券売機の前で固まった経験はないでしょうか。「ミニ」と「小」が同じ値段で並んでいて、その横には「超特大」という不穏な四文字がある。店員さんは無表情で「ニンニク入れますか」と聞いてくる。二郎系の初見殺しは、味ではなく入口の設計にあります。
BUTAKIN(ブタキン)は、2024年5月に六本木でスタートし、2年ほどで北海道から九州まで店を広げた二郎系ラーメンのブランドです。結論から言えば、この店は「二郎系は怖い」という先入観をほどくために作られたような一杯を出します。キーワードは微乳化とほぐし豚。この2つを理解するだけで、注文の迷いはほぼ消えます。
この記事では、公式サイトのメニューと店舗情報、そして運営会社が出したプレスリリースを突き合わせながら、BUTAKINという店の設計思想を分解していきます。味の話だけでなく、麺量の選び方、コールの言い方、エリアで違う価格、そして各店の性格まで。読み終わるころには、初めての一杯でも自分の適量が言えるようになっているはずです。
・BUTAKINは2024年5月に六本木で始まり、北海道・関東・関西・九州へ広がった二郎系ブランド
・味の核は「乳化」ではなく微乳化のスープと、崩して盛るほぐし豚
・麺量はミニ125g・小250g・大375g・特大500gの4段階。ミニと小は同じ値段
・コールは「ニンニク・やさい・アブラ」の3語だけ覚えればいい
・同じメニューでも店舗によって値段が違うため、公式メニューでの確認が前提
BUTAKIN(ブタキン)とは何者か──2年で全国に広がった二郎系ブランドの正体

六本木の路地裏から始まった、2024年5月という起点
BUTAKINの1号店は六本木店。公式の店舗情報ページには「2024年5月OPEN!」と明記されています。二郎系というジャンルは、もともと学生街や工業地帯といった「腹を減らした人間が多い場所」で育ってきた文化です。そこへ、家賃相場の高い六本木で勝負を挑んだ。この選択自体が、BUTAKINというブランドの性格を言い当てています。
立地は日比谷線 六本木駅3番出口 徒歩10秒。駅を出た瞬間に店がある距離感です。カウンター14席という小さな箱で、深夜帯まで回し続ける。六本木という街には、深夜に働く人と、深夜に遊ぶ人が両方います。その両方を受け止められる業態として、二郎系は理にかなっていました。
誤解されやすいのですが、二郎系の店は「若い男性向けの大盛り屋」ではありません。麺量を選べる仕組みを持っている店では、麺125gという少量から始められます。BUTAKINが最初から4段階の麺量を用意したのは、六本木という多様な客層に対する回答だったと読めます。実際、公式メニューにはミニサイズが常設で並んでいます。
運営は株式会社RIC2──焼肉ブランドから来た異色の出自
BUTAKINを運営するのは株式会社RIC2という飲食企業です。公式の会社概要によれば設立は2021年6月、本社は東京都港区六本木。1号店が六本木だったのは、本社のお膝元だったという事情もありそうです。
興味深いのは、この会社の主軸がもともとラーメンではないという点です。しゃぶしゃぶ・すき焼き、焼肉といった肉業態を複数持つ会社が、二郎系に参入している。豚を1時間以上煮込んでチャーシューに仕立てる工程や、豚バラという部位の選択は、肉を扱い慣れた会社ならではの判断と見ることができます。
ラーメン専業の職人が一店ずつ暖簾分けで増やしていくのが従来の二郎系の広がり方でした。BUTAKINはそこに、企業として複数店舗を同時に立ち上げる手法を持ち込んでいます。プレスリリースを出し、公式サイトで全店のメニューを公開し、価格改定も文書で告知する。この「情報の開示のされ方」こそ、従来の二郎系との最大の違いかもしれません。
二郎系・インスパイア系という言葉の中での立ち位置
二郎系とは、ラーメン二郎に着想を得た太麺・厚切り豚・大量の野菜・ニンニクという構成のラーメン群を指す呼び方です。二郎の暖簾分け店ではない店は「インスパイア系」「G系」とも呼ばれます。BUTAKINは公式に「二郎系ラーメン専門店」と名乗っており、暖簾分けではなくインスパイアの側に立っています。
インスパイア系の面白さは、本家の制約から自由である点にあります。本家では動かせない要素——スープの乳化度合い、豚の部位、麺の厚み——を、各店が自分の解釈で組み替えられる。BUTAKINが選んだ組み替え方は後の章で詳しく見ますが、ひとことで言えば「重さを減らさずに、重たさだけを減らす」方向です。
よくある誤解として「インスパイア系は二郎の劣化版」という見方があります。しかし実際には、本家が長年かけて確立した完成形をなぞるのではなく、別の到達点を探す作業がインスパイア系です。BUTAKINの微乳化スープは、その探索の一例として理解すると腑に落ちます。
- 2021年6月:運営元の株式会社RIC2が設立される
- 2024年5月:1号店となる六本木店がオープン
- 2024年8月:御茶ノ水店がオープン(後に業態変更)
- 2024年10月15日:神戸元町店がオープン、関西へ進出
- 2024年10月27日:西中島南方店がオープン
- 2024年12月1日:札幌すすきの店がオープン、北海道へ
- 2025年3月25日:東梅田店がオープン、大阪3店舗目
- 2025年4月4日:博多住吉店がオープン、九州初上陸
- 2025年7月1日:新宿歌舞伎町店がオープン
出店スピードが物語る、この2年の意味
年表を眺めると、2024年10月から2025年7月までの9か月で6店舗が立ち上がっていることがわかります。関西3店、北海道1店、九州1店、東京1店という配分です。二郎系という濃いジャンルが、地方主要都市の中心部で成立すると判断された結果でしょう。
特筆すべきは、九州への出店です。博多といえば豚骨ラーメンの本場であり、細麺・替え玉文化の中心地。そこへ極太麺の二郎系を持ち込むのは、明らかに正面からの挑戦です。運営会社はプレスリリースの中で、この出店を「豚骨ラーメン激戦区の博多で挑む新たな挑戦」と表現しています。
一方で、増えた店がすべて残るわけではありません。御茶ノ水店のように業態を変えた例もあります。公式サイトの店舗情報とお知らせページは更新されているので、遠方から向かう場合は出発前に公式の店舗情報ページを開く習慣をつけておくと安全です。
味の設計図は「微乳化」にあった──スープ・麺・豚の三本柱
乳化から微乳化へ舵を切った理由
二郎系のスープを語るとき、避けて通れないのが乳化という言葉です。豚骨と背脂を強く炊き込み、脂と水分が混ざり合って白濁したスープを乳化系と呼びます。とろみが強く、麺に絡み、満足感は高い。ただし重い。食べ終わったあとの体感がずっしり残るのは、この乳化の強さに由来します。
BUTAKINは、この乳化を意図的に一段ゆるめました。運営会社が公式に出した資料では、従来の乳化系から微乳化へシフトしたと明言されています。脂の甘みは残しつつ、後半で口が飽きないラインを狙った設計です。同時に鶏モミジ(鶏の足)を導入し、自然なコラーゲンのとろみを足している点も公表されています。
豚骨だけでとろみを出そうとすれば、脂を増やすか炊く時間を延ばすしかありません。そこへ鶏由来のゼラチン質を足すと、脂の量を抑えたままスープに厚みが出ます。「濃厚さ」と「重さ」を切り離す技法で、近年のインスパイア系ではしばしば見られる手法です。BUTAKINはそれを、ブランドの中心思想として据えました。
「乳化」と「微乳化」は優劣ではなく設計思想の違いです。乳化を強めるほどスープは麺に絡みやすくなりますが、後半の飽きも早く来ます。微乳化はスープ単体で飲んだときの輪郭がはっきり残るため、卓上調味料や有料トッピングで味を動かしたときの変化が読み取りやすいという副次的な利点もあります。
「ワシワシ麺」という擬音が指しているもの
二郎系のレビューで頻出するワシワシという擬音は、噛み切るのに顎の力が要り、噛むほど小麦の風味が立ち上がってくる食感を指します。つるつる、しこしこ、といった一般的な麺の褒め言葉とは別の座標にある言葉です。
BUTAKINの麺は、公式の発表によれば厚みを増した「ワシワシ系」に刷新されており、力強い食感ともちもち感の両立が狙いとされています。新宿歌舞伎町店については、平打ちの太いストレート麺という報告もあります。平打ちは断面が平たいぶん、スープに触れる面積が広くなる形状です。
ここに微乳化スープを合わせる意味を考えてみると、設計の筋が通ります。とろみの強い乳化スープに極太麺を合わせると、麺の小麦感がスープに埋もれがちです。微乳化のスープであれば、麺の風味とスープの旨みが別々に立ち上がる。「麺を味わわせる」ための微乳化、という読み方ができます。
ウデ肉から豚バラへ──1時間以上煮込む「神豚」の思想
二郎系の豚は、ブロックのまま煮込んで厚く切り出すのが定石です。BUTAKINはここで部位そのものを見直しました。公式のプレスリリースによれば、従来のウデ肉から脂質に優れた豚バラ肉へ変更し、寸胴で1時間以上煮込んだチャーシューに仕上げています。二郎系の文脈では、この厚切り豚をしばしば「神豚」と呼びます。
ウデ肉は赤身が主体で肉々しい歯ごたえが持ち味、豚バラは脂と赤身が層になっていて、煮込むと脂がとろけて赤身がほぐれます。同じ「煮込んだ豚」でも、噛んだときの解け方がまるで違う。BUTAKINが豚バラを選んだのは、微乳化スープの軽さに対して、豚側で脂のコクを補う狙いがあったと考えると自然です。
豚の部位が味をどう変えるのかは、それ自体が深い話題です。チャーシューの部位ごとの性格については、こちらの記事で掘り下げています。

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ほぐし豚が麺に絡む、という提供スタイルの発明
BUTAKINを語るうえで外せないのがほぐし豚です。厚切りブロックをどんと乗せるのではなく、煮込んだ豚をほぐした状態で盛る。食べ手のレポートでは、およそ3切れ分の量がほぐされて乗るとされています。
この一手には実利があります。第一に、ほぐれた豚がスープを吸い、麺と一緒に持ち上がる。第二に、ブロック肉を噛みちぎる動作が不要になり、麺と豚を同時に口へ運べる。第三に、丼の中で豚が分散するため、最後の一口まで肉が残ります。二郎系にありがちな「途中で豚を食べ切ってしまい、後半が野菜と麺だけになる」問題への回答です。
ただし副作用もあります。ほぐし豚は単体で口に入れると、繊維がほどけているぶんパサつきを感じる場合がある。スープを吸わせてから食べるのが前提の設計です。もし最初のひと口で物足りなさを感じたら、スープの底に沈めてから引き上げてみてください。同じ豚とは思えない変化が起きます。
125gから500gまで──麺量の選び方でその日の満足度が決まる

「ミニ」と「小」が同じ値段という、最初の分かれ道
BUTAKINの公式メニューを見て多くの人が二度見するのが、ここです。ミニラーメンは麺125g、小ラーメンは麺250g。麺量は倍違うのに、価格は同一に設定されています。神戸元町店を例に取れば、ミニラーメン(麺125g)が1,100円、小ラーメン(麺250g)も1,100円です。
なぜ同額なのか。二郎系における「小」は、他店で言う並盛りに相当します。つまり「小」が基準サイズで、ミニはそこから麺だけを減らした減量オプションという位置づけです。スープ・豚・野菜という原価の大半を占める部分は共通なので、麺だけ減らしても価格は動かない、という理屈になります。
ここで起きがちな失敗があります。「安いほうを選ぼう」と考えて価格表を見比べ、同額だと気づかないままミニを選んでしまうケースです。二郎系に慣れている人が油断してミニを頼み、食べ終わって物足りなさが残る。金額で選ばず、麺量の数字で選ぶ。これがBUTAKINの券売機を攻略する第一原則です。
「ミニ=いちばん安いサイズ」だと思って選ぶのは誤りです。BUTAKINではミニラーメンと小ラーメンが同じ価格で並んでおり、違うのは麺量(125gと250g)だけ。小食の人が量を減らすためのオプションであって、節約のための選択肢ではありません。麺の数字を見てから食券のボタンを押してください。
「大」と「特大」の間に横たわる壁
大ラーメンは麺375g、特大ラーメンは麺500g。数字の上では125gの差ですが、体感の差はそれ以上です。二郎系の麺は加水率が低めで密度が高く、スープを吸って丼の中で膨らんでいきます。食べ始めの375gと、10分後の375gは別物になります。
価格も段差があります。神戸元町店の場合、大ラーメン(麺375g)が1,350円に対し、特大ラーメン(麺500g)は1,900円。麺が増えるだけでなく、量に見合った具材の増量が伴うためです。六本木店なら大ラーメン(麺375g)が1,400円、特大ラーメン(麺500g)が1,950円という設定になっています。
目安として、二郎系の経験が数回程度なら大までに留めるのが現実的です。特大に進むのは、大を完食して余裕が残ったと確認できてから。二郎系は「食べ切れなかった」経験が店にも自分にも後味を残すジャンルなので、一段ずつ上がっていくのが結局いちばん楽しめます。
「超特大」という頂と、それを頼む人たち
メニューの末尾に置かれているのが超特大です。神戸元町店・西中島南方店・上本町店・東梅田店・札幌すすきの店・博多住吉店では3,600円、六本木店では3,650円、新宿歌舞伎町店では3,700円という価格が公式メニューに掲載されています。
通常メニューの数倍という価格設定からわかるとおり、これは日常的に頼むためのサイズではありません。二郎系の文化には、限界に挑む楽しみ方と、それを見守る店内の空気があります。超特大はその文化を制度として残したメニューです。
注意しておきたいのは、こうした特大級を頼むときのマナーです。混雑時間帯に長時間席を占有すると、後ろに並ぶ人の時間を奪います。挑むなら、行列の切れた時間帯を選ぶ。これは二郎系全般に共通する、明文化されていない作法です。
麺量の目安は「普段のラーメン一杯=約150g前後」を基準に考えると判断しやすくなります。
・ミニ(麺125g):普段の一杯より軽め。小食の人・シメの一杯に
・小(麺250g):二郎系の基準サイズ。初めての一杯はここから
・大(麺375g):しっかり空腹の状態で。野菜の量も増える
・特大(麺500g):大を完食できた経験がある人向け
小食派・女性客にとっての現実的な選択
二郎系は「入りづらい」と言われがちなジャンルです。理由は量への不安と、コールという未知の作法にあります。BUTAKINが麺125gのミニを常設し、ニンニクを任意にしているのは、この2つの壁を同時に下げる設計です。
実際、公式の説明でもニンニクや油の量は好みで選べるとされ、翌日に予定がある人でも来店しやすいことが打ち出されています。ニンニクは「入れない」という選択が可能で、それを伝えるのに勇気は要りません。聞かれたら「そのままで」と答えるだけです。
麺の量そのものが女性にとって多すぎるのではないか、という論点は二郎系に限らずラーメン全般につきまといます。この話題は別記事で詳しく整理しました。

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「ニンニク入れますか」にどう答えるか──コールと注文の流れ
券売機とコールという、二段構えの注文システム
BUTAKINの注文は、まず券売機で食券を買うところから始まります。新宿歌舞伎町店のレポートでも、券売機で食券を購入する方式が報告されています。ここでラーメンのサイズ、汁なしにするかどうか、有料トッピングを決めます。
次に来るのがコールです。麺の茹で上がりが近づくと、店員さんが食券を確認しながら「ニンニク入れますか」と尋ねます。この瞬間に、無料で調整できる要素を口頭で伝える。券売機で決めるのが「何を食べるか」、コールで決めるのが「どう仕上げるか」という役割分担です。
二郎系が初見の人を緊張させるのは、この二段構えを知らずに券売機の前で全部決めようとしてしまうからです。券売機の段階では、ニンニクも野菜も脂も考えなくていい。サイズだけ決めればいい。そう理解しておくと、券売機の前で立ち止まる時間が一気に短くなります。
覚えるのは「ニンニク・やさい・アブラ」の3語だけ
BUTAKINで無料調整できるのは、公式の案内によればニンニク・やさい・アブラの3つです。本家二郎で使われる「カラメ」(味の濃さ)を含む4語構成ではなく、3語に絞られています。初めての人にとっては、覚える語数が少ないほど安心材料になります。
言い方は難しくありません。何も足さないなら「そのままで」。ニンニクだけ欲しいなら「ニンニクで」。野菜を増やしたいなら「やさい多めで」。増量を強調したいときに「マシ」「マシマシ」という言い方をしますが、これは義務ではなく、普通の日本語で伝えて構いません。
大切なのは、コールを求められた瞬間に答えられる状態を作っておくことです。麺は上がり続けており、店員さんは次の丼へ進みます。席についたら「今日はニンニクあり/なし、野菜は普通」と頭の中で1回リハーサルしておく。それだけで、コールは怖いものではなくなります。
「少なめ」と言って後悔する人が多い理由
コールでの典型的な失敗が、遠慮して「少なめ」と言ってしまうケースです。新宿歌舞伎町店を訪れた食べ手のレポートでは、ニンニクを少なめにすると量が控えめになり、普通以上で頼むほうが満足しやすいという指摘が出ています。
原因は基準のズレにあります。二郎系の「普通」は、一般的なラーメン店のニンニク量より多いと想像されがちですが、店ごとに基準は違います。自分の中の「多いはず」という予想で少なめを選ぶと、結果として何も足していないのと変わらない仕上がりになることがある。
対策はシンプルです。初回は「普通」で頼み、その店の基準を体感してから次回に調整する。少なめ・多めは2回目以降の微調整に使う言葉だと考えておくと、初回で外す確率が下がります。翌日に予定がある場合は、少なめではなく「なし」を選んだほうが判断としてはっきりします。
有料トッピングは店ごとに顔ぶれが違う
無料のコールとは別に、券売機で買う有料トッピングがあります。ここが店舗ごとに個性の出るところです。共通して並ぶのは生卵100円やライス150円、ミニネギチャ丼350円あたり。一方で、店によってしか置いていない品もあります。
たとえば西中島南方店・上本町店には辛味噌100円があり、六本木店と新宿歌舞伎町店には肉カス脂、新宿歌舞伎町店にはフライドオニオン100円やフライドガーリック100円が並びます。札幌すすきの店・西中島南方店・上本町店・博多住吉店では炙りチーズ100円が選べます。同じブランドでも、行く店によって遊べる幅が変わるということです。
味玉の値段も一律ではありません。六本木店・新宿歌舞伎町店・神戸元町店・西中島南方店・上本町店・東梅田店では味玉100円ですが、札幌すすきの店と博多住吉店では味玉150円という設定になっています。細かい違いですが、こうした差分を知っていると、旅先の店で「ここは違うのか」と気づけるようになります。
新宿歌舞伎町店には「マシマシ有料トッピング」150円という項目が用意されています。無料コールで増やせる範囲を超えて盛りたい人のための仕組みです。無料コールの「マシマシ」と、有料の「マシマシ」が別物として整理されている店は珍しく、二郎系の作法を店側が制度に翻訳した例と言えます。
同じ一杯なのに値段が違う──エリア別価格を読み解く

関東・関西・北海道・九州、4エリアの価格をそろえて眺める
BUTAKINの公式メニューはエリア別に分かれて掲載されています。同じ「小ラーメン」でも、店によって金額が異なる。これは値付けのミスではなく、家賃や人件費といった立地条件を反映した結果です。公式メニューの数字を並べてみます。
| 店舗 | 小ラーメン(麺250g) | 大ラーメン(麺375g) | 特大ラーメン(麺500g) |
|---|---|---|---|
| 新宿歌舞伎町店 | 1,200円 | 1,450円 | 2,000円 |
| 六本木店 | 1,150円 | 1,400円 | 1,950円 |
| 神戸元町店・東梅田店 | 1,100円 | 1,350円 | 1,900円 |
| 西中島南方店・上本町店 | 1,100円 | 1,350円 | 1,900円 |
| 札幌すすきの店・博多住吉店 | 1,100円 | 1,350円 | 1,900円 |

表を見ると、関東の2店が高く、それ以外は横並びという構造がはっきりします。新宿歌舞伎町店が最も高い設定で、六本木店がそれに続く。関西・北海道・九州の6店は同一価格帯にそろえられています。旅先で食べ比べるなら、この構造を頭に入れておくと納得感が違います。
2025年11月の価格改定が示していたこと
BUTAKINの公式サイトには、お知らせページに価格改定のお知らせが掲載されています。2025年11月18日付の告知では、同年11月20日から一部店舗で商品価格を改定すると案内されました。対象は東梅田店・神戸元町店・すすきの店の3店です。
告知文では、理由として原材料価格の高騰に加え、人件費・物流費・光熱費の上昇が挙げられ、企業努力だけでは吸収が難しい状況になったと説明されています。二郎系は豚と小麦という原材料を大量に使う業態であり、コスト変動の影響を受けやすいジャンルです。
この告知が興味深いのは、全店一律ではなく対象店を名指ししている点です。店舗ごとに損益を管理し、必要な店から改定する。チェーン展開しつつ店舗単位で値付けを動かすという運営方針が、この一枚の告知から読み取れます。最新の価格は公式メニューページで確認するのが確実です。
豚マシの値段が店で違う、という細部
もう一段細かく見ると、豚を増やすオプションの値付けにも差があります。神戸元町店・西中島南方店・上本町店・東梅田店・札幌すすきの店・博多住吉店では豚マシ500円。六本木店では豚マシ400円。新宿歌舞伎町店では豚マシ(100g)300円という表記です。
新宿歌舞伎町店だけがグラム数を明示しているのがポイントです。他店の豚マシが何グラムなのかは公式に示されていないため、単純比較はできません。それでも、量を数字で示すという姿勢は、後発店ほど情報を細かく出すようになっている流れを感じさせます。
豚を増やしたいなら、券売機で豚マシを買い足す方法のほかに、最初から豚マシラーメンを選ぶ手もあります。小豚マシラーメン(麺250g)は、神戸元町店などで1,600円、六本木店で1,650円、新宿歌舞伎町店で1,700円。肉を主役にしたいときは、こちらから入るほうが構成として自然です。
濃い一杯とどう付き合うか、という視点
二郎系は塩分も脂質も高いジャンルです。BUTAKINが微乳化に舵を切ったのは重さの調整であって、軽い食べ物になったわけではありません。スープを飲み干すかどうかは、その日の食べ方次第で選べばよい部分です。
実際、二郎系はラーメンの中でも塩分量が上位に来る系統として知られています。ラーメンの種類ごとの塩分の傾向については、別記事で数字を並べて比較しています。

「ラーメンって一杯でどれくらい塩分があるの?」──この疑問、ラーメン好きなら一度は頭をよぎったことがあるはずです。実は、ラーメン一杯に含まれる塩分量は平均6〜8…
頻度の考え方として現実的なのは、「二郎系を食べる日は、その一杯を主役にする」という組み立てです。前後の食事を軽くしておけば、罪悪感なく大ラーメンに向き合えます。ラーメンを我慢する話ではなく、楽しむための段取りの話です。
東京の2店は深夜が主戦場──関東エリアを歩く
六本木店:駅を出て10秒、朝まで灯りが消えない1号店
BUTAKINの原点である六本木店は、日比谷線 六本木駅3番出口から徒歩10秒という立地です。カウンター14席の小さな箱で、公式の営業時間は11:00-6:00(L.O.5:40)。昼の一杯にも、明け方の一杯にも対応する時間設計になっています。
メニュー面では、小ラーメン(麺250g)が1,150円。有料トッピングには粉チーズ150円、玉ねぎ100円、肉カス脂130円という他店ではあまり見ない顔ぶれが並びます。肉カス脂は、豚を煮込む過程で生まれる旨みの塊を足すトッピングで、微乳化スープに脂のコクを戻す方向の調整として機能します。
六本木という街の性格上、深夜帯の客層は幅広くなります。仕事終わりの人、遊び終わりの人、外国からの旅行者。1号店がこの立地だったことが、BUTAKINを「万人が入れる二郎系」へ寄せる圧力になったのではないか——メニュー構成を眺めていると、そんな読み方をしたくなります。
| 住所 | 〒106-0032 東京都港区六本木6-6-7 |
| 電話番号 | 03-6384-5202 |
| 営業時間 | 11:00-6:00(L.O.5:40) |
| アクセス | 日比谷線 六本木駅3番出口 徒歩10秒 |
| 駐車場 | なし(近隣にコインパーキングあり) |
| 公式サイト | 公式サイト |
新宿歌舞伎町店:ブランドで最も新しく、最も攻めた一杯
新宿歌舞伎町店は2025年7月1日にオープンした、ブランドで最も新しい店舗です。西武新宿駅 正面口から徒歩約4分。公式の営業時間は11:00~5:00で、眠らない街の時間帯に合わせた設定になっています。
価格はブランド内で最も高く、小ラーメン(麺250g)が1,200円、特大ラーメン(麺500g)が2,000円。その代わり、有料トッピングの選択肢は最も豊富です。フライドオニオン100円、フライドガーリック100円、海苔100円、ガリマヨ100円、辛揚げ玉100円が並び、さらにランチ限定でトッピングセット150円とドリンクセット150円が用意されています。
麺については、平打ちの太いストレート麺という報告があり、小麦の風味が立つ食感が伝えられています。スープは豚骨の旨みと脂の甘みを微乳化でまとめた構成。歌舞伎町という土地で深夜まで営業する店として、味の輪郭をはっきりさせる方向にチューニングされている印象です。
| 住所 | 〒160-0021 東京都新宿区歌舞伎町1-11-8 TC第7歌舞伎町ビル1F |
| 営業時間 | 11:00~5:00 |
| アクセス | 西武新宿駅 正面口から徒歩約4分 |
| 公式サイト | 公式サイト |
御茶ノ水店はどこへ行ったのか──ブランドが動いた痕跡
BUTAKINを検索すると、いまも御茶ノ水店の食レポが多数出てきます。2024年8月にオープンした2号店で、太い麺と汁なしメニューがよく語られていた店です。ところが2025年、公式のX(旧Twitter)アカウントで、御茶ノ水店は業態を油そば専門店へ変更することになり、それまでの間は一時閉店するという告知が出されました。
ブランドの拡大期には、こうした業態転換が起こります。同じ会社が油そばのブランドも手掛けている以上、その立地に最適な看板へ掛け替えるという判断は経営的には自然です。一方で、検索結果には過去の記事が残り続けるため、読者が古い情報にたどり着いてしまう構造も生まれます。
ここから引き出せる教訓は明確です。BUTAKINの各店に向かう前は、必ず公式の店舗情報とお知らせページを確認する。個人ブログやまとめ記事の情報は、更新が止まっている可能性を前提に読む。急成長中のブランドを追いかけるときの、基本的な作法だと言えます。
関西・北海道・九州でBUTAKIN(ブタキン)が見せる別の顔
大阪の2店:西中島南方と上本町、性格の違う兄弟店
西中島南方店は2024年10月27日オープン。大阪メトロ御堂筋線 西中島南方駅から徒歩約1分という好立地で、カウンター12席。公式の営業時間は11:00~23:00です。周辺はオフィスと飲食店が密集するエリアで、昼はランチ需要、夜は飲み帰り需要という二毛作が成立します。
一方の上本町店は、最寄りが大阪メトロ谷町九丁目駅。公式の営業時間は11:00~22:00で、カウンター席とテーブル席の両方があります。深夜営業をしない代わりに、テーブル席で複数人でも入りやすい構成です。二郎系はカウンターのみの店が多いため、テーブル席があること自体がひとつの個性になります。
この2店には、辛味噌100円というトッピングが共通で置かれています。炙りチーズ100円、スライスチーズ100円もそろっており、味変の選択肢は関西エリアの中でも広め。辛味噌を溶かして後半の味を切り替えるという食べ方は、微乳化スープだからこそ変化が読み取りやすい部分です。
| 住所 | 〒532-0011 大阪府大阪市淀川区西中島3-20-2 清酒ビル1F |
| 電話番号 | 06-6732-9144 |
| 営業時間 | 11:00~23:00 |
| アクセス | 大阪メトロ御堂筋線 西中島南方駅から徒歩約1分 |
| 公式サイト | 公式サイト |
| 住所 | 〒542-0063 大阪府大阪市中央区東平2-5-5 盛川ビル1F |
| 電話番号 | 06-6105-2455 |
| 営業時間 | 11:00~22:00 |
| アクセス | 最寄りは大阪メトロ谷町九丁目駅 |
| 公式サイト | 公式サイト |
東梅田店:大阪3店舗目、翌朝まで開いている梅田の駆け込み寺
東梅田店は2025年3月25日にオープンした大阪3店舗目です。東梅田駅から徒歩約7分。カウンター9席と4人掛けテーブル3卓で計16席という構成で、公式の営業時間は11:00~5:00。梅田という繁華街で朝方まで開けている二郎系という位置づけになります。
プレスリリースでは、この店を微乳化スープへのリニューアルを反映した店舗として紹介しています。鶏モミジ由来のコラーゲンで旨みに厚みを出し、麺は厚みを増したワシワシ麺、豚は1時間以上煮込んだ豚バラ。ブランドが到達した現行仕様を、そのまま体験できる店と言えます。
価格は小ラーメン(麺250g)が1,100円と、関西の標準ライン。ただし2025年11月20日からの価格改定の対象店に含まれていたため、来店前には最新のメニューを確認しておくと確実です。トッピングは粉チーズ100円、ガリマヨ100円、スライスチーズ100円などが並びます。
| 住所 | 〒530-0027 大阪府大阪市北区堂山町1-5 三共梅田ビル1F |
| 電話番号 | 06-6809-3238 |
| 営業時間 | 11:00~5:00 |
| アクセス | 東梅田駅から徒歩約7分 |
| 公式サイト | 公式サイト |
神戸元町店:駅から徒歩約1分、13席の密度
神戸元町店は2024年10月15日にオープンした関西1号店です。JR元町駅から徒歩約1分という、旅行者にも見つけやすい立地。店内はカウンター13席で、公式の営業時間は11:00~23:00と長めに取られています。
神戸は洋食とパンの街として語られることが多い一方、駅前の狭い区画に個性的なラーメン店が並ぶ土地でもあります。そこへ極太麺の二郎系が入るというのは、街の食のバランスから見ると挑戦的な選択です。それでも成立しているのは、元町という商業地の人通りと、23:00までという営業時間の設計が噛み合っているからでしょう。
メニューは小ラーメン(麺250g)1,100円を基準に、味玉100円、粉チーズ100円、ガリマヨ100円、辛揚げ玉100円、スライスチーズ100円という構成。東梅田店と同じ顔ぶれで、両店は公式メニューでも同一グループとして掲載されています。こちらも価格改定の対象店に含まれていました。
| 住所 | 〒650-0022 兵庫県神戸市中央区元町通1-14-13 セントラルシティ元町駅前ビル1F |
| 営業時間 | 11:00~23:00 |
| アクセス | JR元町駅から徒歩約1分 |
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札幌すすきの店と博多住吉店:営業時間が正反対の2店
札幌すすきの店は2024年12月1日オープンの北海道初出店。すすきの駅から徒歩約2分です。ここで注意したいのが営業時間で、公式には17:00-5:00。昼に行っても開いていません。すすきのという歓楽街に合わせ、夜から明け方に振り切った設計です。札幌観光の昼にBUTAKINを組み込もうとして扉が閉まっていた、という失敗は避けたいところです。
対照的に博多住吉店は、公式の営業時間が11:00〜22:30(L.O.22:00)。博多駅から徒歩約10分で、カウンター5席と4人掛けテーブル4卓の計21席。2025年4月4日にオープンした九州初上陸店で、豚骨ラーメンの本場に極太麺で挑む構図になっています。
両店とも小ラーメン(麺250g)は1,100円ですが、味玉が150円という点で関東・関西の多くの店と異なります。細部の違いを見つけながら食べ歩くのは、チェーン展開するブランドならではの楽しみ方です。旅程を組むときは、すすきのは夜、博多は昼と覚えておくと動きやすくなります。
| 住所 | 〒064-0806 北海道札幌市中央区南6条西4丁目5 G4ビル1F |
| 電話番号 | 011-600-1973 |
| 営業時間 | 17:00-5:00 |
| アクセス | すすきの駅から徒歩約2分 |
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| 住所 | 〒812-0018 福岡県福岡市博多区住吉2-4-7 レジデンス博多1F |
| 電話番号 | 092-402-5551 |
| 営業時間 | 11:00〜22:30(L.O.22:00) |
| アクセス | 博多駅から徒歩約10分 |
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まとめ
BUTAKIN(ブタキン)という店を一文で言い表すなら、「二郎系の入口を広げにきたブランド」です。乳化を微乳化へ緩め、ブロック肉をほぐし、麺量を4段階に分け、コールを3語に絞る。どれも単独では小さな判断ですが、束ねると「初めての人が最後まで食べ切れる二郎系」という一貫した設計思想が浮かび上がります。
同時に、二郎系としての強度は落ちていません。麺500gの特大も、超特大も、豚マシラーメンも用意されている。軽くしたのではなく、重さの出し方を組み替えたと表現するのが正確です。だからこそ、常連は常連の楽しみ方ができ、初見の人は初見なりの一杯にたどり着けます。
最初の一歩として提案したいのは、近い店の小ラーメンを、ニンニク普通で頼んでみることです。ここが全ての基準点になります。その一杯で麺の量が足りなければ次は大へ、多すぎればミニへ。ニンニクが強すぎればなしへ、物足りなければ多めへ。基準を一度作ってしまえば、あとはどの店へ行っても自分の適量を口に出せます。
そして食べ歩くなら、店ごとの差分を探すのが面白い。辛味噌がある店、フライドガーリックがある店、味玉の値段が違う店、テーブル席がある店。同じ看板の下で、これだけ表情が変わるブランドはそう多くありません。旅先で見かけたら、地元の店との違いを1つ見つけてみてください。
なお、価格・営業時間・店舗の状況は変わります。本記事の内容は公式サイトおよび運営会社の公表資料に基づいていますが、来店前にはBUTAKIN公式サイトの店舗情報とお知らせページで最新の情報をご確認ください。

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