わりに濃厚なタレを麺に絡めて食べる、いわゆる二郎系の汁なし(マゼソバ)スタイルです。
汁なしでもコールは可能ですが、カラメの効き方が根本的に変わります。スープで薄まらない分、タレが麺に直接絡むため、通常のラーメンで「カラメ」を頼んだときの数倍の塩気を感じることになります。汁なしを初めて食べるなら、カラメは標準にしておくのが安全です。
逆にヤサイの増量は、汁なしとの相性が良好です。タレの塩気を野菜の水分が中和し、食べ進めるほど味が馴染んでいく。「汁なし+ヤサイマシ・ニンニク」という組み合わせは、塩分をコントロールしながらボリュームを取れる合理的な選択と言えます。
また、汁なしには生玉子(50円)が特に効きます。溶いた卵に麺を絡めると、タレの角が取れてまろやかになり、後半の失速を防げます。券売機で買っておく価値がある50円です。
つけ麺と冷やし中華は期間限定|提供時期を確認する
豚山のつけ麺は4月1日〜9月30日、冷やし中華は6月1日〜9月30日の期間限定メニューです。つけ麺は1,050円〜1,650円、冷やし中華は1,150円〜1,750円の価格帯で、サイズと豚の枚数によって変動します。
つけ麺の場合、ヤサイは麺側の丼に盛られるため、増量してもつけ汁の濃度は変わりません。つまり「ヤサイマシ+カラメ」を併用する必要が薄い。ラーメンとはコール設計の考え方が変わる点は覚えておきたいところです。
冷やし中華に関しては、そもそも二郎系のフォーマットから外れた季節商品という位置づけ。コールの可否や項目は店舗運用によって差があるため、券売機の掲示や店員さんの案内に従うのが確実です。
なお、公式サイトは「一部店舗では取り扱いのないメニューがある場合や価格が異なる場合がございます」と明記しています。期間限定メニューを目当てに行くなら、事前にラーメン豚山公式サイトのメニューページで最新情報を確認しておくと確実です。
有料トッピングでコールを補強するという発想
無料のコールだけでなく、券売機で買える有料トッピングを組み合わせると、全マシの世界はさらに広がります。うずら5個100円は二郎系の定番で、脂の重さをリセットする役割を果たします。
辛ニラ100円は、にんにくとは別方向の刺激を加えるトッピング。ヤサイの山が単調に感じてきた後半に投入すると、味の景色が一変します。粉チーズ100円は汁なしとの相性が良く、乳脂肪がタレの塩気を包み込みます。
肉あぶら150円は、豚の脂身を細かくして味付けした豚山の看板トッピング。アブラ(背脂)のコールとは別物で、こちらは肉の旨味そのものが加わります。全マシでアブラを増やした上に肉あぶらを足すと相当な重さになるので、どちらか一方に絞るのが現実的です。
変わり種としてはぶっカリー100円があります。カレー風味を加えるトッピングで、スパイスの香りが二郎系のスープと意外な調和を見せる、と話題になっている一品です。マンネリを感じ始めた常連が試す選択肢として機能しています。
ライス150円は全マシの「避難先」になる
見落とされがちですが、ライス150円(大ライス200円)は全マシと組み合わせたときに真価を発揮します。理由は3つあります。
1つ目は豚の受け皿としての役割。厚切りの煮豚をライスに乗せ、カラメを少し垂らせば即席のチャーシュー丼になります。丼の中で豚を食べるより、こちらの方が満足度が高いと感じる人は少なくありません。
2つ目は味のリセット。全マシのスープは塩分も脂も強く、20分も食べ続ければ舌が飽和します。白米を挟むことで味覚がリセットされ、後半の食べ進めが楽になります。
3つ目はヤサイの逃げ道。丼のヤサイが多すぎるとき、ライスの上に一部を移せば物理的な圧迫が減ります。もやしとキャベツにスープを絡めてご飯に乗せる食べ方は、二郎系の常連が実践してきた知恵の一つです。ただし食べ切れる量を見極めることが前提であることは言うまでもありません。
豚山はどこまで本家二郎と違うのか|チェーンだからできた設計思想
2018年7月1日、町田から始まった第2ブランド
ラーメン豚山の1号店は、2018年7月1日にオープンした町田店です。運営する株式会社ギフトホールディングスは、家系ラーメン「町田商店」で全国展開を進めてきた企業で、豚山はその第2ブランドとして立ち上げられました。
家系の企業が二郎系に参入するというのは、当時としては大胆な判断でした。家系と二郎系はどちらも「濃い」「多い」というイメージで括られがちですが、スープの作り方も麺の設計も客層も別物です。ギフトホールディングスは、家系で培った「味の標準化」と「多店舗展開のノウハウ」を、二郎系という難易度の高いジャンルに持ち込みました。
結果として豚山は急拡大し、東京・神奈川・愛知・大阪・宮城・福島・静岡・埼玉・千葉といった複数の都府県に50店舗超を展開する規模へ成長しています。個人店中心だった二郎インスパイア業界において、これは異例のスピードです。
企業としてのギフトホールディングスは東証プライム上場企業で、2027年10月期には国内1,000店舗突破を見込むと報じられています。豚山と町田商店という2つの看板を使い分ける戦略が、この成長の中核を担っています。
| 住所 | 〒194-0013 東京都町田市原町田6-20-3 あさのビル 1F |
| 電話番号 | 042-732-3199 |
| 営業時間 | 月〜日 11:00〜3:00 |
| 定休日 | 無休 |
| アクセス | JR町田駅北口から徒歩4分/小田急町田駅東口から徒歩3分 |
| 公式サイト | 公式サイト |
深夜まで営業する店舗が多いという二郎系らしからぬ強み
本家ラーメン二郎の多くは夜9時前後に閉店し、スープがなくなり次第終了という運営です。対して豚山は、11時開店の通し営業を基本とし、深夜0時や深夜2時、店舗によっては深夜3時まで営業しています。中休憩を挟まないため、14時台や16時台の「空いている時間」に狙って行けるのも大きな利点です。
この営業時間は、初心者にとって決定的な意味を持ちます。行列のピークを外せば、コールの緊張感も大幅に薄まる。全マシに初挑戦するなら、平日の15時前後や23時以降を狙うのが最も落ち着いて臨めるタイミングです。
たとえば上野店は11:00〜2:00の営業。JR御徒町駅から徒歩3分という立地で、飲んだ後の締めに立ち寄る客層も多く抱えています。深夜帯の二郎系という選択肢は、豚山が広げた市場と言っていいでしょう。
ほぼ全店舗が年中無休で営業しているのも、個人店中心の二郎インスパイア界隈では珍しい特徴です。「今日は営業しているだろうか」とSNSを確認する必要がない——この安心感が、二郎系のハードルを下げた要因の一つになっています。
| 住所 | 〒110-0005 東京都台東区上野3-17-7 東亜御徒町ビル 1F |
| 営業時間 | 月〜日 11:00〜2:00 |
| 定休日 | 無休 |
| アクセス | 東京メトロ銀座線 上野広小路駅A1出口から徒歩2分/JR御徒町駅南口から徒歩3分 |
| 公式サイト | 公式サイト |
750円から1,000円へ|7年間で起きたこと
豚山の小ラーメンは、2018年の開業時に750円でした。それが段階的な値上げを経て、2025年3月に1,000円に到達しています。7年間で250円、率にして約33%の上昇です。
背景にあるのは、豚肉価格の高騰と人件費の上昇です。二郎系は豚のブロック肉を大量に仕込む業態のため、豚肉相場の影響を家系や淡麗系より強く受けます。加えて深夜営業を維持するための人件費も年々重くなっています。
それでも1,000円で麺250g・ヤサイ300g・豚2枚が提供され、コールで450gまで増やせるという事実は、ラーメン業界全体が直面する「1,000円の壁」を考えると特異なポジションです。多くの店が1,000円を超えると客足が鈍ると言われる中、豚山は量で価格を正当化する数少ない業態と言えます。
この構造を理解すると、コールに対する見方も変わってきます。無料増量は「サービス」ではなく、この価格帯で満足度を確保するためのビジネスモデルの中核。だからこそ、食べ切れる量をコールして丼を空にすることが、店にとっても客にとっても最良の結果になるのです。
- 1968年:ラーメン二郎が創業。のちにコール文化が形成される
- 2018年7月1日:ラーメン豚山1号店が東京・町田にオープン(小ラーメン750円)
- 2024年7月5日:高田馬場店がオープン。都心部の出店が加速
- 2025年3月:価格改定により小ラーメンが1,000円に
- 2025年12月:券売機がリニューアル。写真表示とアプリ来店スタンプに対応
学生街の高田馬場店に見る豚山の立地戦略
2024年7月5日にオープンした高田馬場店は、豚山の出店戦略を象徴する店舗です。早稲田大学をはじめとする学生の街に、麺250gで1,000円という価格帯で切り込む——これは二郎系の主要顧客層である学生を正面から狙った配置です。
本家ラーメン二郎も三田(慶應義塾大学)、早稲田、目黒といった学生街を軸に広がってきた歴史があります。豚山がこの系譜を意識的になぞっているのは間違いないでしょう。「安く、大量に、腹一杯」という二郎系の本質的な価値提案は、学生街でこそ最大の説得力を持ちます。
営業時間は11:00〜23:00。深夜2時まで営業する上野店や3時までの町田店に比べると短めですが、これも立地に応じた最適化です。繁華街と学生街では、需要の出るピークタイムがまったく異なります。
こうした店舗ごとのチューニングが可能なのは、チェーンとして各店舗のデータを蓄積できるから。個人店では判断が経験と勘に頼らざるを得ない領域を、豚山は数字で最適化しています。二郎系の精神をチェーンの手法で実装した——それが豚山という存在の面白さです。

「二郎系ラーメンって気になるけど、なんか怖い……」そんなふうに思ったことはありませんか。独特のルール、無言の圧、常連だけが知る暗黙の了解。二郎系には確かにそうい…
まとめ:全マシは度胸試しではなく、自分の一杯を設計する言葉だった
豚山の「全マシ」は、ニンニク(大さじ1杯)・ヤサイ(450g)・アブラ(背脂追加)・カラメ(醤油ダレ追加)を同時に一段階引き上げるコールです。追加料金は一切かからず、小ラーメン1,000円のまま丼の中身だけが1.5倍近くに膨らみます。一方で「全マシマシ」はヤサイ600g・ニンニク大さじ2杯という最大値であり、この2つは明確に別のコールです。
頼み方の流れは単純で、券売機でサイズを決め、食券を渡すときに「麺かため」があれば伝え、着席して待ち、着丼直前の「ニンニク入れますか?」に一息で答える。この4ステップさえ押さえておけば、初訪問でも詰まることはありません。豚山はロット制ではないので、食べる速度を他人と合わせる必要もありません。
そして最も大切なのは、全マシが「強さの証明」ではないという視点です。二郎系のコール文化は、店の設計した標準形から自分好みの一杯へとチューニングするための道具。今日はにんにくを主役にしたい、今日は野菜を腹一杯食べたい——その日の欲求に丼を合わせられることこそが、この文化の本当の価値です。
最初の一歩として提案したいのは、平日の15時前後、行列のない時間帯に小ラーメン(1,000円)を「ニンニク少し」でコールしてみること。ここで豚山の基準値を体に刻んでから、2回目に「ニンニク、カラメ」、3回目に「全マシ」と段階を上げていく。この順序で進めば、丼を残す悔しさを味わうことなく、全マシの世界にたどり着けます。極太麺とヤサイの山の向こう側には、間違いなく「もう一度食べたい」と思わせる何かが待っているはずです。

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