「亀有に、わざわざ電車を乗り継いでまで並ぶつけ麺屋がある」――ラーメン好きの集まりでそんな話が出たら、まず名前が挙がるのがつけ麺 道です。こち亀の街として知られる下町・亀有で、開店前から人が列をなす光景は、もはや街の風物詩といってもいいでしょう。ただ、いざ行こうと調べると「何がそんなに違うのか」「どれを頼めばいいのか」「いつ行けば入れるのか」と、疑問が次々に湧いてくるはずです。
先に結論を言ってしまうと、道の一杯を特別なものにしているのは、鶏・豚・3種類の魚介を3日間かけて仕上げるつけ汁と、それを真正面から受け止めるモチモチの超極太麺、そして50種類以上から日替わりで登場する薬味という三つの柱です。東池袋大勝軒の創業者・山岸一雄さんも絶賛したと紹介されてきた店であり、つけ麺という料理の「本流」と「進化形」の両方を一杯で味わえる場所でもあります。
この記事では、スープと麺の設計思想からメニューと価格の選び方、行列店ならではの失敗しない訪問術、さらに通が実践する食べ方の流儀まで、カウンターの隣に座った常連が耳打ちするような温度感で掘り下げていきます。
・つけ麺 道(亀有)のスープと超極太麺が「別格」と言われる理由
・素つけ麺・つけ麺・特製つけ麺の価格差と、目的別の選び方
・行列店で失敗しないための訪問のコツと、営業情報の確かめ方
・薬味・味変・スープ割りまで含めた「道」流の楽しみ方
つけ麺 道(亀有)とはどんな店?山岸一雄も認めた一杯の正体

亀有駅北口から徒歩3分、下町に行列をつくる専門店
つけ麺 道は、JR常磐線亀有駅(北口)徒歩3分という駅近の立地にある、つけ麺に特化した専門店です。亀有といえば、漫画『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の両さん像が駅前のあちこちに立つ、昔ながらの商店街が残る街。そんな人情味ある下町の路地に、休日ともなると遠方からのファンが列をつくります。
この店が「行列のできるつけ麺屋」として語られるようになった背景には、つけ麺という料理の文脈があります。つけ麺はもともと東京の大勝軒で生まれた料理で、都内には系譜を受け継ぐ店や、そこから独自に進化した店が数多くあります。その中で道は、濃厚魚介豚骨というスタイルを軸に、極太麺と日替わり薬味という独自性で存在感を放ってきました。
たとえば、同じ東京のつけ麺でも、昆布水に麺を浸して出す淡麗系、魚粉を山のように盛る豚骨魚介系、酸味と甘みを効かせた大勝軒系と、方向性はさまざまです。道はそのどれにも単純には当てはまらず、濃厚なのにマイルドという一見矛盾した評価を受けているのが面白いところ。よく「亀有のつけ麺はガツンと重い」と思われがちですが、実際の口コミではむしろ「雑味がない」「クリーミー」という言葉が目立ちます。
「大勝軒の創業者も絶賛」という評判の重み
道を語るうえで外せないのが、テレビ東京の『出没!アド街ック天国』などでも紹介された「東池袋大勝軒の創業者・山岸一雄さんも絶賛したつけ麺の人気店」という評判です。Time Outの店舗紹介でも「大勝軒創始者・山岸一雄が認めた店」と書かれています。
この一言がなぜ重いのか。山岸一雄さんは、1955年に中野の大勝軒で「つけ麺」の原型となるメニューを開発・商品化したとされる人物で、ラーメン業界では「つけ麺の父」と呼ばれる存在です。いわば料理そのものの生みの親から評価を受けたわけで、つけ麺屋にとってこれ以上の勲章はなかなかありません。
大勝軒系の店では、師匠から暖簾を受け継いだ弟子が「お茶の水、大勝軒」のように系譜を名乗ることが多いのですが、道は大勝軒の看板を掲げているわけではありません。にもかかわらず創始者が認めた、という点に、この店の味が系譜とは別の軸で完成度を高めてきたことが表れています。よくある誤解として「道は大勝軒の支店」と思われることがありますが、少なくとも公開されている店舗情報からは、そうした関係は確認できません。
カウンターだけの小さな店が放つ熱気
店内はカウンター席のみの小ぢんまりとした造り。口コミでは8席ほどと紹介されており、厨房の動きが目の前で見えます。湯気の立つ寸胴、極太麺を冷水で締める音、器にスープを注ぐ手さばき――つけ麺ができあがるまでの数分間は、それ自体がちょっとしたライブのようです。
小規模店の行列がなかなか解消されないのは、単純に席数が少ないからだけではありません。道のように極太麺を使う店は、麺の茹で時間が長く、一度に提供できる杯数に物理的な上限があります。そのため、お客さんを数名単位でまとめて入れ替える方式が採られることが多く、道でも「完全4名入れ替え制」と口コミで語られています。
この方式には、提供タイミングを揃えて麺の茹で加減を最良の状態に保つという、作り手側の理由があります。並ぶ側からすると待ち時間が長く感じられますが、「一番いい状態で食べてほしい」という職人の意思表示だと考えると、列の見え方も少し変わってくるのではないでしょうか。
| 住所 | 東京都葛飾区亀有5-28-17 |
| 電話番号 | 03-3605-8578 |
| アクセス | JR常磐線亀有駅(北口)徒歩3分 |
・立地はJR常磐線亀有駅(北口)徒歩3分。下町の商店街エリアにある
・「東池袋大勝軒の創業者・山岸一雄さんも絶賛」と紹介されてきた店
・カウンターのみの小規模店で、混雑時は4名単位の入れ替え制と口コミで語られている
スープは何がすごい?3日間かける魚介豚骨の設計図
鶏・豚・3種類の魚介を「3日間」で仕上げる
道のつけ汁は、テレビ東京『アド街ック天国』の紹介によると、鶏、豚、3種類の魚介を使用し、3日間かけて作るもの。この「3日間」という数字に、道のスープの本質が詰まっています。
そもそも魚介豚骨スープは、動物系の白湯(パイタン)と魚介系の出汁を合わせる「ダブルスープ」の発想から生まれたものです。動物系は長時間炊いてコラーゲンや脂を乳化させ、魚介系は香りが飛ばないよう短時間で引くのが一般的なセオリー。つまり、性格の違う二つを同じ鍋で煮れば済むわけではなく、別々に仕上げてから合わせる工程が必要になります。
3日かけるということは、仕込み・炊き出し・寝かせの工程を日をまたいで回しているということ。他の濃厚系の店でも二日がかりの仕込みは珍しくありませんが、3日というサイクルを公言している店は多くありません。スープを日々「継ぎ足し」で回すのではなく、仕込みの日程から逆算して一杯を作る――この計画性こそが、ブレの少ない味の土台になっていると考えられます。
濃厚なのにクリーミー、雑味がない理由
Time Outはつけ汁を「濃厚な魚介豚骨」と表現しつつ、「ほんのりとした甘みも残っており、雑味がないマイルドな味わい」と書いています。Rettyの口コミでも「クリーミー」という言葉が繰り返し出てきます。
濃厚なスープにありがちなのが、骨の臭みや魚粉のざらつき、えぐみが舌に残るパターンです。とくに魚介豚骨は、煮干しや節類を強く効かせるほど苦味や酸味が出やすく、豚骨を強く炊くほど獣臭が立ちやすい。濃度と雑味は、ふつうはトレードオフの関係にあります。
道が「濃いのにまろやか」と評される理由として、口コミで語られるのが出汁を二度ごしするという手間です。一度目で骨や魚介の大きなガラを取り除き、二度目で細かな粒子まで漉す。この工程によって舌ざわりがなめらかになり、乳化した脂の甘みだけがすっと残ります。スープの色は、黄土色がかったクリーム色。レンゲですくうと、とろりとした粘度が感じられるはずです。
極太麺とスープの「濃度バランス」
つけ汁の濃さは、麺の太さと切っても切れない関係にあります。細麺に濃厚スープを合わせると、麺がスープを吸い上げすぎて塩辛く感じる一方、極太麺はスープを表面にまとわせるだけなので、つけ汁はある程度濃くないと味がぼやけてしまうのです。
道のスープが濃厚に仕立てられているのは、この極太麺に負けないため。たとえば、同じ東京でも細めの麺を使う淡麗系つけ麺では、昆布水や醤油ダレの香りで勝負する設計になっています。逆に濃厚魚介豚骨の名店では、麺もそれに合わせて太く、加水率の高いモチモチ系が選ばれる傾向があります。
道の場合、スープの濃度と麺の太さがセットで設計されているからこそ、「濃いのに飲み疲れない」「最後まで麺が負けない」という評価につながっているわけです。つけ麺を味わうときは、スープ単体ではなく「麺をくぐらせたときのバランス」で判断するのが、通の見方といえるでしょう。

※ご注意:本記事で紹介する「日の出らーめん 錦糸町本店」の最新の営業状況は、訪問前に必ずご自身でお確かめください。店舗の移転・休業・閉店の可能性があります。 「…
魚介豚骨の「ダブルスープ」は、動物系と魚介系を別々の鍋で炊いてから合わせるのが基本です。魚介は長く煮ると香りが飛び、えぐみが出やすいため。道が「3日間」という長い工程を組んでいるのも、性格の違う素材をそれぞれの最適なタイミングで仕上げるためと考えると納得がいきます。
極太麺はなぜあれほど主張するのか

モチモチの超極太麺を冷水で締める意味
道の麺は、口コミで「モチモチとした歯応えの超極太麺」と表現されます。Time Outでも「冷水で締めた」モチモチの太麺と紹介されています。器に盛られた麺は、表面がつややかに光り、一本一本がしっかりと角を立てているのが印象的です。
つけ麺の麺を冷水で締めるのは、単に冷やすためではありません。茹でた直後の麺は表面のでんぷんが緩んでぬめりを帯びていますが、冷水にさらすことでそのぬめりが洗い流され、表面がキュッと引き締まります。中心部はモチモチのまま、表面にはコシと弾力が生まれる――この二層構造が、つけ麺特有の食感をつくり出しているのです。
大勝軒が生んだ「もりそば」も、もとはまかないの麺を冷水で締めてスープにつけて食べたのが原点とされています。冷たい麺と熱いつけ汁の温度差を楽しむという発想は、つけ麺という料理の根幹そのもの。道の極太麺は、その原点をもっとも力強いかたちで体現しているといえます。
まず「麦の香り」を確かめる最初の一口
Rettyの口コミでは、道の麺について「麦の香り濃厚」という表現が見られます。極太麺は表面積に対して中身の比率が大きいため、噛んだときに小麦そのものの風味がダイレクトに鼻へ抜けやすいのが特徴です。
だからこそ、通のあいだでは「最初の一口は何もつけずに麺だけで」という食べ方が推奨されます。そば屋で最初にそばだけを手繰るのと同じ発想で、麺そのものの甘み、香り、噛んだときの反発を確かめてから、つけ汁にくぐらせる。こうすると、つけ汁をまとった二口目の旨さが一段とくっきり感じられます。
都内のつけ麺の名店では、麺に昆布水をかけて提供したり、塩をひとつまみ添えたりして「麺だけで味わう」ことを前提にした店も増えています。道は特別な演出こそしませんが、それだけ麺そのものの完成度に自信があるとも受け取れます。
太麺は「つけ汁をまとう」設計になっている
ラーメンとつけ麺の違いを一言でいうなら、麺がスープの中にいるか、スープを麺が迎えに行くかです。ラーメンは麺がスープに浸かったまま時間が経つので、麺はスープを吸って柔らかくなっていきます。一方つけ麺は、食べる直前に麺をつけ汁にくぐらせるため、最後のひと口まで麺のコシが保たれます。
極太麺の場合、この違いがさらに際立ちます。太い麺は表面にスープを薄くまとうだけで、内部まではほとんど染み込みません。そのため、つけ汁の濃い味と、麺の内側の淡い甘みが口の中で混ざり合い、噛むたびに味が変化していきます。
この感覚を最大限楽しむには、麺を一度に大量につけないことがポイント。数本ずつ持ち上げて、半分から3分の2ほどをつけ汁にくぐらせると、麺の味とスープの味がちょうどよく混ざります。よくある誤解として「つけ麺は麺を全部スープに沈めるもの」と思われがちですが、これについては次の誤解枠で詳しく触れます。
「極太麺は茹で時間が長いから、柔らかめが正解」と思われがちですが、つけ麺の極太麺は冷水で締めてコシを出すのが前提です。表面のハリと中心のモチモチ感の対比こそが持ち味なので、麺は伸びる前に、テンポよく食べ進めるのがおすすめです。
つけ麺 道のメニューと価格|素・並・特製、どれを選ぶ?
3段階の価格を比べてみる
道の主力は、トッピングの量で段階が分かれたつけ麺です。Time Outの店舗紹介では、メニューとして素つけ麺、特製つけ麺、デザートの自家製ブリュレが挙げられ、土産販売もあると紹介されています。価格はRettyに掲載されている情報をもとに、ラーメンもぎで整理しました。
特製つけ麺の2,000円は複数の媒体で確認できた価格ですが、それ以外は1つの媒体でしか確認できなかった参考値です。原材料費の高騰で価格改定が続く業界なので、訪問前には店頭や公式SNSでの最新告知をご確認ください。具材としては、Time Outに薬味ネギ、チャーシュー、味玉、つくね、そして日替わりの「本日の薬味」が挙げられています。
| メニュー | 価格 | 確認状況 |
|---|---|---|
| 素つけ麺 | 1,300円(参考値) | Rettyのみ・変動の可能性あり |
| つけ麺 | 1,600円(参考値) | Rettyのみ・変動の可能性あり |
| 特製つけ麺 | 2,000円 | 複数媒体で確認 |
| 大盛り(追加) | 400円(参考値) | Rettyのみ・変動の可能性あり |
こうして並べると、素つけ麺から特製つけ麺までの幅が大きいことがわかります。つけ麺としては高めの価格帯ですが、3日がかりのスープと具材の量を考えれば、「一杯のごちそう」として納得するファンが多いのも頷けます。
日替わり「本日の薬味」は50種類以上
道を語るときに、常連が必ず話題にするのが日替わりの薬味です。アド街の紹介によると、薬味は桜えびやピリ辛トマトなど50種類以上の中からランダムに登場するとのこと。つまり、同じつけ麺を頼んでも、訪れる日によって最後の味の着地点が変わるわけです。
一般的なつけ麺店の卓上調味料といえば、酢、一味、胡椒、魚粉あたりが定番です。これらは「どの日に行っても同じ味変ができる」安心感がある反面、驚きはありません。道の薬味は、その日にしか出会えない組み合わせを用意することで、リピーターに「今日は何が出るか」という楽しみを与えています。
桜えびなら甲殻類の香ばしさが魚介スープの厚みを増し、ピリ辛トマトなら酸味と辛味で濃厚さを一気に軽くする。薬味ひとつでスープの表情が変わるのは、土台のスープがしっかりしているからこそです。ラーメンの具材や薬味の役割については、別の記事でも詳しく解説しています。

「ラーメンにトッピングを追加しますか?」──カウンターで聞かれるたび、なんとなく味玉を頼んでいませんか。実は、ラーメンのトッピングには**1910年代の「支那そ…
自家製ブリュレと土産という「その先」
つけ麺屋のメニューにデザートがあるのは珍しいことですが、道には自家製ブリュレがあります。Rettyでは、店主の長濱氏がもともとパティシエを志していた経歴を持つと紹介されています。つけ麺の後に、表面をパリッと焦がしたカラメルを割って、なめらかなカスタードをすくう――濃厚な魚介豚骨の余韻を、甘い一品で締めくくる体験は、ほかのつけ麺屋ではなかなか味わえません。
パティシエの世界と麺の世界は、一見すると遠いようでいて、実は共通点があります。温度管理、素材の配合、工程の正確さ。どちらも「数字と手間」で味が決まる世界です。スープを3日間かけて仕上げる計画性も、お菓子づくりの発想に通じるものがあるのかもしれません。
また、Time Outでは土産販売があることも紹介されています。店で食べた余韻を自宅でも、という人は、訪問時に店頭で取り扱いを確認してみるとよいでしょう。
実は「素つけ麺」こそ通の選択かもしれない
行列に並んだからには特製を、と考えるのが人情です。しかし、意外と知られていないけれど、初めての一杯こそ素つけ麺という選び方には十分な理屈があります。
理由は単純で、トッピングが少ないほど、麺とつけ汁の素の実力がはっきりわかるからです。チャーシューや味玉、つくねは確かに満足度を上げてくれますが、具材の脂や味付けがつけ汁に溶け出し、スープ本来の輪郭が少しずつ変わっていきます。3日かけたスープと超極太麺の真価を確かめたいなら、余計なものを足さないのがいちばんの近道です。
そば好きが「最初はもり」と言うように、つけ麺好きのあいだでも「その店の実力は素で見る」という考え方は根強くあります。まず素つけ麺で道の芯を知り、二度目以降に特製で具材の豪華さを楽しむ――そんな段階を踏むと、一杯ごとの発見が増えて、通う楽しみも深まります。
「特製」はお店ごとに中身が違う言葉です。道の場合、具材として薬味ネギ・チャーシュー・味玉・つくね・本日の薬味が紹介されています。どの具材がどのメニューに付くかは変わることがあるので、券売機や店頭のメニュー表で確認してから選ぶのが確実です。
行列店で失敗しないために知っておきたい訪問のコツ

「4名入れ替え制」というリズムを知っておく
先ほど触れたとおり、道では混雑時に完全4名入れ替え制が採られていると口コミで語られています。つまり、前のグループ全員が食べ終わってから、次の4名がまとめて入店するという流れです。
この方式の店では、列が「1人ずつ進む」のではなく「4人ずつ一気に進む」ため、待ち時間の感覚がふつうの店と違います。しばらく列が動かないと不安になりますが、それは故障ではなく、そういうリズムなのです。家系ラーメンの人気店や、二郎系の一部店舗でも、同じようにロット単位で麺を茹でて提供する方式が見られます。
この方式で気をつけたいのが、同じロットのお客さんとペースを合わせること。もちろん急かされるわけではありませんが、自分だけが長く居座ると次のグループの入店が遅れます。スマホで写真を撮るのはサッと済ませ、食べ終わったら余韻は店の外で楽しむ。行列店で長く愛される常連の多くは、こうした「列への気配り」を自然に身につけています。
失敗パターン1:遅い時間に行ったらスープ切れで食べられない
道の訪問でよく聞く残念な話が、「仕事帰りの遅めの時間に行ったら、すでに閉店していた」というパターンです。Rettyの店舗情報には「スープがなくなり次第終了」と明記されています。
原因は、3日がかりで仕込むスープの量に限りがあること。人気店は、表示上の営業時間より前にスープが尽きて閉店することが珍しくありません。とくに休日は行列が長く、昼過ぎには受付を締め切ることもあり得ます。
対策はシンプルで、「営業終了時間に間に合えば入れる」と考えないこと。初訪問なら開店前後の早い時間帯を狙い、さらに出発前に店の公式SNSなどで当日の営業状況をチェックしておくのが安全です。遠方から電車で向かう場合は、とくにこの確認を怠らないようにしましょう。「わざわざ亀有まで行ったのに」というがっかりを避けられるのは、出発前の数分の確認だけです。
営業時間・定休日の情報は媒体によって割れている
道の営業情報を調べると、媒体によって内容が食い違っていることに気づくはずです。Rettyでは定休日を「毎週月曜日 毎週火曜日」としている一方、Time Outでは「月・火曜は15時まで」と書かれ、さらに「定休日の火曜は『道の塩』として開店。不定期で水〜日に営業することもある」とも紹介されています。
こうした食い違いが起こるのは、道が曜日によって営業形態を変えたり、限定営業を行ったりしてきたためと考えられます。過去にはアド街の紹介ページにも「つけ麺は販売停止。塩らーめんのみ提供中」と一時的な告知が載っていたことがあり、提供内容が期間によって変わる店であることがうかがえます。
そのため、この記事では営業時間と定休日の断定を避けています。訪問前には、店頭の告知や公式SNSで最新の情報を確認するのが確実です。口コミサイトの情報は便利ですが、掲載時点から変わっている可能性を常に念頭に置いておきましょう。
「グルメサイトに書いてある営業時間なら確実」と思われがちですが、道のように曜日ごとに営業形態が変わる店では、媒体ごとに情報が食い違うことがあります。Time Outの店舗紹介なども参考にしつつ、最終的には店頭・公式SNSの最新告知で確かめましょう。
道の一杯をとことん楽しむ食べ方の流儀
最初は麺だけ、次につけ汁を半分くぐらせる
つけ麺の食べ方に正解はありませんが、道のように麺とスープの両方に力を入れている店では、順番を意識するだけで満足度が大きく変わります。
まずは前述のとおり、麺だけを2〜3本すすって麦の香りを確かめます。次に、麺の半分ほどをつけ汁にくぐらせて、スープとの相性を味わう。慣れてきたら、具材のチャーシューやつくねを麺と一緒に口に運び、スープの中で温まった脂の甘みを楽しむ――という流れです。
この「段階的な食べ方」は、つけ麺の発祥である大勝軒系の店でも、淡麗系の昆布水つけ麺でも共通して勧められる基本の作法です。とくに道の超極太麺は一本一本の存在感が大きいので、急いで流し込むよりも、噛みしめるたびに変わる味を楽しむほうが、この店らしさを堪能できます。
味変はレモン・フルーツ酢・本日の薬味で
Rettyの口コミでは、レモンやフルーツ酢での「味変」が道の楽しみ方として紹介されています。濃厚なつけ汁に柑橘や果実酢の酸味を加えると、脂のコクがすっと切れて、後半でも重さを感じずに食べ進められます。
酸味によるリセットは、大勝軒のつけ麺がもともと甘酸っぱいつけ汁で人気を得たことを思い出させます。酢を加えて味を引き締めるという発想は、つけ麺のDNAに刻まれたものといってもいいでしょう。そこに日替わりの薬味が加わることで、道ならではの「その日だけの味変」が完成します。
おすすめの順番は、まず何も足さずに半分ほど食べ、その後に本日の薬味、最後にレモンやフルーツ酢という流れ。いきなり全部入れてしまうと、どの要素がどう効いているのかがわからなくなります。一つずつ足して変化を楽しむのが、味変の醍醐味です。
失敗パターン2:麺をどっさり浸してつけ汁がぬるくなる
つけ麺でありがちな失敗が、後半になるとつけ汁がぬるくなり、スープの香りも脂のまろやかさも感じにくくなってしまうパターンです。
原因は、冷水で締めた麺を一度に大量につけ汁に浸すこと。冷たい麺がスープの熱を奪い、とくに極太麺は一本あたりの体積が大きいぶん、温度が下がるスピードも速くなります。さらに、麺についた水分でスープが薄まり、味がぼやけてしまうこともあります。
対策は、麺を少量ずつ、半分ほどだけつけ汁にくぐらせること。そして、もしスープが冷めてしまったら、口コミで語られているスープの再加熱に対応してもらえるかを店員さんに確認してみましょう。道では「スープ割りでのスープ再加熱」に対応しているという声があり、温かい状態で最後まで楽しむ工夫ができます。
シメのスープ割りで魚介の余韻を味わう
つけ麺の楽しみは、麺を食べ終わったあとにもあります。残ったつけ汁を出汁で割って飲むスープ割りは、つけ麺ならではの締めくくり。濃厚だったつけ汁がやわらかくのばされ、魚介の香りがふわりと立ち上がります。
スープ割りの文化は、そば屋の「そば湯」から来ているともいわれます。もりそばを食べ終えたあとに、そば湯でつゆを割って飲む――この習慣が、つけ麺にも受け継がれたわけです。店によっては和風出汁、鶏白湯、柚子を浮かべた割りスープなど、個性的な割り方を用意しているところもあります。
道のスープ割りでは、3日間かけたつけ汁の奥にある魚介と動物系の重なりを、最後にもう一度確かめることができます。麺を食べるときとは違い、スープそのものを飲むことで、素材の層の厚みがよりはっきり感じられるはずです。
・最初は麺だけで麦の香りを確かめ、次に半分ほどつけ汁にくぐらせる
・味変は「本日の薬味」→レモン・フルーツ酢の順に一つずつ
・麺を一度に大量に浸さない。冷めたら再加熱に対応してもらえるか確認する
・最後はスープ割りで魚介と動物系の余韻を味わう
つけ麺の歴史から見ると「道」はどこに立っているのか
1955年、中野の大勝軒から始まったつけ麺
つけ麺という料理は、1955年に中野の大勝軒で山岸一雄さんが開発・商品化したとされています。当初は「もりそば」という名前で、まかないとして食べていた冷たい麺を熱いスープにつけて食べるスタイルが原型でした。
その後、山岸さんは東池袋大勝軒の店主として、多くの弟子を育てます。弟子たちが各地に暖簾分けで店を構えたことで、つけ麺は東京から全国へ広がっていきました。大勝軒系のつけ麺は、甘みと酸味のある醤油ベースのつけ汁に、もちもちの太麺を合わせたスタイルが特徴です。
ここで興味深いのは、道が大勝軒の系譜を名乗る店ではないにもかかわらず、その創始者から評価を得たという点です。つけ麺という料理が、生みの親の手を離れて独自に進化し、なお原点の目から見ても認められる完成度に達した――道は、そんなつけ麺史の一つの到達点を象徴する店ともいえます。
濃厚魚介豚骨という「進化形」の担い手
大勝軒系の甘酸っぱいつけ汁から時代が進むにつれ、つけ麺の世界では濃厚魚介豚骨というスタイルが一大勢力になりました。豚骨や鶏ガラを長時間炊いた白濁スープに、煮干しや節類の魚介出汁を重ね、極太麺を合わせる。いまやつけ麺と聞いて多くの人が思い浮かべるのは、このタイプかもしれません。
道のつけ汁も、鶏・豚・3種類の魚介を組み合わせたこの系統に属します。ただし、多くの濃厚魚介豚骨が魚粉の香りや粘度の強さで「ガツン」と攻めるのに対し、道は二度ごしで雑味を除いたクリーミーさ、ほのかな甘みといった「まろやかさ」で評価されているのが特徴です。
同じ濃厚系でも、店によって方向性は大きく異なります。昆布水を使った淡麗系のつけ麺など、さまざまなスタイルと比べてみると、道の立ち位置がよりはっきりと見えてくるでしょう。

**麺屋鈴春**という店名を聞いて、ピンと来る方はかなりのラーメン通でしょう。東京・**本郷三丁目**にひっそりと構えるこの一軒が、休日には開店前に**100人…
「道の塩」というもうひとつの顔
道には、つけ麺とは別の顔もあります。Time Outによると、定休日の火曜は「道の塩」として開店していたとのこと。濃厚魚介豚骨のつけ麺とは対照的に、塩味のラーメンを提供する営業形態です。アド街の紹介ページにも、一時的に「塩らーめんのみ提供中」という告知が載っていたことがあります。
濃厚系の専門店が塩ラーメンを出すというのは、意外に思えるかもしれません。しかし、塩ラーメンは醤油や味噌のようにタレの香りで味をごまかせない、出汁の実力がそのまま表に出るジャンルです。3日がかりでスープを仕込む店だからこそ、その出汁の地力を塩という最もシンプルなかたちで見せられるのでしょう。
営業日や提供内容は時期によって変わるようなので、「道の塩」を目当てに訪れる場合は、とくに事前の確認が欠かせません。もし出会えたなら、つけ麺とはまったく違う道の表情を知る貴重な機会になるはずです。
こんな人には、こんな楽しみ方を
最後に、読者のタイプ別に道の楽しみ方を整理しておきます。
初めて訪れる人には、まず素つけ麺で麺とスープの実力を確かめることをおすすめします。早めの時間帯に到着し、4名入れ替え制のリズムに身をまかせて、一杯に集中してみてください。つけ麺好きの常連予備軍なら、特製つけ麺で具材の豪華さを楽しみつつ、日替わりの薬味が何かを毎回の楽しみにすると、通うたびに発見があります。
しっかり食べたい人は、大盛りを検討してもよいでしょう。口コミ情報では大盛りは400円の追加とされていますが、価格は変わる可能性があるので店頭で確認してください。甘いものも楽しみたい人は、締めに自家製ブリュレを。つけ麺屋で味わうデザートは、きっと記憶に残る体験になります。
- 1955年:山岸一雄さんが中野の大勝軒でつけ麺の原型を開発・商品化したとされる
- その後:東池袋大勝軒の弟子たちによって、つけ麺が全国に広まる
- 2015年:テレビ東京『出没!アド街ック天国』の亀有特集で、山岸一雄さんも絶賛した店として紹介
- 現在:濃厚魚介豚骨と超極太麺、日替わり薬味で行列が続く亀有の人気店
まとめ
道の一杯は、つけ麺という料理の原点と進化の両方を感じさせてくれます。まずは早めの時間に亀有駅北口へ向かい、素つけ麺の最初のひと口を、何もつけずに麺だけで味わうところから始めてみてください。
※価格・営業時間・定休日・提供内容は変更される場合があります。訪問前に店頭や公式SNSの最新情報をご確認ください。

コメント