御徒町駅の南口を出て、山手線の高架をくぐるように歩くと、赤い暖簾と券売機の光が並ぶ細長い一角に行き当たります。その並びで、券売機の前だけ人の足が止まる店があります。蒙古タンメン中本 御徒町店です。
結論から言えば、この店は「辛い店」ではなく「辛さを0から10まで選べる店」です。券売機のボタンには一つひとつ辛さの数字が振られていて、辛さ0の塩タンメンから辛さ10の冷し味噌ラーメンまでが同じ盤面に並んでいます。初めての人がつまずくのは辛さそのものではなく、この数字の読み方を知らないまま看板メニューに飛びつくことです。
この記事では、御徒町店の立地と営業時間という基礎情報から、辛さの数字とレギュラーメニューの価格、2026年9月1日に控える価格改定、そして1968年の町中華から2000年の復活へと続く中本の歴史までをまとめて解説します。カップ麺で味を覚えた人が店で面食らう理由にも触れます。
・御徒町店の立地・席数・営業時間と、高架下「らーめん横丁」の成り立ち
・辛さ0~10のメニュー地図と、2026年8月26日時点のレギュラー価格一覧
・2026年9月1日から実施される価格改定の内容
・1968年創業から2000年の復活まで、中本という店の系譜
蒙古タンメン中本 御徒町店は高架下で何を売っている店なのか

JR御徒町駅南口すぐ、山手線の高架下に潜むカウンター中心の店
御徒町店はJR御徒町駅南口から徒歩3分、山手線の高架下に設けられた「御徒町らーめん横丁」の一角にあります。席はカウンター席16に2名様テーブル席3という構成で、いわゆる大箱ではありません。券売機で食券を買い、空いた席へ順に案内される流れです。
横丁という言葉から屋台街を想像すると少し違います。高架下の区画をきれいに仕切った現代的な造りで、各店が独立した入口と券売機を持っています。中本の区画は横丁の中でも回転が早く、昼の山と夜の山では並びの長さが変わります。
立地の効き方は駅を出た瞬間にわかります。上野・アメ横方面からも、秋葉原方面からも高架沿いに歩けば着くため、買い物や乗り換えの途中で寄り道しやすい。中本の店舗は駅前立地が多いものの、御徒町店は「高架下でそのまま吸い込まれる」タイプの動線を持っています。
なお、店内は券売機式・カウンター中心という中本の標準仕様です。荷物が多い日はアメ横で買い込む前に立ち寄る、という順番の方が席では楽になります。
| 住所 | 〒110-0005 東京都台東区上野5-10-14 御徒町らーめん横丁内 |
| 電話番号 | 03-5688-1233 |
| 営業時間 | 10:00~23:00 |
| アクセス | JR御徒町駅南口から徒歩3分 |
| 公式サイト | 公式サイト |
10:00~23:00の通し営業が効く3つの場面
御徒町店の営業時間は公式サイトの店舗情報で10:00~23:00と案内されています。中休みを挟まない通し営業で、これは中本の店舗の中でも使い勝手を大きく左右する要素です。
効いてくる場面は3つあります。1つ目は開店直後の午前中。上野や御徒町の商業施設が動き出す前の時間帯で、券売機の前に人がいないこともあります。2つ目は14時から17時のいわゆるアイドルタイム。多くのラーメン店が暖簾を下ろす時間に、中本は麺を茹で続けています。3つ目は夜の遅い時間。仕事や買い物を終えたあとでも、閉店まで余裕を持って辿り着けます。
逆に言えば、混み合うのは12時前後と19時前後という、他店と変わらない山です。辛さの強いメニューは食べるのに時間がかかるため、回転は他ジャンルのラーメン店ほど速くありません。並びを短くしたいなら、山を1時間ずらすだけで景色が変わります。
定休日については、公式サイトが「定休日・臨時休業は各店舗情報のページで知らせる」という運用に切り替えています。年始や設備工事など、突発的な休みは店舗ページに掲示されるため、遠方から向かう日は出発前にひと目確認しておくのが確実です。
2008年開店——横丁の顔ぶれが入れ替わっても残った店
御徒町店が開いたのは2008年です。中本ファンサイトがまとめている店舗別の開店年一覧では、2000年の本店、2001年の西池袋、2003年の新宿、2004年の目黒、2006年の吉祥寺、2007年の亀戸に続く7番目の店として記録されています。都心の主要駅を1店ずつ埋めていった時期の一店です。
この年代の意味は、中本の歴史と重ねると見えてきます。2000年の再出発から8年、まだ「激辛のチェーン」として全国に知られる前の段階で、御徒町という上野・アメ横の玄関口に旗を立てたことになります。以降、渋谷(2009年)、町田(2010年)、大宮・高田馬場(2011年)と広がっていきました。
同じ横丁の中では、店の入れ替わりが何度も起きています。開業時にいた六角家は横丁の移転を機に姿を消し、その後もチラナイサクラのように区画を明け渡した店があります。そうした入れ替わりの中で、中本は場所を移しながらも同じ横丁に残り続けてきました。
「駅前の一等地ではなく高架下」という立地は、家賃と客層のバランスが取りやすい一方で、建物側の事情に振り回されやすい場所でもあります。御徒町店はまさにその洗礼を受けています。
2014年、横丁ごと道路の向かい側へ引っ越した
御徒町らーめん横丁は、高架下の耐震補強工事に伴って道路を挟んだ向かい側の高架下へ移転し、2014年12月11日にリニューアルオープンしています。店が単独で移転したのではなく、横丁という単位でまとめて引っ越したという珍しい事例です。
このとき六角家と居酒屋が閉店し、代わりにつけめんTETSU、なんつッ亭、チラナイサクラが新たに加わりました。中本と青葉は移転先で営業を継続しています。同じ「御徒町らーめん横丁」という名前を保ちながら、中身は再編成されたわけです。
移転を知らずに古い記憶や古い記事の地図を頼りに歩くと、高架の反対側で立ち止まることになります。御徒町駅南口を出たら、まず高架下の券売機が並ぶ側を探す——これが今の正解です。
高架下の飲食店街は、鉄道会社の耐震補強計画と運命を共にします。御徒町らーめん横丁の2014年の移転もその一例で、工事のたびに「横丁ごと移動」「一部店舗は閉店」という再編が起きます。老舗が突然消えたように見えるとき、その裏側にあるのは味の問題ではなく建物の耐震診断だった、というケースは珍しくありません。
辛さ0から10まで、数字で読み解くメニューの地図
「非辛」から始まる——辛さ0の塩タンメンと冷し醤油タンメン
中本のメニューには辛さの数字が振られており、その下限は0です。塩タンメン(辛さ0)と冷し醤油タンメン(辛さ0)がそれにあたり、店の常連の間では辛くないメニューをまとめて「非辛」と呼びます。辛いものが苦手な同行者がいても、同じ卓で食事が成立する設計になっているわけです。
そもそも「タンメン」は、炒めた野菜を塩味のスープと合わせる関東発祥の麺料理です。中本の一杯も、鍋を振って野菜に火を入れる工程が土台にあります。辛さの数字が上がっても、野菜の量感とスープの塩気という骨格は共通しています。ここを押さえておくと、辛さ選びが一気に楽になります。
タンメンという料理そのものの成り立ちについては、こちらの記事で詳しく整理しています。

ラーメン屋のメニューに並ぶ「タンメン」と「ちゃんぽん」。どちらも白っぽいスープにキャベツやもやしがどっさり乗っていて、見た目だけ見れば双子のようにそっくりです。…
塩タンメンは910円、冷し醤油タンメンは940円です。辛いものが得意でない人が中本に付き合わされたとき、この2品を知っているかどうかで一日の記憶が変わります。
辛さ3の味噌タンメンが、実は本当の入り口
味噌タンメン(辛さ3)は920円。公式のメニュー説明でも、日常的に辛いものを食べる人に向けた基準の一杯として紹介されています。中本の味噌スープそのものを、麻婆豆腐の追加なしで味わえるのがこのメニューです。
初めての人が看板の蒙古タンメンに直行しがちなのは自然な流れですが、味の構造を理解する順番としては味噌タンメンが先です。中本のスープは「辛さ=唐辛子の量」だけでできているわけではなく、味噌のコクと野菜の甘みが下地にあります。その下地を確認してから辛さを足していくと、自分がどの数字で止まるべきかが見えてきます。
味噌タンメンの野菜は、キャベツやもやしを中心に鍋で炒め合わせたもの。スープを吸った野菜と麺を交互に食べると、辛さ3という数字が「ほのかにピリつく味噌ラーメン」ではなく「じわじわ後を引く辛さ」であることがわかります。中本の3は、一般的なチェーン店の「中辛」よりやや上に置いて考えるのが安全です。
ちなみに、辛さの数字はメニューごとに固定です。券売機のボタンに数字が併記されているので、辛さの序列を暗記していなくても、その場で比較しながら選べます。
看板の蒙古タンメン(辛さ5)は二層構造でできている
蒙古タンメン(辛さ5)は960円。味噌タンメンの上に辛子麻婆豆腐を乗せた構成で、店名を背負う一杯です。ここで重要なのは、蒙古タンメンが「味噌タンメンの辛口版」ではなく、味噌スープと麻婆豆腐という別々の辛さが重なった二層構造だという点です。
食べ始めは麻婆豆腐を崩さずに味噌スープをすすり、途中で麻婆を溶かし込むと、同じ丼の中で味が二段階に変化します。この「途中で味が変わる」設計が、辛さ5という数字以上の食べ応えを生んでいます。
丼で味わいたい人向けには蒙古丼(辛さ5)1,040円、半蒙古丼(辛さ5)670円も用意されています。麺と丼を組み合わせて、同じ辛さ5を二つの形で楽しむ常連もいます。
なお、店名の「蒙古」はモンゴル料理を指すものではありません。後述するように、これは先代が付けた名前に由来する呼び名で、モンゴル国とは無関係です。ここを勘違いしたまま「本場の羊肉料理が出てくる」と期待すると、丼の中身に驚くことになります。
辛さ7・8の中間層と、頂点の北極(9)・冷し味噌(10)
辛さの上位帯は層が厚いのが中本の特徴です。五目蒙古タンメン(辛さ7)1,040円、味噌卵麺(辛さ8)1,040円、五目味噌タンメン(辛さ8)1,140円が中間層を埋め、そのうえに北極ラーメン(辛さ9)980円、北極やさい(辛さ9)1,090円が立ちます。
そして最も辛いのが冷し系です。冷し味噌ラーメン(辛さ10)940円、冷し味噌やさい(辛さ10)1,140円。冷たいスープは辛味の刺激が舌に直接届くため、同じ唐辛子量でも体感が変わります。ほかに冷し五目味噌タンメン(辛さ6)1,020円、冷し五目蒙古タンメン(辛さ7)1,040円という中間の冷し系もあります。
さらに公式のメニュー表記には辛さアップのマークがあり、北極は10倍まで、冷し味噌は5倍まで辛さを上げられます。つまり辛さ9・10は上限ではなく、その先に倍率という別の軸が伸びているということです。
| 辛さ | メニュー | 価格 |
|---|---|---|
| 0 | 塩タンメン | 910円 |
| 0 | 冷し醤油タンメン | 940円 |
| 3 | 味噌タンメン | 920円 |
| 5 | 蒙古タンメン | 960円 |
| 7 | 五目蒙古タンメン | 1,040円 |
| 8 | 味噌卵麺 | 1,040円 |
| 9 | 北極ラーメン | 980円 |
| 10 | 冷し味噌ラーメン | 940円 |
初めての一杯で外さないための、券売機の前の3分間

カップ麺の辛さを基準にすると、店で足をすくわれる
最も多い失敗は、カップ麺の辛さを物差しにして店のメニューを選ぶことです。セブンプレミアムのカップ麺で「これくらいなら平気だった」と判断し、店でいきなり北極ラーメン(辛さ9)を押してしまう。原因は、カップ麺が家庭で日常的に食べられる設計になっていることにあります。
店の一杯は、鍋で炒めた野菜と唐辛子を煮含めたスープです。辛味成分がスープ全体に溶け込んでおり、レンゲを進めるほど蓄積していきます。しかも丼の量はカップ麺より多い。同じ「辛旨」という言葉でも、到達する刺激の総量が違います。
対策はシンプルで、店では自分の想定より2段階下げて注文することです。カップ麺で辛さに慣れているつもりなら、まず辛さ3の味噌タンメンか辛さ5の蒙古タンメン。ここで余裕があると感じたら、次回に辛さ7や9へ進めばいい。中本のメニューは1段ずつ上れるように刻まれているので、急ぐ理由がありません。
「北極はカップ麺の北極と同じくらいの辛さだろう」——これは順番が逆です。カップ麺は店の味を家庭向けに再現した商品であり、店の一杯を基準にして設計されています。カップ麺で辛さを測るのではなく、店で自分の限界値を知ってからカップ麺を選ぶ、と考えたほうが失敗しません。
東京の激辛ラーメンを辛さのタイプ別に見比べたい人は、こちらの記事も参考になります。

東京で激辛ラーメンを食べたい——でも「辛いだけ」の店は嫌だ。そう思ったことはありませんか? 実は東京には300店以上の激辛ラーメン店があり、その辛さのスタイルも…
辛さより先に決めるべきは、実は麺の量
券売機の前で辛さばかり見ていると、もう一つの落とし穴を見落とします。麺量です。中本ファンサイト「蒙古タンメン中本の道」のFAQによると、ラーメンの並盛は1玉で約230g、大盛は1.5玉で約345g、特大は2玉で約460g、超特大は2.5玉で約575gとされています。並盛の時点で、一般的なラーメンよりやや多めという水準です。
さらに冷し系は基準が上がります。同FAQでは冷し系の並盛が1.5玉・約345g、大盛が2玉・約460gとされており、「冷しの並盛」はラーメンの大盛に相当する量です。冷し味噌ラーメン(辛さ10)を軽い気持ちで頼むと、辛さと量の両方に同時に押されることになります。
辛さを攻めたい日は麺量を抑える、量を食べたい日は辛さを落とす。この二軸を同時に上げないというだけで、完食できる確率は大きく変わります。なお麺量の目安は公式サイトではなくファンサイトの記載であり、店の運用と細部が異なる可能性はあります。
シーン別・御徒町店の使い分け
仕事帰りに一人で寄るなら、辛さ5の蒙古タンメンに麺量は並盛。翌日に響かせたくない日は辛さ3の味噌タンメンへ下げます。通し営業なので、19時台の山を避けて21時以降に入るという選択も取れます。
アメ横で買い物をした帰りなら、荷物が増える前の来店が快適です。カウンター中心の店内で大荷物は扱いにくいため、買い物より先に食事を済ませる順番が向いています。
辛いものが苦手な人と一緒なら、辛さ0の塩タンメンや冷し醤油タンメンが受け皿になります。同じ卓で辛さ9と辛さ0が並ぶ光景は、中本ではごく普通です。
激辛に慣れていて限界を試したいなら、北極ラーメン(辛さ9)から。公式のメニュー表記では北極は10倍まで辛さを上げられるので、倍率はその先の話として取っておけます。いきなり倍率に手を出すのは、店の標準の北極を知ってからで十分です。
2026年9月1日、値段が動く——今の価格と改定の中身
公式が告知した改定日と、改定の内容
中本の公式サイトには「価格改定のお知らせ」が掲示されています。告知文によれば、原材料費等のコスト高騰により現行価格の維持が困難になったとして、2026年9月1日より一部メニューの価格を改定するとされています。
改定内容として明記されているのは2点です。一部メニューを約5%~10%改定すること、そしてこれまで無料で提供していた商品の一部に価格を設定すること。文面は店主・白根誠氏の名前で出されています。
つまり、この記事に掲載した価格は改定前の数字です。2026年9月1日以降に来店する場合は、券売機の表示が本記事の表と異なる可能性があります。告知の原文は公式サイトで確認できます。
蒙古タンメン中本 公式サイト「価格改定のお知らせ」/公式メニューページ(ラーメン)
本記事のレギュラー価格は、公式メニューページに掲載されていた2026年8月26日時点の金額です。公式告知のとおり2026年9月1日から一部メニューが約5%~10%改定され、無料提供だった商品の一部にも価格が設定されます。来店前に公式サイトの最新メニューを確認してください。
冷し系と丼——価格表の「もう半分」を知る
中本の価格表は、ラーメンの列だけでは半分しか見えません。冷し系とライスメニューにも独立した価格帯があります。冷し醤油タンメン940円、冷し五目味噌タンメン1,020円、冷し五目蒙古タンメン1,040円、冷し味噌ラーメン940円、冷し味噌やさい1,140円。ライス系は蒙古丼1,040円、半蒙古丼670円です。
ここで面白いのは価格と辛さが比例していない点です。辛さ10の冷し味噌ラーメンは940円で、辛さ3の味噌タンメン920円とほとんど変わりません。一方、辛さ9の北極やさい1,090円や辛さ8の五目味噌タンメン1,140円は、具材の量で価格が動いています。中本の価格を決めているのは辛さではなく具材、という構造がここに出ています。
この構造を知っていると、予算から逆算した注文ができます。1,000円以内に収めたいなら塩タンメン910円・味噌タンメン920円・蒙古タンメン960円・北極ラーメン980円・冷し味噌ラーメン940円が候補。野菜をしっかり食べたい日は、1,000円台の「やさい」「五目」系に踏み込む、という判断です。
半ラーメン480円という、もう一つの遊び方
サイドメニューには半味噌タンメン480円、半蒙古タンメン480円、半北極ラーメン480円、半冷し味噌ラーメン480円が並びます。いずれもハーフサイズで、辛さは元のメニューと同じ数字です。
ただし条件があります。公式サイトのサイドメニューページには「サイドメニューはラーメン、つけ麺、ライスメニューとご一緒にご購入ください。サイドメニューのみではご購入いただけません」と明記されています。半ラーメンだけを買って軽く済ませる、という使い方はできません。
逆に言えば、これは「辛さの食べ比べ」を1回の来店で成立させる仕組みです。蒙古タンメン960円に半北極ラーメン480円を足せば、辛さ5と辛さ9を同じ卓で比較できます。自分の限界がどのあたりにあるのかを一度で測りたい人には、この組み合わせが効きます。
なお、公式告知にあった「今まで無料提供していた商品の一部を価格設定」という一文は、2026年9月1日以降の券売機の並びに影響する可能性があります。長く通っている人ほど、改定後は一度ボタンを最初から眺め直したほうがよさそうです。
横丁という立地を、どう使い倒すか
同じ高架下に、つけ麺と淡麗清湯が並んでいる
御徒町らーめん横丁の強みは、数十歩の距離にジャンルの違う店が並んでいることです。中本の激辛味噌のすぐ近くに、濃厚魚介豚骨のつけ麺と、淡麗系の中華そばが揃っています。
つけめんTETSUは、焼き石でつけ汁を温め直す仕掛けで知られるつけ麺店です。御徒町らーめん横丁店は2024年9月に改装のため一時休業し、同年10月12日にリニューアルオープンしています。
TETSUというブランドの成り立ちについては、こちらで詳しく解説しています。

つけ麺を食べていて、最後の数口でスープがぬるくなり、あの濃厚さが急に重たく感じられた——そんな経験はありませんか。実はこの「つけ麺の宿命」に、たった一つの石で答…
もう一方の中華そば青葉は、中野本店を起点に東京・埼玉・千葉・神奈川・茨城へ広がった老舗です。公式の店舗一覧には全18店舗が掲載されており、御徒町店もそのうちの1店として名を連ねています。
「今日は中本の気分じゃない」を許容できる街
複数人で歩くとき、全員が激辛を食べたい日ばかりではありません。横丁という構造は、その場で意見が割れても数歩で解決できるという利点を持っています。中本の券売機の前で辛さを迷っている間に、隣がつけ麺を選ぶ——そういう分岐が成り立つ場所です。
この分散は、実は待ち時間の観点でも効きます。中本に長い列ができている時間帯でも、隣の区画が同じように混んでいるとは限りません。横丁全体を1つの店として捉えると、御徒町での食事の選択肢は一気に広がります。
もっとも、これは「中本を諦める」という話ではありません。中本の列は、辛さの強いメニューほど食べ終わるのに時間がかかるぶん、見た目の人数より進みが遅いという性質があります。列の長さだけで判断せず、時間帯そのものをずらすほうが確実です。
意外と知られていない、通し営業の「谷」の使い方
意外と知られていませんが、中本の通し営業で最も静かなのは、開店直後よりも14時から16時にかけての時間帯です。昼の山が引いたあと、夕方の山が立ち上がるまでの谷が、通し営業の店にだけ存在します。
この時間に来店できると、券売機で迷う余裕も、辛さの上位帯に挑む心の準備もできます。中休みを取る店ではこの時間に食事ができないため、上野・御徒町を歩く日程を組むときの起点として使えます。
加えて、御徒町は上野・秋葉原と高架沿いに繋がっているため、この谷の時間帯に食事を差し込むと一日の回遊効率が上がります。アメ横の買い物を午前に、食事を14時台に、午後を美術館や電気街に——という組み立てが可能です。
1968年の町中華から、2000年の復活まで
先代・中本正が始めた「中国料理 中本」
中本の原点は、1968年9月に板橋区で開店した「中国料理 中本」です。創業者は中本正(1937-2014年)。町中華でありながら「辛い料理を追求する」という一点に賭け、独自のメニューを開発していきました。
当時の東京で、辛さを前面に出した中華料理店は珍しい存在でした。四川料理の専門店はあっても、街のラーメン屋が唐辛子の量で勝負するという発想は一般的ではありません。中本正はそこに真正面から取り組み、辛さを「刺激」ではなく「味の構成要素」として組み立てました。
この時期に生まれたのが、後の看板となる蒙古タンメンや北極ラーメンの原型です。味噌のコク、炒めた野菜の甘み、そして唐辛子——今の中本のメニュー表を貫いている設計思想は、この町中華の厨房で完成しています。
しかし店は1998年12月に閉店します。30年の歴史を持つ人気店が、そのまま消えてもおかしくない場面でした。
20年通った常連客が、店を継いだ
閉店した中本を引き継いだのは、20年間通い続けた常連客・白根誠でした。修業を経た料理人ではなく、客として味を知り尽くした人物が店を再建したという点が、この店の系譜を特異なものにしています。
再開は2000年。屋号は「蒙古タンメン中本」となり、看板メニューの名前が店名に組み込まれました。現在は白根が経営する株式会社誠フードサービスが運営し、2020年には本社を豊島区から埼玉県新座市へ移しています。
その復活1号店が本店です。ここから西池袋、新宿、目黒と広がっていきました。
| 住所 | 東京都板橋区常盤台4-33-3 浅香ビル201号 |
| 電話番号 | 03-5398-1233 |
| 営業時間 | 10:00~23:00 |
| 公式サイト | 公式サイト |
- 1968年9月:中本正が板橋区で「中国料理 中本」を開店
- 1998年12月:中国料理 中本が閉店
- 2000年:常連客だった白根誠が引き継ぎ「蒙古タンメン中本」として本店を開店
- 2008年:御徒町店が開店
- 2014年12月11日:耐震工事に伴い御徒町らーめん横丁が移転リニューアル
- 2020年:運営会社が本社を豊島区から埼玉県新座市へ移転
「北極」も「蒙古」も、実はモンゴルと関係がない
実は、店名の「蒙古」も看板メニューの「北極」も、モンゴル国とは無関係です。北極ラーメンという名前は、先代・中本正の「寒い土地では身体の温まる辛いものを食べるのではないか」という発想から生まれました。メニューの中で群を抜く辛さ、北の頂点という意味を込めて先代が命名したものです。
二代目の白根誠も「モンゴルとは全然関係ない」と明言しています。つまりこれは民族料理の看板ではなく、寒さと辛さを結びつけた先代の言語感覚から出てきたネーミングなのです。
この誤解は根深く、「蒙古タンメン=モンゴル風の羊肉料理」と思ったまま来店する人が今も一定数います。丼に乗っているのは辛子麻婆豆腐と炒め野菜であり、羊は出てきません。名前の由来を知っているかどうかで、最初の一口の受け止め方が変わります。
中本には「常連」という言葉に独自の定義があります。ファンの間では、来店回数や年季、食べられる辛さの度数ではなく「自分の行ける範囲で可能な限り通い続け、中本を心から愛している人」を常連と呼びます。辛さ10を食べられるかどうかは、常連の条件に入っていないわけです。
公式一覧に並ぶのは31店舗——その中の御徒町
2026年8月時点で、公式サイトの店舗一覧に掲載されているのは31店舗です。内訳は東京11、埼玉5、神奈川4、千葉4、山梨1、群馬1、栃木1、愛知1、新潟1、宮城1。首都圏に軸足を置きながら、愛知・新潟・宮城へも飛んでいます。
一方で、店舗網は増えるだけではありません。19年営業した吉祥寺店は店舗の老朽化を理由に2025年に閉店しています。駅前や高架下という物件の性質上、建物の事情で店が動くことは中本に限らず避けられません。
その中で御徒町店は、2008年の開店から2014年の横丁移転を経て、同じ高架下で営業を続けています。東京11店舗のうち、上野・御徒町エリアを受け持つのはこの店です。都心の東側で中本を探すとき、最初に候補に挙がるのがここになります。
カップ麺で覚えた味と、丼の中身は何が違うのか
セブンプレミアムの259円という、最も広い入口
中本の名前を全国区にしたのは、店ではなくカップ麺だと言っていいでしょう。セブンプレミアムの「蒙古タンメン中本 辛旨味噌」は122gで259円。コンビニの棚で手に取れる価格帯で、店の味を再現した商品として展開されています。
この商品の存在は、店側にとっても意味を持ちます。中本の店舗は31店舗で、その多くが首都圏に集中しています。店に行けない地域の人にとって、カップ麺が唯一の接点になります。セブンプレミアム公式の商品ページでも、辛旨ラーメンの名店の味を再現した商品として紹介されています。
ただし、この入口の広さが2つ目の失敗パターンを生みます。カップ麺で完成された味を先に覚えてしまうと、店の一杯を「カップ麺の上位互換」として期待してしまうのです。
店の一杯は、野菜と麻婆豆腐でできている
店とカップ麺の最大の違いは、鍋で炒めた野菜の存在です。中本の店の一杯は、キャベツやもやしを鍋で炒め、スープと合わせて仕上げます。この野菜から出る甘みと水分がスープの一部になっているため、辛さの当たり方が丸くなります。
もう一つが辛子麻婆豆腐です。蒙古タンメンは味噌タンメンの上に麻婆豆腐が乗る二層構造で、食べ進めるうちに味が変化していきます。カップ麺では、この「途中で味が変わる」体験は再現しきれません。
| 項目 | 御徒町店の一杯 | セブンプレミアムのカップ麺 |
|---|---|---|
| 価格 | 蒙古タンメン960円 | 辛旨味噌259円 |
| 辛さの選択 | 辛さ0~10から選べる | 商品ごとに固定 |
| 野菜 | 鍋で炒めた野菜が入る | かやくとして再現 |
| 量 | 麺量を並盛~超特大で選べる | 122g(固定) |
持ち帰りという第三の選択肢
御徒町店は、公式の店舗情報でテイクアウトとUber Eatsに対応していると案内されています。カウンター席で汗をかきながら食べるのが本来の姿ではあるものの、席の回転が気になる日や、複数人分をまとめて持ち帰りたい日には現実的な選択肢です。
持ち帰りを選ぶ場合、麺とスープが別容器になる分、食べ始めるまでの時間で麺の状態が変わります。辛さの上位帯ほどスープの温度が味の印象を左右するため、移動時間が短い距離で使うほうが向いています。御徒町という立地なら、上野公園まで持ち帰るより、近隣の職場や宿で食べるほうが理に適っています。
この「店・カップ麺・持ち帰り」という3つの入口が揃っているのが、今の中本です。どれか1つで判断せず、3つを別のものとして扱うと、それぞれの良さが見えてきます。
まとめ:御徒町の高架下で、自分の辛さを見つける
御徒町店は、2008年に開店し、2014年の横丁移転を越えて同じ高架下に残った店です。辛さ0の塩タンメンから辛さ10の冷し味噌ラーメンまでが1台の券売機に並び、辛いものが得意な人も苦手な人も同じ卓に座れます。最初の一歩としては、辛さ3の味噌タンメンを並盛で注文して、中本のスープの下地を確かめるところから始めてみてください。そこから数字を1段ずつ上げていけば、自分がどの辺りで止まるべきかが見えてきます。1968年の町中華から、常連客が継いだ2000年の復活を経て積み上がってきた味を、高架下のカウンターで受け取る——それが御徒町での正しい過ごし方です。
※本記事の価格・営業時間は2026年8月26日時点で公式サイトに掲載されていた内容です。2026年9月1日に価格改定が予定されているため、来店前に公式サイトで最新情報をご確認ください。

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