券売機の前で3秒固まる。あの感覚を、二郎系に踏み込んだことのある人なら一度は味わったことがあるはずです。ボタンには「半分」「少な目」「普通」と並び、どれが自分の胃袋に合うのか判断材料がない。しかもここは麺量400gが「普通」の店です。
結論から書きます。ラーメン富士丸 西早稲田店は、初めてなら「半分(小)200g」を選び、コールは「ちょいヤサイ、ちょいアブラ」で十分に成立します。そして2026年8月20日、この店は物価高の真っ只中で学割を750円へ値下げするという珍しい判断を公式Xで告知しました。学生であれば、麺量400gまで選んで750円です。
この記事では、富士丸という屋号がラーメン二郎の元支店から生まれた経緯、丼の中で起きていること、名物「ブタカスアブラ」の正体、そして券売機の前で迷わないための手順までをまとめて解説します。読み終わる頃には、あの3秒の空白は消えているはずです。
・ラーメン富士丸 西早稲田店の立ち位置と、店内で守るべき最低限の作法
・2026年8月に告知された学割750円の中身と、通常価格との比較
・富士丸の名物「ブタカスアブラ」が別皿で出てくる理由と入れどき
・1991年の赤羽から続く富士丸の系譜と、グループ各店のいま
ラーメン富士丸 西早稲田店とは何者か|大久保の路地に灯る10席

2023年2月、学生街のとなりに開いた一軒
ラーメン富士丸 西早稲田店が開店したのは2023年2月1日です。東京メトロ副都心線の西早稲田駅から徒歩4分、明治通りから一本入った住宅街の路地に、看板だけが赤く浮かぶような佇まいで建っています。都営大江戸線の東新宿駅からも歩けるうえ、早稲田大学の学生が日常的に往来するエリアで、二郎系の激戦区である高田馬場とも生活圏が重なります。
富士丸というグループの本店は北区の神谷にあり、営業時間帯も夜が中心でした。西早稲田店はそこから離れ、昼から通える都心の店として増えた一軒です。開店直後から行列が絶えず、二郎系のブログや実食レポートが集中的に書かれた店でもあります。
店の作りはきわめて単純で、席はカウンター10席のみ。厨房を囲む形で客が座り、麺を茹でる湯気とニンニクの匂いが逃げ場なく充満します。二郎系の店に共通することですが、この「逃げ場のなさ」こそが体験の一部です。丼が置かれる瞬間の音、隣の客がコールを告げる声、湯切りの拍子。それらを全部込みで味わう場所だと思ってください。
なお支払いは現金のみです。キャッシュレス決済に慣れきった人ほど取りこぼしやすいポイントなので、財布の中身は駅を出る前に確認しておくのが安全です。
「インスパイア」ではない——富士丸という血統の特殊さ
意外と知られていないのですが、富士丸はラーメン二郎の味に憧れて似せた店(インスパイア店)ではありません。ラーメン二郎の初代赤羽店そのものが、2001年に屋号を変えて独立した結果が富士丸です。つまり血統としては「二郎の元支店」であり、外から真似た店とは出発点が違います。
この違いは丼の上に表れます。インスパイア系の多くは二郎の外形——山盛りのヤサイ、極太麺、豚——を再現することから始めますが、富士丸は元支店として持っていた作り方を独自に伸ばしてきました。甘みの強いカエシ、くたくたに煮えたヤサイ、そして別皿で出るブタカスアブラ。どれも二郎直系の標準形とは異なる方向に進化した部分です。
ラーメン好きの会話で「富士丸って二郎系だよね」と言われたとき、「元・二郎の赤羽店ですよ」と一言添えられると、話の解像度が一段上がります。系譜の詳細は後半の年表で改めて整理します。
富士丸は屋号を一度で決めたわけではありません。独立時は「ラーメン◯二」、次に「ラーメンマルジ」、そして現在の「ラーメン富士丸」へと看板が変わっています。西新井大師店の食べログに旧店名として「○二 マルジ」が残っているのは、その名残です。
10席・現金のみという物理的な制約が意味すること
カウンター10席という規模は、二郎系の店としては標準的です。ただしこの数字は、待ち時間の読み方に直結します。10席の店で前に10人並んでいれば、単純計算で一巡分の待ちが発生します。回転は速い業態ですが、ロット(一度に麺を茹でる単位)の切れ目に当たると体感の待ち時間は伸びます。
そしてもうひとつ、店は住宅街に隣接しています。富士丸グループの本店である神谷本店の公式Xは、並ぶ際に静かに、広がらずに並ぶよう繰り返し呼びかけてきました。西早稲田店も路地に面した立地で、事情は同じです。行列は店の資産であると同時に、近隣にとっては負荷でもある——この感覚を持って並べる人が、結果的に長くその店に通えます。
営業時間や臨時休業は、二郎系では日単位で動きます。西早稲田店は公式X(@220nisiwaseda)で当日の営業を告知しているため、出発前にタイムラインを一度見る習慣をつけておくと空振りが減ります。
| 住所 | 〒169-0072 東京都新宿区大久保2-8-16 |
| アクセス | 東京メトロ副都心線 西早稲田駅 徒歩4分 |
| 駐車場 | なし(近隣にコインパーキングあり) |
| 公式サイト | 公式サイト |
丼の中で何が起きているのか|麺・カエシ・豚・ヤサイの設計
自家製の平打ち縮れ麺は「すする」より「噛む」
富士丸の麺は自家製の平打ち縮れ麺です。断面が丸い一般的な中華麺と違い、平たく潰れた帯のような形状をしていて、表面には不規則な縮れが入ります。この形状は、粘度の高いスープを引き上げるための設計です。丼から持ち上げると、麺の谷間に乳化したスープと背脂が絡んで一緒に上がってきます。
食感は、すすって喉で味わうタイプではありません。前歯で押し切り、奥歯で潰す。噛むたびに小麦の甘みが戻ってくる、いわゆる「ワシワシ」と形容される歯応えです。二郎系に慣れていない人が最初に驚くのはスープの濃さではなく、この咀嚼の重さであることが多いのです。
麺量は普通(大)で400g、少な目(中)で300g、半分(小)で200g。ラーメン二郎の一般的な説明でも「小で普通のラーメンの特盛かそれ以上、大で普通のラーメンの大盛り2杯分相当」とされており、富士丸の400gも数字以上の質量として胃に届きます。うどんや蕎麦の一人前と同じ感覚で400gを選ぶと、後半で確実に苦しくなります。
甘みの強いカエシと、乳化したスープ
富士丸のスープを一口目で特徴づけるのは、醤油ダレ(カエシ)の甘みです。塩気で押し切るのではなく、甘さと旨味が前に出てから塩味が追いかけてくる構成で、これが平打ち麺の小麦感とよく噛み合います。豚を煮込んだ豚骨スープは白く濁って乳化し、粘度が上がった状態で丼に注がれます。
乳化とは、本来混ざり合わない脂と水分が細かい粒になって混ざった状態のことです。乳化が進んだスープは口当たりがまろやかになり、麺への絡みが増します。二郎系の店ごとに「乳化系」「非乳化系」と語られるのは、この脂の分散度合いの違いを指しています。富士丸は乳化寄りで、丼の表面に脂の膜が張り、最後まで温度が落ちにくいのも特徴です。
ここでよくある誤解を一つ。濃厚に見えるスープを「飲み干すのが礼儀」と考える人がいますが、そういう決まりはありません。麺と具を食べ切れば十分です。むしろ完食できる量を最初に選ぶことのほうが、店にとっても自分にとっても正解です。
分厚い豚と、ブタメンという選択肢
富士丸のもう一つの看板が豚(チャーシュー)です。二郎系では厚みのあるブロック肉を指して「豚」と呼び、薄いスライスのチャーシューとは別物として扱われます。西早稲田店の豚も、丼の上で存在感が明確に分かる厚みで供されます。
豚を増やしたいなら、券売機のブタメンを選ぶことになります。西早稲田店のブタメンは半分(小)200gが1,550円、少な目(中)300gが1,600円、普通(大)400gが1,650円という価格帯です。ラーメンとの差額は肉の増量分そのもので、豚が目当てなら迷わずこちらです。
ただし初回でブタメンの普通を選ぶのは危険です。麺400gに厚い豚が複数枚加わると、総重量は一般的なラーメン数杯分に達します。豚を味わいたい気持ちと、完食できる現実は分けて考えたほうがよい場面です。
クタヤサイ——シャキシャキではなく、くたくたに
ヤサイ(もやしとキャベツ)は、二郎系の店によって茹で加減が大きく違います。歯応えを残した「シャキ」を身上とする店もあれば、しっかり火を通した「クタ」を選ぶ店もある。富士丸は後者のクタ寄りで、西早稲田店でも最初からくたくたに煮えたヤサイとアブラが乗った状態で提供されます。
クタヤサイの利点は、スープと一体化することです。もやしの水分が抜けた分だけスープを吸い、甘みの強いカエシと背脂をまとった状態で口に入ってきます。シャキシャキ派からは物足りないと言われることもありますが、甘い乳化スープとの相性で言えば理にかなった選択です。
量を増やしたいときは「ちょいヤサイ」が無料コールの範囲、それ以上増やすならヤサイマシが100円の食券です。無料と有料の線引きが明確なので、初回は無料の範囲で全体像を掴むのが無難です。
2026年8月、この店は値上げではなく値下げを選んだ

公式Xが告知した「学割750円」
2026年8月20日、ラーメン富士丸 西早稲田店の公式Xが価格改定を告知しました。内容は珍しいものでした。小麦の値上げ、豚肉の高騰、光熱費と人件費、そしてゴミ処理代の増加——並べられた理由は完全に値上げの文脈です。ところが実際の改定は学割の値下げでした。
従来の学割は950円で、選べる麺量は200gから300gまで。これが750円になり、麺量は200gから400gまで選べるようになりました。金額は下がり、選べる上限は増えています。対象は学割ラーメンと学割油そばで、2026年8月21日からの適用として告知されています。店側は「これからの未来を背負う学生に沢山食べてもらいたい」という趣旨を述べています。
早稲田大学の学生が日常の徒歩圏にいる立地で、この判断が持つ意味は小さくありません。コストが上がっている事実は隠さず書いたうえで、その負担を学生に転嫁しない方向に舵を切った——原価が上がるほど価格を上げるのが自然な業界にあって、逆を選んだ事例として記録しておく価値があります。
| サイズ(麺量) | 通常価格 | 学割価格 |
|---|---|---|
| 半分(小・200g) | 1,000円 | 750円 |
| 少な目(中・300g) | 1,050円 | 750円 |
| 普通(大・400g) | 1,100円 | 750円 |
数字を並べて見えてくること
この表で注目したいのは、通常価格のほうです。半分(小)200gが1,000円、普通(大)400gが1,100円。麺の量は倍になるのに、価格差は100円しかありません。二郎系の価格構造は「麺の量ではなく、一杯という体験に値段が付いている」と言われますが、西早稲田店の券売機はそれを数字で示しています。
裏を返せば、少食の人が半分(小)を選んでも割高感が出やすいということでもあります。それでも半分を選ぶ価値があるのは、完食できるかどうかが二郎系の満足度を決める最大の変数だからです。食べ切れずに丼を残した記憶は、味の記憶を上書きしてしまいます。
さらに券売機には、より上のサイズも用意されています。大盛り(特大)500g以上が1,350円という設定で、麺量に対する価格の伸びはやはり緩やかです。ここまで来ると価格ではなく、自分の胃袋との交渉になります。
学割を使うときに勘違いしやすい点
「学割750円だから、どのメニューでも750円になる」——これは誤りです。告知で対象とされたのは学割ラーメンと学割油そばで、ブタメンやつけ麺までが同じ価格になるわけではありません。また学割は店側の判断で運用が変わり得る制度です。適用条件や実施状況は、来店前に公式Xの最新の告知を確認してください。
もう一点、学割の値下げは「安いから空いている」ことを意味しません。むしろ告知直後は情報が広がって混み合う可能性があります。学割目的で行くなら、時間に余裕を持って向かうのが現実的です。
券売機に並ぶそのほかのメニュー
西早稲田店の券売機には、ラーメンとブタメンのほかに汁なし、冷やし油そば、魚豚つけ麺、辛魚豚つけ麺といった選択肢が並びます。二郎系の店で汁なしが常設されているのは、二度目・三度目の来店で選択肢が広がるという意味で大きな価値があります。
汁なしは、スープを張らずにタレと脂を麺に直接絡めるスタイルです。丼の底からしっかり混ぜて食べるのが基本で、スープを飲まない分だけ塩分や脂の当たり方も変わります。魚豚つけ麺は名前のとおり魚介の要素が加わったつけ麺で、同じ厨房から出てくるとは思えないほど印象が変わる一杯です。
券売機の前で固まらないための手順
手順1:並ぶ前にサイズを決めておく
二郎系で最初につまずくのは、味でも量でもなく順番です。券売機は店内にあり、入店のタイミングで食券を買う流れになります。つまり、券売機の前に立った時点で「サイズをどうするか」を考え始めると、後ろの客を止めることになります。
だから並んでいる間に決めておきます。判断の目安はシンプルで、普段ラーメンを大盛りで頼まない人は半分(小)200g、大盛りを普通に食べ切る人は少な目(中)300g、二郎系の経験があって完食に自信がある人だけが普通(大)400gです。麺量が「普通」という言葉に引っ張られて400gを選ぶのが、最も多い失敗です。
また支払いは現金のみです。券売機の前で小銭を探す時間も、並びの流れを止める要因になります。財布の中身は列に並んでいる間に確認しておきましょう。
手順2:欲しい有料トッピングの食券を足す
ラーメンの食券を買ったら、必要に応じてトッピングの食券を追加します。西早稲田店ならブタカスアブラが100円、ヤサイマシが100円、生たまごが100円です。富士丸グループ全体で見ると、しょうがが50円、汁なしへの変更券が50円、ゆで玉子が120円といった食券も用意されています。
ここで重要なのは、無料コールで済むものに食券を買う必要はないという点です。ニンニク、ちょいヤサイ、ちょいアブラは無料の範囲で、着席後に口頭で伝えます。逆に、ヤサイを大きく増やしたい、アブラを本格的に足したいという場合は食券が要ります。この線引きを事前に知っているだけで、券売機の前の迷いはほぼ消えます。
手順3:呼ばれたタイミングでコールを告げる
コールは、丼が出る直前に店員から確認されるタイミングで告げます。自分から早めに言ったり、着席と同時に宣言したりする必要はありません。西早稲田店ではニンニクが最初から入っているわけではないため、欲しい場合はニンニクとコールするのが基本です。
初回に告げる言葉として無難なのは「ニンニク、ちょいヤサイ、ちょいアブラ」です。長い呪文を覚える必要はありません。何も足さないなら「そのままで」で通じます。コールは店との会話であって、試験ではないという感覚を持っておくと気が楽になります。
二郎系の注文の全体像——食券からコールまでの流れをもう一段詳しく知りたい方は、下の記事が手順書として使えます。

ラーメン二郎の暖簾をくぐる直前、券売機の前で固まってしまった経験はありませんか。「ニンニク入れますか?」の一言に頭が真っ白になり、思わず「大丈夫です」と答えて後…
失敗パターン①:入店してから考え始めて、列を止めてしまう
「席に着いてからゆっくり選べばいい」——二郎系ではこれが最大の詰まりを生みます。厨房は客の着席前から見込みで麺を茹で始めており、注文が遅れると茹で上がりのタイミングとズレます。原因は「一般的な飲食店と同じ順序を想定していること」。対策は単純で、列に並んだ時点でサイズとトッピングを決め、財布を出しておくことです。
この失敗が起きるのは、初心者だけではありません。他店の二郎系に慣れている人が、サイズ表記の違い(富士丸は「半分・少な目・普通」、二郎直系は「小・大」)に一瞬戸惑って止まるケースもあります。表記が違うだけで中身は麺量の話なので、200g・300g・400gという数字に読み替えて構えておくと迷いません。
ブタカスアブラという別皿の正体
背脂と肉カスを合わせた、富士丸の名物
ブタカスアブラは、富士丸を語るうえで外せない有料トッピングです。中身は、味を付けた背脂と、豚肉を煮出したあとに残る肉のカス(ブタカス)を合わせたもの。純粋な脂の塊ではなく、肉の繊維が混ざっているため、口に入れると脂の甘みと肉の旨味が同時に来ます。
二郎系一般で言う「アブラ」は、コールで増やせる背脂を指すことがほとんどです。富士丸の場合、無料コールで増やせるのは「ちょいアブラ」までで、それ以上を求めるならブタカスアブラの食券を買う仕組みになっています。無料で盛れる脂と、お金を払って足す脂が、名前ごと分けて設計されているわけです。
「アブラ」と「カラメ」が丼の中で何を変えるのかという仕組みの話は、下の記事で背脂とカエシの役割から解説しています。

ラーメン二郎のカウンターで、店員さんから「ニンニク入れますか?」と聞かれる。この一言が、実はニンニクだけを聞いているわけではないことをご存じでしょうか。あの問い…
なぜ丼に乗せず、別皿で出すのか
富士丸系のブタカスアブラは、別皿で提供されるのが標準です。これは二郎系全体で見ると珍しい形式で、初めて頼んだ人が「乗せ忘れかな」と戸惑うこともあります。
別皿にする合理性は、富士丸のアブラの性質にあります。肉カスを含んだドロリとした脂を最初から全量丼に落とすと、乳化スープの上にさらに脂の層が重なり、味の輪郭がぼやけます。別皿なら、食べる側が入れる量とタイミングを制御できます。要するに、店が味の主導権を客に渡している仕組みです。
入れどきは「一口目」ではなく「中盤」
ブタカスアブラの推奨される使い方は「ある程度食べてから味変として投入する」というものです。前半は甘みの強いカエシと乳化スープを素のまま味わい、飽きが来る中盤で脂と肉カスを落とす。一杯の中に前半と後半で二つの味を作る、という発想です。ライスがある店では、ご飯に乗せて食べる使い方も知られています。
この「中盤で入れる」という設計思想を知っているかどうかで、同じ100円の食券の価値が変わります。最初から入れてしまうと、丼の中は最初から最後まで同じ味です。中盤で入れれば、一杯で二度おいしい。二郎系が長時間かけて食べる料理であることを踏まえた、実用的な知恵だと言えます。
失敗パターン②:券を買った安心感で、全量を一気に投入する
起きがちな失敗は「せっかく買ったのだから」と別皿を最初に全部空けてしまうことです。原因は、ブタカスアブラを味変アイテムではなく「増量トッピング」だと捉えていること。対策は、皿を半分だけ落として一度混ぜ、味の変化を確かめてから残りを判断すること。残った分をヤサイに絡めて食べれば、最後まで味が単調になりません。
もう一つ添えておくと、脂の量は満腹感に直結します。麺400gにブタカスアブラを全量、という組み合わせは、完食のハードルを確実に押し上げます。量と脂は別々に増やすのではなく、どちらかに寄せる。これが二郎系を長く楽しむための現実的な折り合いです。
1991年赤羽から始まる系譜|富士丸はどこから来たのか
母体としてのラーメン二郎
富士丸の話は、ラーメン二郎から始めなければ成立しません。ラーメン二郎の創業は1968年、創業者は山田拓美。当初は目黒区の東急東横線・都立大学駅の近くで「ラーメン次郎」の名で開店しました。そこから直系店が広がり、2026年6月時点では46店舗が営業中とされています。
ラーメン二郎の運営には、一般的なチェーンとは異なる特徴があります。一度に麺を茹でる単位である「ロット」を基準に回転を組み、行列の段階で必要な麺量を見込んで茹で始める。客は「ヤサイニンニクカラメ」といった独特の言い回しで注文を伝え、これが呪文と呼ばれてきました。麺量は小で普通のラーメンの特盛かそれ以上、大なら大盛り2杯分相当という規模感です。
2001年、赤羽店の独立と三度の改名
- 1968年:ラーメン二郎が目黒区・都立大学駅近くで創業
- 1991年:ラーメン二郎の初代赤羽店が開店
- 2001年:赤羽店が独立。「ラーメン◯二」→「ラーメンマルジ」→「ラーメン富士丸」と屋号が変遷
- 2021年:東浦和店が開店し、グループが埼玉へ広がる
- 2023年:西早稲田店が開店。同年、明治通り都電梶原店が改装休業から営業再開
- 2026年:西早稲田店が学割を値下げ。神谷本店は厨房のボヤで休業
屋号が三度も変わっているのは、独立という出来事の重さを物語っています。看板を掛け替えながらも味の設計は引き継がれ、やがて「富士丸」という名前そのものが一つの系統として認識されるようになりました。今日では富士丸に憧れて開業する店も現れており、母体から分かれた枝が、さらに枝を伸ばしている状態です。
神谷から埼玉・神奈川へ広がったグループ
富士丸グループは首都圏に複数の店を構えています。北区の神谷本店を軸に、足立区の西新井大師店、北区の明治通り都電梶原店、埼玉県川口市の東浦和店、神奈川県平塚市の平塚店、そして新宿区の西早稲田店が知られています。
東浦和店は2021年1月12日に開店し、グループで初の独立店として紹介されてきた店です。明治通り都電梶原店は改装のため休業していましたが、2023年9月5日に営業を再開しました。再開当初はメニューを絞った営業と告知されており、体制を整えながら段階的に戻していく形が取られています。
平塚店は事情が特殊です。2025年7月19日に発生した近隣建物の延焼の影響で見附町の店舗が臨時休業となり、その後、平塚市明石町へ移転して営業を続けています。火災という予期しない出来事を経て店が場所を変えた例で、グループの店を訪ねるときに「昔の住所のまま検索すると別の場所に着く」典型でもあります。
| 住所 | 東京都足立区西新井1-7-7 |
| 電話番号 | 03-3896-6302 |
| アクセス | 東武大師線 大師前駅 徒歩3分 |
| 駐車場 | なし(近隣にコインパーキングあり) |
| 公式サイト | 公式サイト |
| 住所 | 東京都北区上中里3-18-1 |
| アクセス | 都電荒川線 梶原停留場 徒歩2分 |
| 公式サイト | 公式サイト |
神谷本店のいま——2026年4月のボヤと休業
グループの本店である神谷本店は、2026年4月28日の朝、仕込み中に厨房のステンレス壁の内部から発煙する事態が発生しました。公式Xの告知によれば、すぐに消防が呼ばれ、大きな被害や負傷者はなかったものの、厨房内の修繕が必要になり当日から臨時休業に入っています。
本稿の執筆時点(2026年8月)で、再開の告知は確認できていません。神谷本店の公式X(@ramenfujimaru)が唯一の一次情報源になるため、本店を目当てに向かう前には必ず最新の投稿を確認してください。長く通ってきた人ほど「いつもの店だから」と足が向きますが、二郎系の営業情報は前日の告知で変わることが日常です。
裏を返せば、西早稲田店をはじめとする各店が、本店の休業中も富士丸の味を都心で保っている状況でもあります。西早稲田駅から徒歩4分という距離は、いま富士丸を味わう入口として使いやすい位置にあります。
西早稲田で二郎系を選ぶときの判断軸
富士丸系と二郎直系は、どこが違うのか
| 項目 | 富士丸系 | ラーメン二郎 直系 |
|---|---|---|
| サイズ表記 | 半分・少な目・普通・大盛り | 小・大が基本 |
| アブラの増量 | ちょいアブラは無料、以上は食券 | コールで調整 |
| アブラの提供 | ブタカスアブラは別皿 | 丼に直接 |
| ヤサイの茹で加減 | クタ寄り | 店ごとに差が大きい |
表を眺めると、富士丸系は「増量の権限を食券という形で明示している」ことが分かります。無料でできる範囲と、お金を払って足す範囲が名前ごと分かれているため、コールの技術がなくても目当ての一杯に近づけます。コールの作法に緊張しがちな人にとって、これは入りやすさとして働きます。
新宿小滝橋通り店という直系との比べ方
西早稲田・新大久保のエリアから足を延ばせる距離に、ラーメン二郎の直系店があります。ラーメン二郎 新宿小滝橋通り店で、開店は1999年2月8日。都営大江戸線の新宿西口駅から徒歩2分という都心の一等地にあり、二郎直系のなかでも通いやすい店として知られています。
富士丸の西早稲田店と直系の小滝橋通り店を同じ週に食べ比べると、甘みの出方、ヤサイの茹で加減、脂の当たり方の違いがはっきり分かります。系統の話を頭で理解するより、二杯を近い日程で食べたほうが早い、というのが実感に近い話です。
小滝橋通り店の成り立ちについては、下の記事で開店の経緯から詳しく扱っています。

ラーメン二郎の直系店には、かつて「二郎で一番マズい」と名指しされた店があります。それが新宿小滝橋通り店です。ところが現在、この店は「初めての二郎に最も向いている…
| 住所 | 東京都新宿区西新宿7-5-5 |
| 電話番号 | 03-3371-5010 |
| アクセス | 都営大江戸線 新宿西口駅 徒歩2分 |
| 公式サイト | 公式サイト |
シーン別の選び方——今日の自分はどちらか
二郎系が初めて、または久しぶりという人には、西早稲田店の半分(小)200gが向いています。無料コールの範囲で「ちょいヤサイ、ちょいアブラ」を告げれば、富士丸らしさは十分に伝わります。完食できたという記憶が、次の一杯への入口になります。
学生であれば、学割を使わない手はありません。750円で麺量400gまで選べる設定は、通常価格との差が大きく開いています。ただし選べることと食べ切れることは別問題なので、初回は無理をしない選択をおすすめします。
すでに二郎系に通っている人には、ブタカスアブラを中盤で投入する食べ方と、汁なしや魚豚つけ麺といった券売機の別ボタンが次の目標になります。同じ厨房から出てくる別形式を試すと、その店の設計思想が立体的に見えてきます。
そして豚が目当ての人は、ブタメンです。半分(小)200gが1,550円、少な目(中)300gが1,600円という価格で、厚い豚が増量されます。麺量を落として豚を増やす組み合わせは、食べ切れる範囲で満足度を最大化する現実的な選び方です。
まとめ:ラーメン富士丸 西早稲田店を最短で味わうために
ラーメン富士丸 西早稲田店は、ラーメン二郎の初代赤羽店が2001年に独立して生まれた富士丸という系統の一軒で、2023年2月にカウンター10席の店として開店しました。甘みの強いカエシ、乳化した豚骨スープ、自家製の平打ち縮れ麺、そしてくたくたに煮えたヤサイ。二郎系という括りの中でも、輪郭のはっきりした一杯です。
2026年8月には、コスト増を明示したうえで学割を750円へ値下げするという判断が公式Xで告知されました。麺量も400gまで選べるようになり、学生にとっては入口が大きく開いています。名物のブタカスアブラは別皿で出るため、前半は素のスープを味わい、中盤で落として味を変える——この一手を知っているだけで、同じ一杯の情報量が倍になります。
最初の一歩としておすすめしたいのは、並ぶ前にサイズを決めておくことです。半分(小)200gか、少な目(中)300gか。それだけ決めて列に加わり、券売機の前では手を止めない。あとはコールで「ちょいヤサイ、ちょいアブラ」と告げれば、富士丸の一杯はあなたの前に届きます。
※価格・メニュー・営業日は変更されることがあります。学割の適用条件を含め、来店前に各店の公式Xで最新の告知をご確認ください。

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