ラーメンの丼のふちに、そっと寄り添う淡い黄土色のトッピング。多くの人が「メンマ」と呼ぶあの発酵食品ですが、メニューに「穂先メンマ」と書かれた一杯を選んだことはあるでしょうか。同じメンマでも、あの柔らかくとろけるような食感は、実は使っている竹の「部位」がまるで違うのです。
穂先メンマとは、竹の子の先端=穂先の部分だけを使って作られた、繊維が細く上品なメンマのこと。シャキシャキした一般的なメンマとは別物と言っていいほど、口当たりがとろけます。そしてこのメンマ、原料は日本の竹の子ではなく「麻竹(マチク)」という台湾・中国原産の巨大な竹。しかも「シナチク」から「メンマ」へ名前が変わった裏には、戦後の切実な事情が隠れていました。
この記事では、穂先メンマの正体から発酵の科学、メンマ誕生の歴史、栄養、そして通が唸る雑学まで、丼の名脇役を丸ごと掘り下げます。読み終える頃には、あの一切れを語りたくなっているはずです。
・穂先メンマと普通のメンマの決定的な違い
・「シナチク」が「メンマ」に変わった戦後の歴史
・麻竹を1ヶ月以上発酵させる製法の科学
・低カロリーで食物繊維豊富な栄養と、塩分の注意点
穂先メンマとは?丼の名脇役の正体に迫る

まずは基本から。穂先メンマとは何者で、なぜ普通のメンマとこんなに食感が違うのか。その答えは「どの竹の、どの部分を使うか」に集約されます。ここを押さえるだけで、次にラーメン屋のメニューを見る目が変わります。
穂先メンマとは?たけのこの「先端」だけを使う贅沢な一品
穂先メンマとは、竹の子の一番やわらかい先端部分(穂先)だけを選んで加工したメンマです。一本の竹の子の中でも穂先は最も繊維がきめ細かく、水分を含みやすい部位。そのため、噛むとホロリと崩れ、スープをたっぷり吸い込みます。一般的なメンマが「コリコリ」「シャキシャキ」なら、穂先メンマは「とろり」「ふわり」。同じ原料でも食感の設計思想がまったく異なるのです。ラーメン店では一段上のトッピングとして扱われ、通常のメンマより数十円高い「穂先メンマ増し」を用意する店も少なくありません。丼の中で自己主張しすぎず、スープと一体化して全体の余韻を長くする——そんな縁の下の力持ちが穂先メンマの真骨頂です。
穂先メンマは繊維が細く水分保持力が高いため、味を「足す」より「崩さない」味付けが基本。素材とスープの接続を邪魔しない、最小限の調味こそが職人の腕の見せ所です。
そもそもメンマは何からできている?「麻竹」という竹の正体
意外に知られていませんが、メンマの原料は日本の竹林でおなじみの孟宗竹(もうそうちく)ではありません。使われるのは麻竹(マチク)という、主に台湾・中国南部で育つ巨大な竹です。私たちが春に味わう「たけのこ」は地上に出るか出ないかの若い段階で掘り出しますが、メンマ用の麻竹は7月から10月にかけて、120cm前後にまで伸びたものを刈り取ります。つまりメンマは「伸びきった若竹」から作る、というのが第一の驚きです。この麻竹を発酵・乾燥させることで、あの独特の風味と歯ごたえが生まれます。日本の竹の子をそのまま茹でてもメンマにならないのは、原料となる竹の種類そのものが違うからなのです。

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なぜ「穂先」だけが特別なのか|柔らかさを生む繊維の秘密
竹は根元から先端へ向かうほど、細胞の壁が薄く、繊維がやわらかくなります。地面から生えたばかりの根元寄りは硬く歯ごたえがある一方、空へ向かって伸びる穂先は成長点に近く、まだ細胞が若いため繊維がきめ細かいのです。この部位を選んで加工するのが穂先メンマ。1本の麻竹から取れる穂先はわずかで、根元部分に比べて歩留まりが悪く、その希少性が「贅沢なメンマ」と呼ばれる理由でもあります。さらに穂先は水分を抱え込む力が強く、発酵と味付けの過程でスープの旨味を素直に吸収します。結果として、噛んだ瞬間にじゅわりと出汁が広がる——あの快感は、竹の成長のしくみそのものが生み出した必然だったのです。
穂先メンマと普通のメンマは何が違う?食感と部位で比べる
「穂先メンマ」と「メンマ」、メニューに両方あったらどちらを選ぶべきか。答えは求める食感で決まります。ここでは食感・部位・種類の3つの軸で、両者の違いを具体的に整理します。
食感の違い|「とろける穂先」対「歯ごたえの根元」
両者を分ける最大のポイントは食感です。穂先メンマは繊維が細かくやわらかいため、噛むとホロホロと崩れ、舌の上でとろけるような口当たり。対して一般的なメンマは根元寄りの硬い部位を含むため、コリコリ・シャキシャキとした確かな歯ごたえが持ち味です。この差は好みが分かれるところで、麺やスープとの一体感を求めるなら穂先、明確な咀嚼のアクセントが欲しいなら通常メンマ、という選び方ができます。濃厚な豚骨や家系のスープには、とろけてスープと馴染む穂先メンマが好相性。あっさりした醤油や塩には、歯ごたえで変化をつける通常メンマが映えます。同じメンマという名でも、丼の中で果たす役割は正反対と言っていいでしょう。
| 項目 | 穂先メンマ | 一般的なメンマ |
|---|---|---|
| 使う部位 | 先端(穂先) | 中〜根元寄り |
| 食感 | とろり・ホロホロ | コリコリ・シャキシャキ |
| 繊維の細かさ | 細かい | やや粗い |
| 希少性・価格 | やや高い | 標準的 |
| 相性 | 濃厚・豚骨・家系 | あっさり醤油・塩 |
使う部位の違い|1本の竹から穂先はほんの少し
穂先メンマと通常メンマの物理的な違いは、原料となる麻竹のどこを切り出すかにあります。麻竹は120cm近くまで伸びた状態で刈り取られ、その先端に近い柔らかい部分が穂先メンマ、中央から根元寄りの部分が一般的なメンマになります。1本の麻竹から取れる穂先はごくわずかで、大量生産には向きません。だからこそ穂先メンマは付加価値の高いトッピングとして扱われ、専門メーカーや老舗が丁寧に選別しています。逆に言えば、普通のメンマは竹全体を無駄なく使う合理的な加工品でもあります。どちらが優れているという話ではなく、「同じ竹の別の顔」。この部位の違いを知っておくと、パッケージや品書きの「穂先」の二文字が持つ意味がぐっと立体的に見えてきます。
黒メンマ・味付けメンマとの違いも整理しよう
メンマ売り場を覗くと「黒メンマ」「味付メンマ」といった名前も並びます。黒メンマは発酵と乾燥を長くかけ、色濃く濃厚なコクを凝縮させたタイプで、濃い味のラーメンや炒め物に力を発揮します。味付メンマは水煮メンマをごま油・醤油・砂糖などで調味した、そのまま食べられる惣菜タイプ。これらに対し穂先メンマは「部位」で分類される名前であり、味付けの有無とは別の軸です。つまり「穂先の味付メンマ」も存在すれば「根元の水煮メンマ」も存在するわけです。分類の軸が違うものを同じ土俵で比べようとすると混乱します。「穂先=部位の話」「黒・味付け=加工の話」と切り分けて覚えておくと、売り場でもメニューでも迷いません。
「シナチクとメンマは別の食べ物」と思っている人がいますが、両者は同じものです。昭和20年代まで「シナチク(支那竹)」と呼ばれていたものが、後に「メンマ」と改称されただけ。穂先メンマも当然その仲間です。
「シナチク」から「メンマ」へ|名前に隠された戦後史

今でこそ当たり前の「メンマ」という呼び名。しかしこの三文字が生まれたのは戦後のこと、しかもある切実な事情がきっかけでした。名脇役の歴史をたどると、日本と台湾の近現代史まで見えてきます。
- 〜昭和20年代:ラーメンの具は「シナチク(支那竹)」と呼ばれていた
- 戦後:輸出表記「SHINACHIKU」への抗議を機に松村秋水が「メンマ」を考案
- 1968年:桃屋がテレビCMで商品名「メンマ」を宣伝、全国に定着
戦前は「支那竹」と呼ばれていた
メンマは元々、中国南部や台湾で麻竹を乳酸発酵させた保存食でした。日本に伝わった当初、この食材は「支那竹(シナチク)」=「中国の竹」という意味で呼ばれていました。ラーメンそのものが「支那そば」と呼ばれていた時代ですから、その具も「支那竹」と呼ぶのは自然な流れだったのでしょう。原料の麻竹は主に台湾から輸入され、細く裂いて乾燥させた状態で日本に運ばれ、水で戻して味付けして丼にのせられました。昭和20年代まではこの呼び名が一般的で、今も年配の方や一部の老舗では「シナチク」の呼称が生きています。つまり「シナチク」と「メンマ」は対立する別物ではなく、同じ食材の新旧の呼び名にすぎないのです。
松村秋水が「メンマ」と名付けた理由
「メンマ」という名称を考案したのは、台湾出身で丸松物産の創業者一族である松村秋水とされています。きっかけは戦後の輸出手続き。台湾からの輸出表記「SHINACHIKU」に含まれる「支那」という語が侮蔑的だとして抗議を受けたのです。そこで松村は「日本での用途は麺(メン)の上に載せる麻(マ)竹だから『メンマ』にしよう」とひらめきました。中国の竹という出自ではなく、ラーメンの上でどう使われるかという「用途」から名付けた発想の転換です。命名の詳しい経緯は、名付け親を自任する丸松物産の公式サイトでも語られています。一つの食材の名前が、時代の空気を映して生まれ変わった好例と言えるでしょう。
1968年、桃屋のCMで全国区になった
「メンマ」の呼び名を一気に全国へ広めたのが、瓶詰め食品でおなじみの桃屋です。1968年、桃屋は商品名として「メンマ」を採用し、テレビCMで大々的に宣伝しました。ちなみに当初「メンマ」を登録商標にしようとしたものの、当時著名だった整髪料の名前に似ているとして認められなかった、という逸話も残っています。それでも桃屋のCM効果は絶大で、「シナチク」より「メンマ」の呼称が家庭に定着していきました。現在も桃屋は穂先メンマ やわらぎなどの人気商品を展開しています。丼の脇役の呼び名一つに、戦後の食品メーカーのマーケティング史が刻まれているのです。
「麺の上の麻竹」語源の真相と別説
「メンマ=麺+麻竹」という語源はよく知られていますが、実は別の説も存在します。中国語で麺料理に載せる細切りの具材を指す「麺碼児(ミエンマール)」という言葉が、麻竹の具に固定化して「メンマ」になった、という言語学的な見方です。新横浜ラーメン博物館のラーペディアなどでも、メンマにまつわる複数の語源説が紹介されています。どちらが正しいと断定するのは難しいものの、いずれの説も「麺の上にのる具」という機能に由来する点で共通しています。名脇役でありながら、その名の由来にこれだけの物語が詰まっている食材は、そう多くありません。次に穂先メンマを口にするとき、この名前の来歴をぜひ思い出してみてください。
穂先メンマはどう作られる?1ヶ月以上かける発酵の科学
あのやわらかさと独特の風味は、時間をかけた発酵から生まれます。ここでは収穫から水戻しまで、穂先メンマができるまでの工程を科学的に追いかけます。家庭で作れるのかという疑問にも答えます。
収穫は120cmまで伸びた麻竹|7〜10月が旬
穂先メンマ作りは、原料となる麻竹の収穫から始まります。日本の竹の子が地上に出る前に掘られるのに対し、麻竹は7月から10月にかけて、120cm前後にまで成長したものを刈り取ります。伸びきった若竹を使うのがメンマの特徴で、この段階の麻竹は繊維がしっかりしつつも加工に適した柔らかさを保っています。刈り取った麻竹は皮をむき、輪切りにして下処理へ。ここで穂先の柔らかい部分を選り分けたものが、後に穂先メンマとなります。旬の時期に一気に収穫・加工するのは、発酵という次の工程に最適な状態の原料を確保するため。土から掘る日本の竹の子とはまったく違う「立ち姿の竹を刈る」という収穫風景こそ、メンマの出発点なのです。
1ヶ月以上の乳酸発酵が旨味を生む
穂先メンマの風味の核心は乳酸発酵にあります。輪切りにした麻竹を発酵槽に移し、重しをのせて1ヶ月以上じっくり発酵させます。この間に乳酸菌が働き、竹本来のえぐみや青臭さが抜け、代わりにあの独特の酸味とコク、旨味が生まれます。ぬか漬けやキムチと同じ、微生物の力を借りた食品加工です。発酵はメンマを「単なる茹で竹」から「風味豊かな発酵食品」へと昇華させる、最も重要な工程。温度や期間の管理次第で仕上がりが大きく変わるため、メーカーや職人の技術が問われます。発酵を経ていない水煮のたけのことメンマの味がまるで違うのは、この乳酸発酵の有無が理由です。時間という調味料が、竹をメンマに変えるのです。
メンマ特有の「ほのかな酸味」は、実は乳酸発酵の名残。この酸味が脂の多い豚骨スープの後味をさっぱりさせ、次のひと口を進ませる役割を果たしています。名脇役たるゆえんです。
天日乾燥と水戻し|手間を重ねて食感を作る
発酵を終えた麻竹は、3〜4日ほど天日乾燥させます。水分を抜くことで保存性が高まり、旨味も凝縮されます。こうして「乾燥メンマ」の状態で流通し、使う前に水で戻してから味付けするのが伝統的な流れです。乾燥と水戻しを繰り返すことで、あの独特の弾力とやわらかさのバランスが整います。穂先メンマの場合、元の繊維が細いため戻したときの口当たりがとりわけなめらかになります。乾燥→水戻し→味付けと工程を重ねるほど手間はかかりますが、その分だけ食感の完成度が上がる。近年は水煮の状態で流通するものも増えましたが、手間を惜しまない乾燥メンマの奥深い風味を好む職人も少なくありません。一切れの穂先メンマには、収穫から数えて実に数ヶ月分の時間が詰まっているのです。
家庭でも作れる?孟宗竹での自家製メンマという裏技
「麻竹がなければ作れないの?」と思うかもしれませんが、実は日本の孟宗竹やマダケでも自家製メンマは作れます。福岡県糸島市の研究では、放置竹林で伸びすぎた竹を適切に処理すればメンマ化できることが確かめられ、竹害対策と特産品づくりを兼ねた取り組みとして注目されています。家庭では、伸びすぎた竹の子を茹でてアク抜きし、塩漬け発酵させてから味付けする方法が知られています。
失敗:自家製メンマがえぐくて食べられない。
原因の多くはアク抜き不足です。竹の子はえぐみ成分(シュウ酸・ホモゲンチジン酸)を含むため、米ぬかや米のとぎ汁でしっかり下茹でし、発酵前にえぐみを抜くことが対策。発酵日数が短すぎても青臭さが残るので、焦らず時間をかけましょう。
低カロリーで食物繊維たっぷり|穂先メンマの栄養を知る
ダイエット中でも罪悪感なくつまめる——メンマにはそんな嬉しい一面があります。ここでは数値でその実力を確認しつつ、見落としがちな塩分の落とし穴にも触れておきます。
100gで約19kcal|罪悪感の少ないトッピング
メンマは非常にヘルシーな食材です。100gあたり約19kcalと低カロリーで、たんぱく質1.0g、脂質0.5g、炭水化物3.6gという構成。竹という植物が原料ですから当然と言えば当然ですが、ラーメンのトッピングの中でもトップクラスの低カロリーです。ラーメン一杯にのる量はせいぜい20〜30g程度ですから、カロリーへの影響はごくわずか。チャーシューや背脂と比べれば、その差は歴然です。「ラーメンは食べたいけれどカロリーが気になる」という人にとって、穂先メンマは安心して増量できる数少ないトッピングと言えます。もちろん味付けによって数値は変わりますが、素材そのものが持つ低カロリーという美点は揺るぎません。
| 成分 | 含有量 | ひとこと |
|---|---|---|
| エネルギー | 約19kcal | 超低カロリー |
| 食物繊維 | 3.5g | 不溶性3.2g |
| たんぱく質 | 1.0g | 控えめ |
| 脂質 | 0.5g | ほぼゼロ |
| ナトリウム | 360mg | 塩分に注意 |
食物繊維は野菜級|お腹に嬉しい名脇役
穂先メンマの栄養面で見逃せないのが食物繊維です。メンマ100gあたり約3.5gと、野菜の中でも優秀な部類。しかもそのうち約3.2gが不溶性食物繊維で、腸の中で水分を含んでふくらみ、便のかさを増やして腸の動きを刺激します。原料が竹という繊維質の塊ですから、食物繊維が豊富なのは道理です。ラーメンは麺・スープが主役で野菜不足になりがちですが、メンマをのせることでいくらか繊維を補える点は嬉しいところ。もやしや海苔と並んで、丼の中の数少ない「植物性の味方」です。もちろんメンマだけで一日分の繊維をまかなえるわけではありませんが、低カロリーで繊維も摂れるという二重の利点は、ヘルシー志向の人にとって心強い味方になります。
実は塩分が多い?見落としがちな落とし穴
低カロリーで繊維豊富なメンマですが、意外な弱点は塩分です。メンマは保存のために塩蔵加工されることが多く、100gあたりナトリウム360mgほどを含みます。さらにラーメン店やメーカーが醤油・ごま油などで味付けするため、仕上がりの塩分はさらに上がります。
失敗:塩蔵メンマを戻したら塩辛すぎて料理に使えない。
原因は塩抜き不足。塩蔵タイプは水にさらして十分に塩を抜いてから使うのが鉄則です。味付け済みメンマをラーメンに増量する場合も、スープの塩分と重なって過剰になりがち。減塩を意識するなら、スープを飲み干さないなどの工夫と合わせましょう。

「もやしなんて水分ばっかりで栄養ないでしょ?」——ラーメン屋のカウンターで、もやしを端に寄せながらそう言い放つ人を見かけたことはありませんか。実はこの認識、かな…
穂先メンマをもっと楽しむ|選び方と食べ方の技術
ラーメンの上だけがメンマの活躍場所ではありません。市販品の選び方から、丼での合わせ方、お酒のお供まで。穂先メンマを味わい尽くすための実践的な知識をまとめます。
市販の穂先メンマ|桃屋「やわらぎ」という定番
家庭で穂先メンマを楽しむなら、まず手に取りやすいのが桃屋の「穂先メンマ やわらぎ(辣油味)」です。竹の子の先端部分を乳酸発酵・熟成させ、ごま油と辣油、清湯スープで味付けした辛口の中華風。内容量は115g、お徳用210gがあり、ご飯のお供や前菜、料理の素材として幅広く使えます。程よい辛みと深い旨みで、そのままつまむだけで箸が進むと評判の一品です。詳しい原材料や商品ラインナップは桃屋の公式商品ページで確認できます。スーパーの瓶詰めコーナーで見かけたら、まずはこの定番から穂先メンマの世界に入ってみるのがおすすめ。市販品とはいえ、あのとろける食感はしっかり味わえます。
シーン別の楽しみ方|初心者・通・地域の視点
穂先メンマの楽しみ方は、目的によって変わります。初めての人は、まず濃厚な豚骨や家系ラーメンで穂先メンマ増しを試すのがおすすめ。スープと一体化してとろける食感が分かりやすく、違いを実感できます。通の選び方としては、あえて無化調の淡麗系醤油ラーメンで、穂先メンマそのものの発酵風味を味わう手も。スープが繊細なほど、メンマの出来の良し悪しが際立ちます。地域で見ると、九州の豚骨ラーメンでは柔らかい細切りメンマが好まれ、関東の家系では存在感のある太めのメンマが定番と、土地ごとの好みも表れます。同じ穂先メンマでも、どんな一杯と組み合わせ、どんな視点で味わうかで表情が変わる。それを知ると、ラーメン屋でのメンマ選びが一段と楽しくなります。
おつまみ・ご飯のお供としての実力
穂先メンマはラーメンの外でも大活躍します。ごま油と辣油で味付けされた味付タイプは、そのままビールや紹興酒のおつまみにうってつけ。とろける食感とピリ辛の刺激が、酒の肴として抜群の相性です。温かいご飯にのせれば、それだけで一膳いける立派な副菜になります。刻んでチャーハンやおにぎりの具に混ぜれば、コリコリ・とろりとした食感のアクセントに。冷奴やラーメンサラダのトッピングにも合います。低カロリーで食物繊維が摂れるうえ、日持ちもするので常備菜として重宝します。「ラーメンの上の脇役」というイメージを一度外してみると、穂先メンマは食卓の万能選手であることが見えてきます。名脇役は、丼の外でも主役級の働きを見せるのです。

家系ラーメンのトッピングって、実は「海苔3枚」という独特な構成から始まったことをご存じでしょうか。他のラーメンジャンルでは脇役になりがちなトッピングが、家系では…
知れば語りたくなる|穂先メンマの奥深い雑学
最後は、酒席で披露したくなるメンマの雑学集です。沖縄の郷土料理から名店主の哲学、竹林問題まで。名脇役の背後に広がる意外な世界をのぞいてみましょう。
沖縄では「スンシー」|メンマは郷土料理でもある
メンマはラーメンの具だけではありません。沖縄では筍絲(スンシー)と呼ばれ、古くから親しまれてきた食材です。豚の三枚肉などと一緒に炒めた「スンシーイリチー」は、沖縄の家庭料理の定番。「イリチー」とは沖縄方言で炒め煮を指し、発酵メンマのコクと豚肉の旨味が絡み合う滋味深い一品です。中国・台湾から琉球を経て伝わった食文化の名残で、本土のラーメンとはまったく別の文脈でメンマが根付いているのが面白いところ。同じ発酵竹が、ラーメンの丼と沖縄の食卓という遠く離れた場所で、それぞれ違う顔で愛されている。メンマという食材の懐の深さを感じさせる雑学です。旅先で「スンシー」の文字を見かけたら、それがメンマの仲間だと分かるだけで、少し通ぶれます。
佐野実の哲学|130cmで「えぐみ」が「甘み」に変わる
ラーメン界のカリスマ、支那そばやの佐野実が提唱した竹の子論は、メンマ好きなら知っておきたい逸話です。竹の子は猪などの外敵から身を守るため、地上に出ると「えぐみ」を出します。ところが猪の口が届かない130cmを超えて伸びると、身を守る必要がなくなり、えぐみが甘みへと変化する——佐野実はこの性質に着目し、あえて伸びた竹の子を使った「むかし竹の子らぁ麺」を作りました。低く掘り出す日本の竹の子の常識を覆す発想で、メンマ用の麻竹を高く伸ばしてから刈るのにも通じる話です。植物の生存戦略が味を決めるという視点は、実に奥が深い。次に穂先メンマを味わうとき、「これは伸びきった竹の甘みなんだ」と思うと、一切れの見え方が変わってきます。
実は「メンマは孟宗竹では作れない」というのは思い込み。福岡県糸島市などでは、放置竹林で伸びすぎた国産の竹をメンマに加工し、竹害対策と特産品づくりを両立させる取り組みが進んでいます。国産メンマは意外と身近な存在になりつつあります。
放置竹林を救う?国産メンマという新潮流
意外と知られていませんが、いま「国産メンマ」が静かな注目を集めています。背景にあるのは全国で深刻化する放置竹林問題。手入れされず伸び放題になった竹林は、周囲の森林を侵食し、土砂災害のリスクを高めます。そこで着目されたのが、伸びすぎて食用に向かないとされてきた竹をメンマに加工するアイデアです。麻竹でなくとも孟宗竹やマダケを適切に処理すればメンマになると分かり、竹を刈ることが環境保全につながる仕組みが各地で広がっています。厄介者だった竹が、発酵の力で美味しいメンマに生まれ変わる——これは食と環境が交わる希望のある話です。あなたが次に食べる穂先メンマは、もしかしたら日本のどこかの里山を守った一切れかもしれません。名脇役の物語は、いまも新しく書き加えられ続けています。
まとめ|穂先メンマは知るほど旨い、丼の名脇役
穂先メンマは、竹の子の先端という限られた部位だけを使い、1ヶ月以上の乳酸発酵と天日乾燥という手間をかけて作られる、まさに丼の名脇役です。シャキシャキした通常のメンマとは食感が別物で、とろけるような口当たりがスープと一体化します。原料は日本の竹の子ではなく台湾・中国原産の麻竹で、かつては「シナチク」と呼ばれていたものが、戦後に松村秋水の発案で「メンマ」へと生まれ変わり、1968年の桃屋のCMで全国に定着しました。
栄養面では100gあたり約19kcalと低カロリーながら食物繊維が豊富で、ヘルシー志向の人にも嬉しい存在。一方で塩分は多めなので、塩抜きや食べ方には少し気を配りたいところです。沖縄のスンシーイリチーや、佐野実の竹の子哲学、放置竹林を救う国産メンマの動きまで、その背後には語りたくなる物語が広がっています。
最初の一歩は簡単です。次にラーメン屋で「穂先メンマ」の文字を見かけたら、迷わず選んでみてください。あるいはスーパーで桃屋の瓶を一つ手に取るのもいいでしょう。とろける一切れを口に運びながら、この記事で知った歴史や製法を思い出せば、いつものメンマがきっと何倍も味わい深く感じられるはずです。名脇役を知ることは、ラーメンという文化をもう一歩深く楽しむことにほかなりません。

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